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意味不明小説(ショートショート)コミュのさいかいのさい

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「わりゃあ、どうしてくれるんなら」

 クレームの電話。

「あぁん?儂か?儂ぁな、おまえんとこの『ゾウが踏んでも壊れないiPhoneケース』いう商品を買うたもんじゃ……」

「はぁ?『どういったご用件でしょうか』じゃと?さっきの電話のやつに言うたことを、またお前に言わんといけんのんか?なめとんのかお前ンとこの会社は!」

「まぁええ、もう一回言うちゃるわ。壊れたんじゃ、お前んとこの商品が!そのせいで儂のiPhoneも粉々じゃわぁ!」

「どういった状況でお使いでしたかじゃと?……それもさっきのやつに電話で言うたんぞ儂……まぁええわ。その前に確認しておくけどの。『ゾウが踏んでも壊れないiPhoneケース』ちゅうお前んとこの商品じゃがの、ホンマにゾウが踏んでも壊れんのじゃろうの?」

「……『はい、勿論でございます』じゃと?……どの口がぬかしょうるんならぁ!じゃあどうして、儂のiPhoneが壊れたんじゃ?ああ?」

「……馬鹿かお前は?ゾウに踏まれるわけなかろうが実際。ゾウに踏まれて壊れたけぇ、儂ぁ怒って電話しとる思うとるんか?そんな馬鹿な話あるかぁ、カバチたれんなや!」

「ええか?よく聞けや……サイじゃ……儂のiPhoneを踏み壊したんはサイなんじゃ……そうじゃ、ゾウじゃないんで、サイなんで。おかしかろうが?」

「はぁ?どう考えてもおかしかろうが?お前常識で考えてみいや。ゾウとサイどっちが重たい思うとるんなお前」

「……はぁ?『それはその個体の体重によります』じゃと……ふ……ふざけんぁ!さっきからお前たいがいにしとけよ!儂のことなめくさっとるのお前は!世間一般の常識から言うて、どう考えても、サイよりゾウの方が重たいに決まっとるじゃろうが」

「……何ごちゃごちゃ抜かしよるんなら?!儂の言うことを疑っとるんかお前?……じゃあwikipediaで調べてみいや!こら」

「……やっぱ調べんでもええわ、儂が教えちゃるけん。ええか、よう聞けや。ゾウの体重はの、だいたい13tあるんじゃ。そいでの、サイの体重いうんはのぉ、せいぜい3,5tぐらいのもんなんじゃ。どうじゃ!なんとか言ってみぃ!」

「……『お客様の仰っているゾウは』……『アフリカゾウのことでして』……『当社が想定しているゾウは、アジアゾウなんです』……じゃとぉ?」

「お前……ホンマにいっぺん、いわしちゃらんと分からんようじゃのぉ……儂、腹が立ち過ぎて、段々笑けてきたわ……」

「百歩譲って、お前らの言うゾウが、アフリカゾウじゃのうて、アジアゾウじゃったとしようわい……お前、アジアゾウの体重、なんぼか今言うてみいや」

「は?『お調べして、折り返しお電話いたします』……じゃと?おまぇツンボか?聞こえとらんのか儂の話がぁ!儂ぁすぐ答え言うたんじゃ!今すぐ答えんかいっ!」

「……どしたんなら?何で答えれんのんなら?おかしかろうが?お前、『ゾウが踏んでも壊れない』言うといて、そのゾウの体重が答えれんちゅうのはどういうことならぁ!」

「よう聞けぇ!アジアゾウの体重はのぉ、平均5tじゃあ!」

「……なん黙ってしもうとるんなぁお前。ここまでの話整理するど?ええか?」

「まずお前んとこの『ゾウが踏んでも壊れないiPhoneケース言うんを儂は買うた。そいで、それがサイに踏まれて壊れた。で、儂がお前の会社に電話したら、『担当にお繋ぎします』いうてお前と電話を変わった。お前らの会社はちゃんとしとらん会社じゃけぇ、引き継ぎをしとらんかった。じゃけ、儂が一からまたお前に事の経緯をもう一回説明してやった……そしたらお前が『当社の想定しているゾウは、アフリカゾウじゃなくて、アジアゾウです』と抜かしやがった。ここまではええか?」

