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著作権コミュのJIS(日本工業規格)の著作権について

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著作権フリーライターのタイゾーといいます。お世話になります。「ピリ辛著作権相談室」(http://urheberrecht.cocolog-nifty.com/)というブログを開設するなど、著作権に関する執筆や講演などをしています。

JISの著作権問題について、ご存知でしょうか?JISは政府の大臣が制定して、国民が知るべき工業標準として公表されていますが、政府の辻褄合わせのために、JISに著作権があると称して、我々国民から高い金を巻き上げて、天下り団体を通じてJISの文書(規格票)を売りつけているという問題です。

下記にこの問題についてまとめたメモを掲載しますので、これをたたき台にして、自由に議論、意見交換できれば幸いです。

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経産省がJISの著作権についてデマ見解を発信中!

JIS=日本工業規格を御存知だろうか?国家規格の一つであり、「自由に放置すれば、多様化、複雑化、無秩序化する事柄を少数化、単純化、秩序化する」工業標準である。わが国では、製品がJISの要求を満足していればJISに適合しているとして、国からお墨付きを得られることになっている。

このようなJISは経済産業大臣などの主務大臣が制定する工業標準であることから、法令、行政通達などと同様に、国民に広く知らしめるべきものである。ところが、経済産業省はこのJISには著作権があるとして、その内容が掲載されているJIS規格票を、天下り団体の財団法人日本規格協会を通じて高額な値段で我々国民に売りつけているのだ!

ことの発端は、日本工業標準調査会『21世紀に向けた標準化課題検討特別委員会報告書』(平成12年5月29日:http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g00608aj.pdf)にある。同報告書は、民間主導のJISの原案作成の更なる推進を提言した上で、「我が国では、規格原案作成を専業として行っている民間団体はなく、規格作成・普及だけで独立に採算を立てられる状況にはほとんどないものと考えられる」ことから「今後規格作成における民間の役割を更に強化するためには、引き続き民間における規格原案作成を支援していく一方、民間提案((工業標準化法:著者追加)12条提案)に係る規格原案作成者に著作権を残す等、規格作成に係るインセンティブを高める方策を探る」としている。そして著作権を残さなければ「電子媒体からの複写は紙媒体からよりも容易であるため、著作権による保護がない場合には、規格原案作成者が想定していない者による規格販売等の可能性が増すこととなる」としている(同報告書44頁)。この報告に基づき、経産省はJISにおける民間団体作成の規格の著作権法上の取扱いを明確にするため、平成14年に『日本工業規格等に関する著作権の取扱方針について』(日本工業標準調査会標準部会・適合性評価部会議決:http://www.jisc.go.jp/jis-act/pdf/jis-copyright.doc)を定めた。

しかし、民間団体が原案を作成したJISについて著作権があるとする経産省の見解については、業界団体を中心に疑問が持たれていた。
この点、文化庁出身で著作権法研究者の鳥澤孝之氏は、「国家規格の著作権保護に関する考察 ―民間団体が関与した日本工業規格の制定を中心に―」知財管理  Vol.59 No.7 [2009.7]793-805頁(http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/syoroku/59/7_793.html)で、JISでは原案をもとにして更に日本工業標準調査会(JISC)という審議会で審議し答申され国の機関で取扱われ、その成果が国家規格たる統一基準として主務大臣により制定され官報公示されるものである以上、国が一般周知を目的として作成する広報資料、調査統計資料、報告書等(著作権法32条2項参照)とは一線を画し、法令・告示等と同様に、著作権法第13条第2号により権利の目的とならないと解するべきであるとして、 JIS(本文)の著作権を否定している。

この見解に対しては、経済産業省はこのたび、以下のような反論を行った(産業技術環境局基準認証ユニット(一橋大学イノベーション研究センター 江藤学編)『標準化実務入門(試作版)』(平成22年7月)184頁〔長谷亮輔執筆〕http://www.jisc.go.jp/policy/hyoujunka_text/text_7syou.pdf)。

1. 「著作権法第13条第2項(原文ママ。正しくは「第2号」。以下同様。)でいう告示とは、立法行為、司法行為、行政行為として権限のある者が作成し、その内容を公表することによって国民に知らしめ、また国民が自由に知るべきものであると性格づけることをいうものである。これに対して、JIS規格の官報への公示は規格の名称及び番号のみで、内容についてまで掲載されているわけではない。」
2. 「JIS規格の原文は、原案作成者や利害関係人などの民間団体において作成されているものである。著作権法第13条第2項の対象となるのは、官公庁自身が創作し国民に知らしめることが目的であるような場合に限定されるものであり、JIS規格のように利害関係者が原案を作成して申し出たり、原案を委託によって作成した者がいる場合には、著作権法第13条第2項を適用するのは不適当である」

