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高齢者情報コミュの159.認知症 意外に知られていない6つのこと

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 数ある病気の中でも、できればかかりたくないのが認知症。記憶が失われていき、人格が崩壊していくというイメージが強いからだ。この病気に対する誤解も多い。たとえば、世界の製薬企業が新薬開発に膨大な資金を長年投入しているのに、認知症を根治させる医薬品がいまだにないことはご存じだろうか。認知症にはアルツハイマー病以外にも病気の種類があるということも、案外知られていない。認知症にまつわる「意外に知られていない6つのこと」について、鈴木ゆめ・横浜市立大学附属病院教授に寄稿してもらった。

2011年に起きた新薬ラッシュ

 「なぜアルツハイマーなどの治療薬は多額な研究開発費用を投じても、病気の進行を遅くするアリセプトに毛が生えたようなものしかできないのか」。この疑問を解き明かすためにまず、抗認知症薬の歴史を振り返ってみる。

 2011年。

 認知症治療にとって、この年は特別なものだった。認知症の新薬が次々と発売されたからで、我々医師も大きな希望を持った。

 実は、この年まで最も「歴史」ある認知症治療薬アリセプト(一般名:ドネペジル塩酸塩)がなんと、20年近く風雪に耐えてきた。言い換えれば、それまではアリセプト以外の治療薬は事実上、存在しなかったのだ。

 アリセプトは日本の製薬会社エーザイが開発した治療薬だ。認知症の根治はできないものの、その進行を遅らせることができる。国内では1999年11月24日に発売されたが、この薬が日本の市場に出るために、逆輸入という形を取った。

 日本発のアリセプトが米国では96年11月に承認され、翌年1月から販売された。英国でも97年2月に承認され、4月に販売が開始された。当時の日本の新薬承認審査は時間がかかったことが原因だ。

 この薬はどう働くのか。説明するにはちょっぴり専門的になるが、患者さんの脳内で不足しているアセチルコリンという神経伝達物質の分解・減少を防ぐため、コリンエステラーゼというアセチルコリン分解酵素の働きを阻害するという仕組みである。

 アリセプトの独壇場という状況が変わったのが2011年。この年の3月11日にレミニール(一般名:ガランタミン)が発売された。この治療薬もアリセプトと同じ働きをし、コリンエステラーゼを阻害して、脳内のアセチルコリン減少を防ぐ。武田薬品工業とヤンセンファーマとの共同販売契約に基づき、販売に至った。錠剤に加え、口腔こうくう内崩壊錠、内用液の3種類の製剤をとりそろえたのが特徴だ。

 同年6月8日には、メマリー(一般名:メマンチン塩酸塩)がアルツハイマー型認知症治療剤として、第一三共株式会社から発売された。先の2剤とは働き方(作用機序)が違って、専門用語では「NMDA受容体拮抗きっこう」というものだ。神経伝達物質のグルタミン酸を神経細胞の表面で受け取るNMDA受容体という部分が過剰に活性化するのを防ぎ、記憶の情報伝達が混乱するのを抑えるとともに、神経細胞が傷つくのを防ぐとされる。

 それでも、認知症を根治できるまでの薬効は残念ながらなかった。

 このほかにも、11年7月19日には、イクセロンパッチ(一般名:リバスチグミン)がノバルティス ファーマ株式会社から、リバスタッチパッチ(一般名:リバスチグミン)が小野薬品工業株式会社から発売された。

国内で使われているアルツハイマー型認知症の治療薬
 コリンエステラーゼ阻害作用のある日本初の貼付薬で、皮膚を通して薬剤が徐々に吸収されるため、消化器症状(主に悪心、嘔吐おうと)が軽減されるという特徴を持つ。

 これらの新薬も、今となっては「アリセプトに毛が生えた程度」と言われてしまう。毛を生やすまで十余年をかけただけに、この「毛」に対する期待が膨らみすぎたのだ。

 加齢と密接にかかわる認知症を撃退するのは現状では至難の業で、やはり衆人が期待する根治薬ではなかった。以上はあまり語られないことだが、患者さんや家族の希望が落胆に変わらないよう、事前に知っておきたい認知症薬事情である。

http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20151112-OYT8T50017.html?from=y10