「で……アジアゾウの体重をお前は知らんかった。自分で『アジアゾウです』言うといてから、答えれんかったわけじゃ」

「サイの体重なんぼじゃったかのぉ?覚えとるか?……そうじゃ……3.5tじゃ。そいで、アジアゾウの体重は……はぁ?聞こえんわい!……そうじゃ、5tじゃ……つまりどういうことなら?どっちが重たいんなら?」

「……聞こえんようろうが!おっきい声で言わんかい!……『サイよりも、アジアゾウの方が重たいです』……そうじゃな、そういうことになるわな……これで結論は出たな?」

「つまりお前のとこの商品は詐欺商品いうことじゃ。『ゾウが踏んでも壊れない』いうといて、ゾウよりも体重の軽いサイに踏まれてぶっ壊れてしまうようなもんを、お前らは売りょうたいうわけじゃ」

「……『直ちに代替え品を……』じゃと?……あのなぁ、儂そんなことして欲しゅうて、こんな電話したんじゃないんじゃ」

「……娘との……10年ぶりに会うはずじゃったんじゃ……この動物園で……」

「娘か?今年で16じゃ……儂、10年前に離婚しての……親権は別れた女房に持って行かれたけぇ、娘と離れ離れになってしもうたんじゃ……」

「裁判所の命令での……娘に会うことが許されんかったんじゃ、この10年」

「それがの……別れた女房がの……どういうつもりかしらんが『娘に会ってくれ』言うての……突然電話してきたんじゃ」

「女房は、癌になってしもうての。もうなごうないらしい……そいでなんかしら思うところがあったんじゃろう……」

「儂、『どこの病院なぁ?』言うて聞いたんじゃが、教えてくれんかった……『あんたには、もう会いとうない』言うての、まったく……死にかけとる癖に……あの女らしいわ……それよりも『娘に会ってくれ』言うての……」

「『お父さん』いうて……電話越しの声聞いた時儂、泣いてしもうた……儂が泣いたんは……・10年ぶりじゃった」

「『動物園で会いたい』なんて……普通に会うのは、照れくさかったんじゃろうのぉ、あの子も……何しろアイツが6歳の時から、会うとらんわけじゃけぇ……10年」

「……動物園……連れてってやる約束しとったんじゃ……10年前にな……離婚してしもうて、約束は果たせんかったがの……」

「この動物園で……娘と会う約束じゃったんじゃ……娘と……10年ぶりに……儂のぉ……儂、サイが好きなんじゃ……」

「サイがあくびしたんじゃ……儂、それをiPhoneで撮ろう思うたんよ……娘にみせちゃろう思うて……」

「落としてしもうての、オリの中に……」

「踏まれて粉々じゃ」

「娘……多分儂を探しとるじゃろう」

「電話番号?……覚えとるわけなかろうが……」

「『園内放送?』……10年ぶりに会うんぞ……ただでさえ照れくさいのにお前……そんなこと儂にできるわけなかろうが?」

「……神様が、会うな言うとるんかも知れんのぉ……儂、あれから真面目になってのぉ……まぁ、今じゃあ一応主任よ……まぁ土方じゃけどの」

「……悪かったの。色々言うて……そういうつもりじゃなかったんじゃ儂……サイよりもゾウの方が体重が重いとか……まぁ、ややこしいこと言うてすまなんだの」

 と

 男、公衆電話を切ると、サイのオリの前へ、とぼとぼ。

「……でっかいサイじゃ」

 男、心の中で――ゾウより重たいかも知れんのぉ……

 その時

 背後から声。

「お父さん」

 男、振り向く。

「……優子」

「やっぱりここにいたんだね」

「ど……どうしてここにおるんが分かったんじゃ?」
 
 幼い面影を、にじむ視界に重ねつつ男が尋ねた。

 すると娘、成長した笑顔で、こう答える。

「だってお父さん、サイが好きって言ってたし」

コメント(2)

>>[1] あざす^^ お笑いを書くつもりで書き始めたんですが、オチを探しあぐねて何故かこんな展開にw 自分もこの話、結構気に入ってます。

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