しかし前者については、同号の告示等は官報の掲載内容に限定されるものではなく、また主務大臣が制定した工業標準の内容は本来国民に広く知らしめるべきものである。この点、経済産業省基準認証ユニット(日本工業標準調査会事務局)は制定又は改正されるJISの原稿を財団法人日本規格協会に回付し、同協会がその原稿に基づいてJIS規格票を印刷・発行し、同協会の窓口を通じて同規格票を販売・配布しているところである。このようにJISは経済産業省基準認証ユニットの監督の下に財団法人日本規格協会が発行する規格票を通じて公表され(日本規格協会編『JISハンドブック2008 56 標準化』(日本規格協会、2008年)1038頁)、JISの内容は官報に代わって規格票に掲載されていることから、官報で規格内容が省略されたことを著作権発生の根拠にすることはできない。また「現在有効な法令約7,400 件の中で、JIS規格を引用した法令は約360件(5%)もあ」るなど、「単なる技術標準としてだけでなく、行政制度とのつながりも深いものとなってい」るとの指摘がなされ(山中豊「事業仕分けと標準化」情報処理学会 情報規格調査会  NEWSLETTER No.85 (2010-03) 2-3頁:http://www.itscj.ipsj.or.jp/topics/nl85_yamanaka.html)、JISが著作権が否定される法令(著作権法第13条第1号参照)と同様のものであると考えることができる。
後者については、法令、通達等の著作権が否定されるのは「公益的な見地から、国民に広く知らせ、かつ、自由に利用させるべき性質の著作物には、権利を認める結果としてその円滑な利用を阻害することとなるのを防ぐという観点から」であるところ(加戸守行『著作権法逐条講義 五訂新版』(著作権情報センター、平成18年)136頁)、JISの原案作成者が官公庁以外の者であることを理由に著作権の発生を認めれば、JISを利用する国民の生活や企業活動等に支障をきたし、国内に広く知らしめることを主要な機能とするJIS の役割を損なうことになる。なお原案作成者に著作権が認められない場合でも、原案を採用した主務大臣から補償金等を得て経済的利益を確保することは可能である。

なお国の機関の中でも国立国会図書館は「国立国会図書館 リサーチ・ナビ JIS規格:http://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-400392.php」で、 JISの規格票について「JISの本文は、全文複写ができます。ただし、各規格票の後ろについている解説や、英訳されたJISの本文は、著作権法の制約により、複写できる範囲は半分までです。」と説明しており、少なくともJIS規格票の本文部分については国立国会図書館で全文コピーできる取扱いをしており、経産省と異なる見解を採っていると考えられる。

このようなデマ見解を経産省が辻褄を合わせて発信し続ける理由としては、規格の国際協定である「貿易の技術的障害に関する協定(WTO/TBT協定):http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/wto_agreements/marrakech/html/wto06.html」と、国営化を維持したい経産省の思惑が関係すると考えられる。
WTO/TBT協定では、各国の国家規格は、国際規格であるISO(国際標準化機構)/IEC(国際電気標準会議) /ITU(国際電気通信連合)の規格に合わせて作成しないとWTO協定違反になる旨定めているが、国際規格の ISO/IECなどが規格のマニュアルである規格票のコピー、ネット送信などについて著作権を主張し、使用料を請求している(『ISO/IEC 専門業務用指針 第1部 専門業務の手順 第7版 英和対訳版』(2009年7月)32頁参照)。そのため、英語の規格票を日本語に翻訳するときには翻訳権が働き、わが国もISO/IEC/ITUの許諾を得て、経産省が国際規格をJISの原案として、審議会での審議・答申や主務大臣の制定を経て、利用していることから、JISの著作権を主張せざるを得ない立場に追い込まれている。この点、他の先進国で国家規格を作成する機関は、米国国家標準協会(ANSI)・カナダ標準委員会(SCC)・英国規格協会(BSI)・ドイツ標準協会(DIN)・フランス規格協会(AFNOR)のいずれも民間団体か、政府から独立した連邦公社となっており、また国際規格を作成するISO/IECも民間団体であり政府機関ではないことから、規格の著作権を主張することについて支障はない。
一方でわが国では、国家規格の作成機関を政府機関とすることに固執し続けている。すわなち、JISC事務局が経済産業省本省に置かれる平成13年の省庁再編前には、旧通商産業省工業技術院の付属機関(http://www.aist.go.jp/www_j/guide/kikou/kikou.html)で、事務局は同院標準部標準課(http://www.meti.go.jp/report/committee/commi_31/g_commi.html)が行っていた(通商産業省『通商産業省組織の移管先一覧』(平成12年12月)19-20頁参照:http://www.meti.go.jp/intro/downloadfiles/s000012.pdf)。
平成13年の省庁再編の際には、工業技術院が独法化(産業技術総合研究所)することから、行政組織の減量・効率化の観点からJISCの位置づけが問題になったが、結局、中央省庁等改革大綱(http://www.kantei.go.jp/jp/990126kettei/9901taikou-6.html)で「通商産業省の工業技術院標準実施部門について、一部民間で対応できない規格作成等を除き、民間移譲する。」とされ、規格制定部門については国営を維持することになった。『21 世紀に向けた標準化課題検討特別委員会報告書』もこの頃に出されたが、国家標準化機関が国営のままでも、民間人が規格を作成すれば、その者が規格票の著作権を取得する、という妙な結論を出したのも、こういう省庁再編が背景にあるようだ。

