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十和田湖・奥入瀬渓流コミュの奥入瀬に翡翠の流れを取り戻そう!

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琅●(「王」ヘン+「干」)(らうかん)の珠(たま)をとかしていまだ足らずなに秘めたりやこの湖(うみ)のいろ−九条武子 十和田湖

あまりにも森閑として人間のあやまちて入りし境かとおもふ−九条武子 奥入瀬渓流


 2006年10月から、青森県県土整備部河川砂防課では「十和田湖・奥入瀬川の水環境・水利用検討委員会」という検討委員会を発足させました。
http://www.pref.aomori.lg.jp/kasen/shisaku/towadako/towadako.html

多くの方はご存じないと思いますが、十和田湖の湖水は水力発電にも利用されています。その歴史は古く、昭和十二年まで遡ります。この間、水力発電に限らず、三本木原国営開墾事業計画などの灌漑用水にも利用され、農林省、内務省、逓信省、青森県、秋田県及び東北振興電力(株)などが複雑に関わり、現在に至ります。

十和田湖から流れる水は、奥入瀬渓流と水力発電のための青ブナ取水口の二ヶ所のみですが、奥入瀬渓流は特別名勝及び天然記念物に指定されています。また、この二ヶ所からの放水量は奥入瀬川河川統制計画により、子ノ口制水門からは毎秒5.56t(最大値)、青ブナ取水口からは毎秒20t(最大値)と定められています。簡単に言えば、奥入瀬渓流の4倍もの水が発電に利用されていることになり、70年もの間このような状態が続いてきました。が、近年の環境保護の高まり等様々な問題が認識されるようになり、ようやくこれが見直される気運が盛り上がってきました。

さて、そもそも、奥入瀬川河川統制計画ではなんの根拠があって毎秒5.56tと定めたのでしょうか。実はその根拠には確実なものはなかったのです。この河川統制計画以前、つまり、子ノ口制水門ができる前は毎秒6t前後の水量があったそうです。
http://www.pref.aomori.lg.jp/kasen/shisaku/towadako/towadako.html

であるならば、私たちはなるべく本来の奥入瀬渓流の姿に近づけるべく努力せねば、と私は考えました。これまでは制水門を人為的に操作した水量だったのですが、これを本来の自然な姿に近づけようと。もちろん、全くの自然に戻すということは不可能です。また、自然状態では水量の増減が甚だしく、今となってはそれも問題となるでしょう。ですから、人為的であることに違いはないのですが、なるべくならば自然の状態に近づけたい。自然を操作しようなどと思い上がらず、謙虚に、畏れを以て、十和田湖や奥入瀬渓流と向き合う。

では、本来の奥入瀬渓流の姿とはどんなものであったか。これは70年も前のことになりますから、確かなことはわかりません。でも、銚子大滝などの流れが、現状とは大きく違っていることは写真で確かめることができます。制水門ができる以前は、銚子大滝は大瀑布と形容していいほど、豊富な水量を誇っていました。現状では、滝の端にある岩によって、流れが分断されています。また、私の子供の頃は、石ヶ戸から歩いてきたお客様が、銚子大滝の前で歓声をあげていたことを覚えています。それほどの水量だったのです(その当時も河川統制計画下にありましたが)。私は記憶を探りながら、本来の奥入瀬渓流の姿を求め続けていました。

そんなある日(2007年4月24日)のことです。いつものように奥入瀬渓流を車で走っていたところ、助手席の妻が「あれ、いつもより水の量が多い」と言い出しました。なるほど、たしかに普段とは違って水量が多いのです。が、それだけではありません。奥入瀬渓流の水の色が違っていたのです。「あ、十和田湖の色だ!」私は思わず叫びました。奥入瀬渓流は十和田湖から流れ出る川なのですから、水量が増えれば十和田湖の色に近づくというのは、考えてみれば当たり前のことです。

なぜ、この日の水量が多かったのか。奥入瀬渓流の放水量が決められているのと同時に、十和田湖の湖水面の標高は自然公園法、文化財保護法、河川法によって季節毎の基準水位が決められています。この水位を守らねばならいのですが、今春はとても水位が高く、ボートハウスでは浮き桟橋を固定桟橋に繋げないほどだったのです。ですから、おそらくはかなりの量を放水していたと思われます(河川砂防課による東北電力への問い合わせでは、4/20−4/25に最大許可流量を放流していたとの回答があったそうです)。

奥入瀬渓流の水量が少ない現在、川の色はどこか薄汚れているようにも見ます。青灰色というか、青みがかった灰色のようにも見えるのです。なにも知らない方は、どうして奥入瀬は濁っているの、と感じているかもしれません。ところが水量が増えれば十和田湖の色に近づき、翡翠色の流れになるのです。これこそが奥入瀬渓流の本来の姿だと、私は確信いたしました。

奥入瀬渓流に翡翠の流れを取り戻し、全車両を排除する。それこそが奥入瀬渓流の本来の姿であり、同時にそこに人間のための空間が生まれます。人間のための空間−実は私たちはこれにあまりにも無頓着だったのです。例えば、人工の騒音から離れということなど、現代日本では極めて難しいことです。静謐−それ自体が私たちの身の回りから姿を消し去っています。或いは、夜の暗闇−天の川が見える地方もどんどん少なくなってきていることでしょう。奥入瀬渓流にはまだまだ大自然が残されています。もう少しの努力で、この大自然がその本来の姿を取り戻すことができます。そこには、冒頭の九条武子の歌の世界が、再び甦ってくるに違いありません。

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