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♡ ATT♡コミュのATTバトルロワイアル 第三十九話【てめーはおれを怒らせた】

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お互いに木の裏から仕掛けるタイミングを探り合っているセーゴとヤッシー。





彼らは討って出るきっかけを求めていた。


銃と銃の戦いでは先に動いたほうが不利になることもある。





セーゴ(・・・何か、・・・何かタイミングは無いかッ!!)
ヤッシー(・・・早く動きやがれッ!!・・セーゴ!!)





二人が金縛りのような緊張の中身動きが取れずにいた時。


きっかけとなるある現象が起こった。






セーゴ(・・・!?)
ヤッシー(・・・!?)






東の方角から光が溢れてくる。

二人の半身を日光が照らし始めた。

そう、朝日が昇ってきたのだ。

そして次の瞬間。











ドゴォォォォォォォォォォォ!!!!!!











遠くから地鳴りと共に爆音が轟いた。

二人の開戦合図には打って付けであった。

この音が二人の良く知るシャギーを屠った音だとは知る由も無かったが、そんな事は今の二人には全く関係のない事である。

まさにこのタイミングで二人は同時に木の裏からお互いの視界に飛び出した。








セーゴ(・・・・もらった!!)
ヤッシー(・・・・今だッ!!)









二人とも同時に相手に向け得物を構える。

そして全く同じタイミングで引き金に指が掛かった。

一瞬の出来事の中で、戦いの当事者だけの時間がスローモーションになっていく。








セーゴ(・・・・ここだ!!この弾がヤッシーより少しでも早く出ればッ!!)









セーゴとヤッシーの指に力が入る。









セーゴ(・・・狙いは銃を持つヤッシーの右腕!!ここでないと心臓を打ち抜いても相手の指が動いて俺も撃たれる可能性がある!!・・・銃ごと撃ち落すッ!!!!!)










そして遂にその瞬間が訪れた。















パーン















先に弾が銃口から発射されたのはシングルアクションの構造を持つセーゴのルガーP08であった。

ストロークの短い分、計算通りにこの早撃ち勝負を勝ち取る。

その凶弾がヤッシーの右腕に向かって襲い掛かった。










セーゴ(・・・・当たれッ!!!!)










セーゴの願いと共にヤッシーの右手に弾が到達する。

その弾の先が今まさにヤッシーの皮膚に到達しようとした瞬間だった。








なんとヤッシーは持ち前の運動神経で引き金を最深部まで引き寄せていた。

ダブルアクションのストロークの長さだけに先に撃たれて弾が自分の身体に到達するだけの時間遅れを取ったものの、かなりの時間短縮させここまでのパフォーマンスを実現していたのだ。










セーゴ(・・・・・何ッ!?)
















パーン














ヤッシーの右腕にセーゴの凶弾が突き刺さり肉を抉っていった時と同時にヤッシーの持っていたワルサーP38からも銃弾が発砲された。

そしてその発砲したワルサーは腕を撃たれた衝撃でヤッシーの手から放り出されるように離れる。

セーゴの視界からはヤッシーから激しく飛び散り宇宙空間のように水滴になった血液の中を切り裂き自分の額に向かって銃弾が近づいて来るように見えた。

そんな幻想的な空間ではあったが、もちろん動いて避けることは出来ない。

彼らが体験しているのはまさに刹那の瞬間であるのだから。









セーゴ(・・・・・なんて奴だ!!)










セーゴの計算が大きく狂った。

彼は相手に撃たれる前に決着を着けるつもりだったのだ。

しかしヤッシーは自分の右腕を犠牲にしても自分に一弾加えてきている。

そもそもセーゴは撃ち返されない為にヤッシーの腕を狙う必要があったのだが、ヤッシーからしてみれば腕を犠牲にしてでも相手に当てればいいというハンデがあったのは確かである。