ゾロゾロと出てくる後発品

 「医者がよく言うゾロとは何か?」。患者さんからは、こんな質問もよく受ける。

 新薬の開発には、その薬が効くという臨床試験だけでなく、薬理作用、安全性、催奇性、吸収、分布、代謝、排泄はいせつなどの情報を添えなければならない。その結果、創薬には莫大ばくだいな費用と膨大な時間を要する。そのため、薬の構造や製造方法などについて、特許申請してから20年(5年間延長可能)の特許権が認められ、保護されている。その間に収益を上げていただき、次の薬の研究開発費に充ててください、というわけだ。

 その特許期間が満了すると、同じ成分を有する後発品が次々に製造販売される。業界では、この後発品を通称「ゾロ」と呼んだりしている。「ゾロ」とは「後発品」のこと。テレビなどで体裁よく「ジェネリック」と呼ばれているものだ。実はこの「ゾロ」、その語源はなんと「特許が切れると一斉にゾロゾロと出てくる後発品」からきている。

 医者があらたまって「ゾロ」というと、医者が使うドイツ語かなんかの省略?などと勘ぐられてしまうのだが、なんのことはない。医者というのは見たまま、感じたままを口にするのだ。赤いものは赤、白いものは白、ゾロゾロ出ればゾロ。

 2013年に、せきを切ったように「ゾロ」がぞろぞろ出て、今やアリセプト5mg錠のみに限っても52ものジェネリックがでている。剤型や容量の違いも含めると一体いくつになるかわからない。

 まさに「ゾロ」にふさわしい出方だ。で、そんなにいろいろな名前を付けられても困るので、ドネペジル塩酸塩「会社名」となっている。つまり「アリセプトと呼べるのはアリセプトだけ」だ。

 そのアリセプトは「軽度及び中程度のアルツハイマー型認知症」に対する医薬品として承認されていたが、より症状が進行した「高度アルツハイマー型認知症」に対する効能・効果ならびに用法・用量の追加承認を07年8月に受け、特許権の存続期間を13年6月22日まで延長した。

 こうしてアリセプトは、毛をはやした新薬が11年に続々と発売されるなか、「高度アルツハイマー型認知症」に対する効能追加によってジェネリックを振り切り、13年まで時間を稼いだ。

 そして同年、特許は切れ、ジェネリックと呼ばれる後発品がゾロゾロと発売された。つまり、先発のアリセプトは今も、11年に発売されたレミニール、メマリー、イクセロンパッチ、リバスタッチパッチなどの新薬、13年発売のジェネリックに追われながら、走り続けているのだ。

アルツハイマーだけではない認知症

 患者さんや家族の方によくあるのが、認知症といったらアルツハイマーという思いこみだ。果たして、「認知症はアルツハイマー型認知症だけなのか?」。答えは否で、別の種類の認知症に、たとえばレビー小体型認知症という病気がある。

 実は、アリセプトはレビー小体型認知症の幻覚に対して著しい効果がある。十年も前から私たち神経内科医の間では評判だったが、保険適応がなかったので事実上、使えなかった。しかし、この事実がアリセプトに、新薬やジェネリックに対する画期的と言える巻き返し策を与えた。

 それは14年10月のことだった。

 知性派の大女優さんと認知症の権威の先生を登用して、アリセプトのTVコマーシャルが思い出したように打たれた。これは単なる蒸し返しではなかった。まして剤型を替えたり、「軽度から中等度」に「高度」を効能追加したりというような小手先でもなかった。我々にはかなり画期的な出来事だったのだ。

 認知症と一口に言っても、いろいろ種類がある。そのTVコマーシャルは、このことに対しても一般の目を向ける効果があった。認知症にはレビー小体型認知症という病気もあるのだという認識だ。「あ、認知症ってアルツハイマー型認知症だけではなかったのだ」と初めて知った方も多かったのではないだろうか。

 そのレビー小体型認知症の特徴は、知的機能の低下に加え、症状が日によって変動すること、さらには体が動かしづらくなるパーキンソニズム、そして色あざやかな幻視、といった特徴を持つ。典型的なものであれば、駆け出しの神経内科医でも診断を間違えることがないくらい、アルツハイマー型認知症とはかなりおもむきを異にする病気だ。

