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机上の空論コミュの嘘800万ボルト〜其の拾四

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「鈴鹿・8時間」

メガTOKIOを目指し街道へと出た
ヤズィさんとキーターのふたり。
三重県へ入り次の町は鈴鹿。
「鳥羽に行ってジュゴンちゃんを見たいな」
「賭場に行って十連チャンをしたいだと?
お前、前に賭け事でヒドイ目に遭ったのを忘れたのか?
寄り道は禁止だ。行くぞ」

水族館でジュゴンと遊ぶ希望を一蹴されたヤズィさんは
ふてくされていた。この先まだまだ道は長いのに
キーターと仲良くやっていける自信がなくなった。
ふと、人の波が。
その列は前方の大きな建物へと続いていた。
なにやら歓声が聞こえ、楽しそうだ。
ヤズィさんは先を行くキーターを離れて、人波に続いた。
そこはサーキットだった。

サーキットではレースバイクが風を切って走っている。
目の前を走り去って、そしてまた戻ってきた。
そしてそれを延々と繰り返している。
ヤズィさんは詳しくないので、隣りの人に聞いてみた。
「今回はどういうレースなんです?」
「鈴鹿8耐だよ、8時間耐久レース。おもしろいだろう?」
「8耐?」
「そうさ、8時間休むことなく走り続けて順位を競うんだ」

ヤズィさんは思った。
8時間も耐えて走り続けるなんて大変だなあ、と。
しかし街道に出てからというものヤズィさんもキーターも
黙々と歩き続けて、一日8時間歩くのなんかざらだった。
そして、一歩一歩メガTOKIOに近づいて行っていた。
レースバイクは同じところをぐるぐる回り続けている。

「もう行かなきゃ」
ヤズィさんはサーキットを出て急いでキーターの後を追いかけた。
「おーい、キーター!」
「どうしたヤズィさん?」
「今日はもう8時間歩いたし、休もうか」
「そうだな、せっかくだからあしたは近くの水族館に行こうか?」
「いいよ、寄り道は。それよりあしたも8時間歩いて
一日も早くメガTOKIOにたどり着こう」
サーキットの方からひと際大きな歓声が聞こえてきたが
ヤズィさんとキーターは振り返らなかった。

時間の使い方は人それぞれ。
今日のあなたの8時間は前進する8時間?それとも耐える8時間?
(つづく)

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