目の前にぐんぐんと迫ってくる銃弾。

動かない身体。

人生の終わりのカウントダウンがこの一秒にも満たない時間の中に凝縮されて襲い掛かってくる。

完全にヤッシーに軍配が上がったかに見えた次の瞬間。












セーゴの身体の細胞がある超反応を起こした。












人間には光の速さと同じ速度で身体を動かせるシステムが備わっている。

動作をするということは、人間が視覚、味覚、聴覚、嗅覚、触覚で感じ取った情報を一度脳に送り、動作をしたい場所に命令を伝達し実際に動かすという事である。

しかし人間の生活の中には咄嗟に動かなければならないこともしばしばある。

そんな時、人間が長い進化の歴史の中で培ってきたシステムがある。

【反応】である。


先ほど説明しておいた動作の理屈の中で一度脳に伝達をするといった作業を一切すっ飛ばして五感で感じた瞬間に細胞の動作に繋げることである。





この時セーゴにはヤッシーより一つ有利な部分があった。

それはヤッシーより先に銃を撃っているということである。

つまりヤッシーが引き金を引く時から発射にて自分に到達するまでの時間を視覚で捉えることが出来たのである。










クンッ











ほんの数センチだろうか。


セーゴは自分の頭が左側に動かせるのを感じた。

そして次の瞬間。














ピッ














自分の右の頬の肉を銃弾がかすめて行った。

通り抜けた後がじわりと熱くなる。











なんとセーゴは銃弾を反射という人間のメカニズムによってかわした。

これには撃ったヤッシーよりほんの僅かに時間があったこと。

そしてヤッシーが撃つ動作を行う僅か前にセーゴの弾がヤッシーの右腕に到達していた為、僅かに狙いがずれたことも要因であった。

この三つの僅かな差がセーゴに勝機をもたらす。










セーゴ(・・・!?かわせたッ!!・・・あとは再びヤッシーを撃つだけッ!!)










セーゴはルガーのハンマーに指を掛け、それを倒した。

そしてヤッシーの方へ向け銃を構えなおす。

ヤッシーのワルサーは腕から離してある。

彼は本当にあと少しでヤッシーに勝利する事が出来るのだ。











セーゴ「うおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーッ!!!!!!!」










セーゴは大きな咆哮を上げると引き金に力を入れた。


















パーン















辺り一面に発砲音がこだまする。















セーゴ「・・・・・・・クッ」














次の瞬間、セーゴはその場に膝を着いた。

自分の右腕に激痛が走る。

何故か銃で撃ち抜かれていたのは自分の右腕であった。

最後の発砲をしたはずのルガーは自分の目の前に落ちてしまっている。

セーゴは顔を上げ目の前のヤッシーの方を見つめた。











ヤッシー「・・・・俺に左手でテニス負けた事忘れたか?」












そこには右手から血を流し左手にワルサーを構えたヤッシーが立っていた。

そう、彼はセーゴに右手を打ち抜かれた後、ワルサーをわざと手放しそれを空中で持ち替え発砲したのだ。

セーゴが自分の一発目をかわそうとも次を撃つまでにはシングルアクションであるため必ずハンマーを倒す動作が必要になってくる。

その二発目を撃つまでの時間にダブルアクションの特性を活かしハンマーを倒す事無くトリガーを引くのみの連射をしたのである。

よってセーゴの発砲より速くヤッシーはセーゴを撃ち抜くことが出来たのだ。

これはヤッシーが軟式テニスであるが6年間の経験があるセーゴを利き手ではない左手にラケットを持ち右手と同様にプレイし勝利できる運動神経とセンスがあって初めて成せる業である。











