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高齢者情報コミュのさあ これからだ がんに負けない

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http://mainichi.jp/life/kamata/news/20120211ddm013070134000c.html
毎日新聞 2012年2月11日 東京朝刊

 昨年末、福島県南相馬市で巡回診療をしたときのことだ。自身や家族ががんの治療中という人たちにいくつか質問された。彼女らの不安は、毎日、放射線を心配しながら生活して、治療に影響はないのか、がんが再発しやすくなるのではないか、というものだった。
 見えない放射線に対して、大きな不安をもっているのがひしひしと伝わってきた。
 放射線とがんについては、一般に100ミリシーベルトの被ばくをすると、0・5%がんになりやすくなるとされている。放射線の直接的影響によって遺伝子に傷がつき、細胞のがん化が起きると考えられている。
 100ミリシーベルトよりも少ない被ばくの影響は定説がない。だが、放射能とがん化の危険性は正比例の関係にあると考えて、できるだけ被ばくしないようにしたほうがよい。
 もう一つ、放射線の間接作用というのがある。放射線は酸化作用の強いフリーラジカルの一種である。フリーラジカルは老化や動脈硬化、がんの発生に間接的に関係している。たばこ等もフリーラジカルだ。フリーラジカルが暴れないように、抗酸化力の高い、色のついた野菜や魚、発酵食品などをとるとよいのだ。
 ところが、今の日本では、話がそう単純にいかなくなった。野菜や魚など食品に含まれている放射能を気にしなければならなくなってしまった。しかし、ここが大事なところだ。むやみに野菜や魚を恐れ敬遠してしまうと、フリーラジカルから身を守れなくなる。今こそ、野菜嫌いにならないでほしい。
 食品が汚れるということは、本当に罪なことだと思う。それだけに、放射能の見える化を図らなければならない。
 フクシマ原発事故の以前と以降では、こんなふうに、がんとの付き合い方が違ってきた。不安感やストレスはがんによくない。樹木希林さんとの対談を加えたりして「がんに負けない、あきらめないコツ」という文庫を出版した。どんな食事がいいのかとか、サプリメントは効くのかとか、免疫力を上げるにはどうしたらいいのか、などの疑問に答えた。
 がんとうまく付き合うには、手術、放射線療法、化学療法の3大治療法のなかから治療を選択することになるが、心の持ち方も治療効果に影響する。体と心はつながっているのだ。
 鳥越俊太郎さんとは、雑誌やテレビ番組で対談するなど、何度かお会いした。大腸がんが肝臓や肺に転移しながらも、常にポジティブに生きている。がんと闘うナチュラルキラー細胞は笑ったり、泣いたりすることで一時的に増えるといわれているが、彼は自分の感情に素直。好奇心旺盛で前向き。がんの再発を防ぐために運動はとてもよい。彼は運動をよくしている。鳥越さんの生き方は、がんと闘ううえで理にかなっている。
 乳がんと闘っている樹木希林さんもそうだ。がんである自分を、どこか冷めた目で見つめながら、すべきことをしたらくよくよしない。気持ちのうえでがんに負けていないのである。
 諏訪中央病院の緩和ケア病棟に入院する87歳のユキさんも、ニコニコしている。高齢であることと、乳がんが進行していることにより、手術はできなかった。外科から緩和ケア病棟へ移ってきたとき、衰弱が進んでいると申し送りがあったが、次第に元気になった。
 「やっとほっとしました」。初めて回診したとき、ユキさんはベッドの上に正座して、ぼくに言った。「病院なのに障子があるんですね。まるで、うちにいるみたいです。心が落ち着きました」と話した。
 緩和ケア病棟の個室の窓に障子を入れるとき、少しでも家にいるような雰囲気にしたいと思った。家にいるようにリラックスできれば、副交感神経が刺激される。副交感神経が刺激されれば、血液の循環がよくなり、免疫力も上がる。
 ユキさんは、話を続けた。
 「私はがんがあるかどうかなんて、どちらでもいいんです。それよりも、息子や娘たちの幸せのほうが大事。ここへ来て痛みをとってもらい、不安もなくなりました。看護師さんもお医者さんもみんなやさしいので、ついつい私もニコニコしてしまうんです」
 人間には幸せホルモンと言われるものが二つある。一つはセロトニン。おいしいものを食べたり、いい景色を見たり、温泉に入って気持ちよかったり、自分が幸せを感じたときに分泌される。ユキさんは何でも感動して、喜ぶ。セロトニンを分泌して元気がでている。
 もう一つは、人を幸せにしようとするときに分泌されるオキシトシンである。オキシトシンはストレスを緩和し、感染症を予防し、生きる力を与えてくれるといわれている。だれかのために一生懸命やさしくしようとすると、自分の脳内にオキシトシンが分泌され、自分の命を守ってくれるということだ。
 自分のことよりも、子どもたちのことを思うユキさんは、オキシトシンがいい作用をもたらしているのではないか。病室には、毎日のように子どもたちが訪ねてきて、お互いを大切に思っているのが伝わってくる。
 ぼくは心の作用というものを信じている。被災した人、がんや難病と闘っている人。どんなに絶望的な状態でも、心は負けないでほしいと思う。心が大事なのだ。(医師・作家、題字も)=次回は25日掲載

毎日新聞 2012年2月11日 東京朝刊

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