 実は、このアリセプトをレビー小体型認知症の患者さんに使うと、幻覚がきれいになくなるのだ。認知症で本人やご家族を悩ませるのは、もの忘れや計算ができないといった認知機能自体の低下より、それにともなって起こる不安や焦燥、うつ、興奮、幻覚といった、いわゆる「周辺症状」といわれる症状だ。

 実際にはそこにないものが見えて、しかも追いかけてきたりすれば、恐ろしくて逃げたり、戦ったりしてしまう。その元凶たる幻視が消えたら、計算などできなくても、今日の日付がわからなくても、心静かに暮らせるというものだ。

 アリセプトなら、困りものの幻覚を消せる。ところが、レビー小体型認知症にアリセプトを使うことはできなかった。保険がきかなかったのだ。

 アルツハイマー型認知症であれば使えるのだが、レビー小体型ではだめ。アリセプトを使うにはアルツハイマー型認知症でなければならないのだ。

 「保険が使えなくても薬は使えば」とお思いかも知れないが、この薬や検査には保険を使うが、この薬には使わない、というわけにはいかないのだ。「混合診療」と呼ばれるもので、わが国の優秀な保険制度を保とうとすると避けることのできない数少ない弱点でもある。保険を使う病気に対しては徹底して使うか、徹底して使わないかだが、保険を使わず自費となると、3割負担の場合にはすべての検査・治療が3倍になり、高額医療となれば青天井だ。

 ここからは本当に深読みしすぎなので、聞き流していただきたい。

 認知症の仲間であるのに、片方には使えて片方には使えない。

 大きな声では言えないが、ならばいっそとばかりに、脳血流などをよく調べず、全部をアルツハイマー型認知症にしてしまうヤブ医者もいたのでは。

 実際、我が国のデータでは、認知症の7割近くがアルツハイマー病とされている。

 レビー小体型認知症に対するアリセプトが保険適用されたため、今後のデータではレビー小体型認知症の診断が増えるのではないか、などとさらに深読み。さて、深読みもこの辺にして、次のナゾに迫ろう。

診断技術が普及しないワケ

 「血液1滴でアルツハイマー病を診断する技術があるのに、なぜ普及しないのか」――「あのノーベル賞受賞者の田中耕一さんが病気に特有のたんぱく質を、従来の100倍以上の感度で血液から見つけ出す技術の開発に成功。アルツハイマー病に関わるたんぱく質でも」(2011年11月9日付読売新聞より抜粋)

 「愛知県と豊橋技術科学大など産官学の共同研究開発チームは、1滴の血液でアルツハイマー病など病気の原因物質を検出する機器を開発したと発表」(14年1月22日付読売新聞より)

 記事は、自宅で簡単に利用できることから、病気の早期発見・治療につながるとしている。15年度末までの実用化を目指し、検査はスマートフォン専用アプリと連動し、医療機関と情報をやり取りすることも想定しているとのことだ。研究者は「自宅で簡単に検査ができるため予防的効果が期待でき、医療費の抑制にもつながる」とも強調している。

 血の1滴でアルツハイマー病が診断される?

 しかもこんなにお手軽に?

 となると、軽度認知症どころか、症状はないもののアルツハイマー病患者の脳内にたまるアミロイドβというたんぱく質が少々増え気味、といった程度の発症前診断までが可能になるということだ。

 11年のニュースだから、もうすでに4年も経たっている。15年度内には実用化するとのことでもある。しかし、大学病院にもまだ「アルツハイマー病検知器」なるものは置いていない。一体、この検知器が普及することが近々あるのだろうか。

 根本治療がまだない現在、超早期診断は無駄だ。ならば、何のために。

 研究開発者は、予防的効果が期待できるなどと言っているが、私は思う。じゃあ、実際、どうやって認知症を予防するというのだ。

 アミロイドβを分解する方法でもあればいいが、いまだ人間の脳細胞をいためずに原因となるたんぱく質の生成を低下させたり、分解したりする技術も薬もない。それなのに、血液にアミロイドβがたくさんあることを知ってしまったら、一体私はどうしたらいいのだろう。

 予防? どうやって? こうした検知器が現状のまま普及したら、いたずらに不安を煽あおるだけになる。血の1滴、されど1滴なのだ。

軽い症状でも抗認知症薬を使うべきか?

