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意味不明小説(ショートショート)コミュの杭

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 大きな男が、大きな木を切って、小さな家を作っている。大きな木を、細く長く、自分の背丈がすっぽり隠れるくらいの杭にして、一本々々、立てていく。杭と杭との間隔が、どんどんどんどん、狭くなってゆき、柱から柵、柵から檻、檻から塀、のようになっている。杭が描く直線は、螺旋を描いて、大きな渦となっていく。螺旋を辿った、大きな渦の中心。大きな男が、最後の杭を──その杭は、男自身だ──いま、打ち終えた。細く長く、自分の背丈がすっぽり隠れるくらいの杭に囲まれた。男は、ずっとじっとしているしかなくなった。仕方がないから、空を見た。
 空には鳥が飛んでいた。鳥は虫を咥えていた。虫には翅が生えていた。翅には蟻がついていた。蟻が足を動かした。足は蟻を動かした。蟻は翅を引きづった。翅は虫をを空に舞わせた。虫は鳥を追いかけさせた。空で起こった追いかけっこが、螺旋になって、螺旋は星をとり込んで、大きな大きな星雲になった。大きな星雲のまん中に、小さな杭が──その杭は、男自身だ──ぽつんとあった。男と男は目が合った。ふたりは同時に目を閉じた。男はやっぱり、ずっとじっとしているしかなくなった。けれども、こんどは、怖くなかった。

(終)

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