ヤッシー「・・・・形勢逆転だな。」





セーゴ「・・・・・・・。」







ヤッシーはセーゴの方へ銃を向けたまま近づいて来ると彼の前に転がっていたルガーを横に蹴飛ばした。

そして見下したように膝を突いているセーゴを上から見下ろす。









ヤッシー「お前は強かった・・・、だが俺には絶対に勝てん。」



セーゴ「・・・・・。」






ヤッシー「・・・遂に決着だな、あの夏からもう9年も経ったのか。」



セーゴ「・・・・・・。」







そこまで言うとヤッシーはセーゴの額にゆっくりと銃口を当てた。

そして特にダブルアクションのため倒す必要はないのだが、ハンマーをカチリと倒して見せた。

ダブルアクションの銃のハンマーを倒す行為が意味する事。

その意味をヤッシーは口に出して言って見せた。











ヤッシー「・・・・覚悟しろよ。」











この言葉と共にヤッシーが指に力を込める。

セーゴはヤッシーの指も見ず、ただヤッシーの目だけを瞬きもせず睨みつけていた。

無情にも引かれていく引き金。

二人の視線がお互いの眼の奥までぶつかり合った瞬間、この勝負に決着が着いたのだった。




























ドガッ














ヤッシー「・・・・・・ガ・・ハ」










突如ヤッシーが声を上げ、鞭打ちのような格好になり膝を突く。

なんと彼の後頭部に何かが刺さっているではないか。

その様子を確認したセーゴは突いていた膝を持ち上げるとゆっくりと口を開いた。










セーゴ「・・・俺がブーメラン男と呼ばれていた事を忘れたか?」










そう言って右手を抱えながら立ち上がるセーゴ。

彼の視線の先のヤッシーの後頭部には何と【土鍋の蓋】が刺さっていた。

そう、戦いが始まった時不意打ちで投げたあの鍋蓋である。



自分の方に血を吐きながら倒れこんでくるヤッシー。

その様子見ながら彼がニヤリと唇を持ち上げたその時。


突然二人の身体の中にある変化が起きた。












セーゴ「・・・・!!おいッ!!ヤッシー!!大丈夫か!?」











ハッと我に返ったかのように叫び、倒れてきたヤッシーを抱きとめるセーゴ。

そう、さぶが使った発情スプレーの効果が切れたのだ。

決着が着いてしまったこの瞬間に。










セーゴ「おいッ!!・・・しっかりしろッ!!」









必死にヤッシーに問いかけるセーゴ。

腕の中のヤッシーはセーゴを見るとフッと表情を崩し何とか震える手を伸ばした。







ヤッシー「・・・・まさか・・・・・鍋蓋と・・・は・・・やる・・じゃない・・か」







セーゴは震えながら伸ばしたヤッシーの手を取る。









ヤッシー「・・・・ああ・・・・セーゴ。・・・・せめて・・・・その胸の中で」








何かに満足したかのように笑顔を見せるヤッシー。

そこまで言うと彼の体を支えていた力がスッと抜けていった。

そしてゆっくりと目を閉じると動かなくなってしまった。












セーゴ「・・・おい!!ヤッシー!!・・・・ヤッシィィィィィィーーーー!!!!!」












悲しみのあまりセーゴは天を仰ぎ大きく泣き叫んだ。

どんなに叫んでも足らなかったが、どんなに叫んでも腕の中のヤッシーは再び動いてはくれなかった。













しばらくその場で叫び続けたセーゴを朝陽の光が優しく照らす。

しかし彼には太陽が施す万物共通の優しさですら無意味に感じていた。

ヤッシーを殺してしまった事へのやりきれない思いと心の奥からこみ上げてくる押さえきれない怒りの感情がぐるぐると身体中を回っている。

もう何も考えたくは無い。









ふとセーゴの顔に当たっていた光を影が遮った。

彼もその事に気付き少し顔を上げる。

するとそこには自分と同じく泣いている人間が一人立っていた。










セーゴ「・・・・・・さおり」











彼女は泣いていた。

が表情は全くといっていい程の無表情だった。

表情を作る気力も無いのであろう。

そんな弱りきった印象を受けた。

その時一緒に周りを見回したが、さぶの姿は既にその場からは消えていた。

さおりのその弱りきった様子を見たセーゴは、ヤッシーを地面に寝かせるとゆっくりと立ち上がった。

そして数歩歩き、ヤッシーの足元に落ちていたワルサーを拾うとさおりに話しかけた。











セーゴ「・・・・・もし許せないなら・・・・それで俺を撃て」











そう言ってワルサーをさおりに渡すセーゴ。

無表情のまま泣いていたさおりの涙が止まった。

さおりがワルサーを両手で受け取ったのを確認した時。

彼は彼女に対し無防備に背を向けてゆっくりと歩き出した。












一歩。






また一歩。







数歩歩いていくうちに背後で銃のハンマーを倒す音が聞こえる。








セーゴはポケットから煙草を取り出すと火を点けた。

彼はそのまま歩き続け、後ろを振り向く事はしなかった。

そして次の瞬間。

















パーン













この戦いで最後の銃声が森の中に響き渡った。




続けて人が地面に倒れる音が響き渡る。















そしてこの戦いの唯一の生還者がこの戦いを仕組んだ男に対し復讐を誓う。

その人物は誰にも聞こえないような声で呪詛の言葉をつむぎ出した。

搾り出すように出したその声には押さえきれない怒りが溢れ出ているかのようであった。























セーゴ「・・・・さぶろう。・・・・てめーはおれを怒らせた」












脱落 ヤッシー

脱落 さおり






【残り 44名】



続く

コメント(11)

波王
今回さおり自殺なんですけど・・・・。
こういう表現伝わらなかったかな?
波王
ええよ〜ん!
・・・さて、戦ってた奴らが全部決着着いた。
次は誰対誰を戦わせるか考えなくては。
ちゅーか生きている人たちを把握しなくては。
なんか俺狙われとる!!!
そう!コーラを飲んだらげっぷが出るというくらい確実に死亡フラグ!!

あ、まだ勝さん生き延びてるの覚えてます?
退かぬ!媚びぬ!働かぬ!の聖帝様。
切ないなぁ涙
けど、せーごさん自分はちゃっかりかっこいいとこ持っていってますねむふっ手(パー)
池田はあっさりお肉にしちゃったのに失恋失恋失恋
さぶちんそろそろお別れの予感exclamation & question
もう1回スプレーぶっかけちゃえむふっハート
ナッシー
お!いいねぇ。今回のテーマは自分の中で「切なさ」だったのよ。
ちゅーか俺は作者だからねぇ〜。
かっこ良く書くわさ。

ポメ
どっちかの盾になって死ぬより絶望の中で自分を撃つことの美学がお前にはわからんかね?
恨んでないっす。むしろ感謝ッス。いいネタを作ってくれてありがとう。
さぶ
帝王勝はもうちょっと後で登場するよ!
さぶがぉバカな武器なのにメチャ2悪ぃャツになってる!!ワラ
この話そろ2漫画化してサ室に置きます!?ワラ
これぷ
絵が上手い奴周りにいない?
実現したいなぁ〜!

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