 「抗認知症薬を軽度認知症;MCI(Mild Cognitive Impairment)に対して使うべきなのか」。この問題に最も興味を持っているのは、もちろん、日々のもの忘れに戦々恐々としている私たちだが、それにもまして興味津々なのは製薬会社さんだ。

 認知症に進展するかどうかもわからない軽度認知症に対して保険適応を取れるだけの裏付けはまだないから、現在は少々のもの忘れに使うことはできない。

 しかし、認知症400万人、軽度認知症を含めると800万人といわれる現在、もし軽度認知症にもお薬を使えるとなれば、市場は一気に2倍になる。売り上げを2倍にすることの難しさなら、営業の方々は身にしみていることだろう。

 もし、「軽度認知症」に対して抗認知症薬を保険で使えるようになったなら、営業の方々は何の努力もせず、売り上げを倍増できるのだ。だが、種々の健康保険組合が支払いにきゅうきゅうとすることも目に見えている。一体、もし少々、病気の進行を遅らせることができたとして、それなりの経済効果を上げて、相対的に健康保険組合の負担が小さな問題となるかどうかだ。

 血の1滴でお手軽に発病前の認知症まで占われた日には、ついうっかり、「飲みます、飲みます」と言ってしまいそうだが、わずかなアミロイドβを見つけるために血液を調べるだろうか。少々もの忘れをすることに気づいた際、究極的には保険は度外視して、自分が抗認知症薬を飲むのかという問題だ。正直に言って、私はノーだ。

 薬には作用があれば副作用もある。症状が進むのかどうかわからないし、進んだとして薬に本当に軽度認知症の進みを遅くする効果があるかどうかはまだはっきりはしていない。

 はっきりしたら飲むことにしよう――政府の回し者でも、健康保険組合のお使いでもなく、これが正直な気持ちだ。

 認知症の根治療法が実効性を持つようになった時にこそ、血の1滴で正確な診断をし、服薬する必要が出てくる。その時に備えて、いつでもその技術を使えるようにしておくことは大事なことだが、いたずらに津々浦々のスマートフォンにまで、その技術を搭載させる時期ではまだない。

カレーを食べれば発症しないか?

 最後は、「認知症の今後」を考えてみよう。

 医者なのだからさぞや健康的な生活を送っているのだろうと思われる向きもあろうかと思うが、実際には降圧薬、高脂血症薬を朝な夕なに服薬の毎日だ。

 血圧はストレスで上がっていることは確かだ。ストレスのもとが仕事であることは深読みせずともわかっている。

 かといって仕事を辞めてのんびりと、というわけにもいかないので、いろいろなことをがまんして仕事を続けている。だから、お薬なしではいられないのだ。現代人の典型みたいな生活だ。宮仕えとは辛つらいもの。

 認知症の薬は服用していないが、できれば予防したいところだ。メタボが血管性認知症などを起こすから、よろしくないことは確かなので、高血圧や高脂血症のお薬を飲むのだが、日常生活にも気をつけないと。

 よく質問を受けるのが、「認知症にならない食べ物は?」だ。

 カレーはどうか?

 インドではアルツハイマー病が日本より少ないから、何かそこに秘密があるのではないかとつい勘ぐってしまうのだが、インドの平均余命は65歳(日本は83歳=2013年度版WHO統計による2011年のデータ)。言わずもがなではあるが、インドでは多くの人がアルツハイマー病を発症するほどの長命ではないということだ。クルクミンとか、まあ、悪くはないのだろうが、超特効食物というわけでもなさそうだ。

 我が国では、長寿と引き換えに私たちに与えられた課題が認知症だ。人間の英知と理性がこの病気を克服するのもそう遠くはないと私は考えている。不治の病とされた「がん」とですら互角の闘いができる今、現在のがん医療が十年前と様変わりしたと同様に、十年後には認知症もその予防・治療が根本的になされることだろう。「認知症、かかったかなと思ったら」と、感冒か何かのように笑い飛ばせる時が来る。

 それまで、なんとか、社会全体が認知症の患者さん、家族を支えていくような環境を整えていきたいものだ。

http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20151112-OYT8T50017.html?page_no=6

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