なお、情報工学研究者で東京工科大学学長だった高橋茂氏からは、日本の国家標準化機関も民営化しないと、国際競争力が危惧されるという指摘がなされていたが(高橋茂「情報技術標準化についての私見」情報処理学会 情報規格調査会 NEWSLETTER No.39 (1998-09)4-7頁:http://www.itscj.ipsj.or.jp/topics/tp39-2.html)、経済産業省の担当官は相変わらず、国営化でないとダメだと、相変わらずの国営化路線に固執している(山中豊「事業仕分けと標準化」情報処理学会 情報規格調査会 NEWSLETTER No.85 (2010-03) 2-3頁:http://www.itscj.ipsj.or.jp/topics/nl85_yamanaka.html)。

政府は最近、知的財産戦略本部「知的財産推進計画2010」(2010年5月21日)(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/2010chizaisuisin_plan.pdf)や、「新成長戦略 〜「元気な日本」復活のシナリオ〜」(2010年6月18日)21頁(http://www.meti.go.jp/topic/data/growth_strategy/pdf/sinseichou01.pdf)で、国際標準化戦略をわが国の国際競争力の要として力を入れ始めている。しかし、規格の国際情勢を見ると、わが国の国家標準化機関の民営化や規格の著作権のあり方など、旧来の状況を抜本的に見直すべき点が多くあり、標準化専門家のみならず、広く世論を喚起して議論すべき時期に来ているといえるだろう。

コメント(4)

現在JISの規格の閲覧は、貧困者というか最新のアクロバットとか入れていない人には出来ないようになっています。
国民の財産であるハズなのに、それを利用する為に最新のアクロバットリーダーを使えとか強制されることは絶対納得できません。他の手段では読めないようにする為に税金が使われている事にも納得できません。

敵はあまりに強大であり、パンピーが束になってもどうにもならないでしょうと諦めて居マス。
実際、クレームには一切応答がありません。
以前、普通に閲覧できていた頃も、内容が読めるか読めないくらいに劣化したものをワザワザ税金で作っていたわけです。
まゆちゃんさん

早速のレス、ありがとうございます。閲覧が中々できないはもちろんのこと、プリントアウトやダウンロードができないのは、困ったもんですねえ。しかも素人感覚で著作権を理由にされるのは、たまったものではないです。

政府側がそのようにする理由が何であれ、ユーザーに対する説明義務はあるでしょうね。民間ビジネスならともかく、政府機関が主体となって国民の税金を投入しているのですから。

「パンピーが束になってもどうにもならないでしょう」と諦めるのは、まだ早いです。政府(経済産業省産業技術環境局基準認証ユニット)側が国際関係から辻褄あわせをしているのは、上記のとおりです。マスコミや世論にこのことを知らせば、是正される可能性はあります。
上記レスに追加ですが、国立国会図書館であれば、JIS本文の閲覧(ネットではなく館内ですが)はもちろん、ネット検索を通じて郵送複写が可能です。詳しくは「国立国会図書館 リサーチ・ナビ JIS規格:http://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-400392.php」を御覧ください。

経産省も国会図書館の上記サービスを知っているようですが、鳥澤氏の論文に反論できず、また表沙汰になるのを恐れて、黙殺しているようです(核爆)。

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