研究者コミュの博士採用増で生産性低下

本日の日本経済新聞に、「博士採用増で生産性低下」と題する興味深い記事が載っていたので、紹介します。博士号取得者も、企業に就職してすぐには戦力にはなれないとは思います。しかし博士号取得者は、通常は修士課程修了者よりは３年よけいに教育投資をしているわけです。このため、企業に就職して２，３年程度すれば、修士課程修了者よりは高いパーフォーマンスを発揮するようであってこそ、修士課程修了者よりは３年よけいに教育投資をしたことが報われるというものです。ところがこの記事によると、「２０００年代の大半で同じ傾向だった」となっています。ということは、教育投資の効果が出てきていないようなんですね。

となれば、企業としては、博士号取得者を採用するくらいなら、その資金で修士課程修了者を採用したほうが生産性は上がりそうだという判断は成り立つのではないでしょうか。

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博士採用増で生産性低下
日経センター調査
企業、使いこなせず？

　日本企業が博士号取得者の採用を増やすと、逆に生産性が下がるとする分析を日本経済研究センターがまとめた。一人前の研究者とされる博士人材は、海外企業では即戦力への期待も高いだけに意外な結果となった。日本では、企業が終身雇用制などに縛られて人材を使いこなせていない可能性や、大学で企業の研究現場で役立つ人材が十分に育っていないことが考えられるという。
　総務省や日本経済新聞社の調査から分析した。全社員に占める博士号取得者の割合が増すと、１人当たりの売上高などにあたる労働生産性が低下していた。２０００年代の大半で同じ傾向だった。
　同センターは①企業の現場で適切な役割が与えられず、博士人材の専門能力が生きていない②提案力や構想力が乏しく、企業の応用研究に対応できる博士人材が大学で育っていない―などとみている。日本企業の雇用制度では優秀な人材が定着しにくく、大学の研究教育環境も世界に劣るとの見方もある。
　日本では毎年、１万５０００人を超える博士号取得者が出ている。博士号を取得しても就職できない「ポスドク」が社会問題になるなか、人材の活用策が改めて議論になりそうだ。

コメント(6)

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[2] mixiユーザー 02月14日 18:13

私も誤解を恐れずに書くと、

適切な役割がない時点で、生産性という言葉とはかけ離れています。
それと、自社で対応できる人材を採っていない、という点で初めから生産性と無縁です。

適切な役割が与えられなくても自分で切り拓け、あるいは
即適応して食らいつけ、と仰るかもしれませんが
博士だけに原因を落とし込むのは可哀想ですね。
文面からは企業側にも問題がある、と含めていますので多視点ですね。

実験主義的の視点で眺めると、
博士を全く採らなかった場合の対照群が無いですから
比べることもできません。

[3] mixiユーザー 02月14日 19:32

>>[2]

＞実験主義的の視点で眺めると、
＞博士を全く採らなかった場合の対照群が無いですから
＞比べることもできません。

厳密に公正に比較しうる対照群を構成することが非常に難しいかもしれませんね。あと、個々の職場には「生産性」というものさしでは測れない効用をもたらしているかもしれません。

[6] mixiユーザー 02月15日 08:51

tomtomさん

博士研究者がドイツ的（基礎的、哲学的）な大学の出身者だとしたら
収益や新規発売商品数という視点での生産性は望めないでしょうが、
職場同僚に及ぼす「本人の姿勢」は波及している可能性はありますよね。
まぁ、これも本人と企業の双方に問題を抱えますので、簡単にはいえませんけど。

CTRXさん

ひょっとしたら私と似たような職場かもしれませんね(^_^;)
専門医は特定職種団体（？）により特権化（言い過ぎでしたらすいません）されているので立場が強く、
同時に生産性に直結してますよね。

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