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意味不明小説(ショートショート)コミュの福島県民

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ずいぶん早く宿に入ったので、いわき駅周辺を散策することにした。

量販店や飲食店が立ち並ぶ街並みからは、震災の影響を感じることはなかった。

だが、ぶらりと立ち寄った店の一角には、「頑張ろう東北」と書かれた貼り紙があった。

貼り紙の下には、地元の民芸品が売られていた。

物珍しげに眺めた後、何も買わずに店を出ようとした。

後ろから、おっとりとした口調で声をかけられた。

「ありがとうございました。また来てください」

にこやかな店員の笑顔が、そこにあった。

なんとなく、福島県民の人柄に触れたような気がした。


気分が良くなり、足取りも軽くなった。

気がつくと、駅からだいぶ離れていた。

先ほどから、小腹も空いてきていた。

辺りを見回したが、めぼしい店はなかった。

通りの向こうから、女子高生が数人やってきた。

どの娘も黒々とした髪をしており、膝下まであるスカートをすっぽりと履いていた。

絵に描いたような、田舎の女子高生だった。

通りすがり、その内の一人に美味い飯屋がないか訊いた。

娘は、仲間と相談した後、おそろおそろ答えた。

「ガストしか知らないです」

はにかんだ女子高生の笑顔が、そこにあった。

なんとなく、福島県民の人柄に触れたような気がした。


ガストでの夕食も、悪くはなかった。

店員の受け答えが、実に暖かだったのだ。

よほど気分を良くしていたか、宿に戻るとすぐに寝入った。

それは、夜中の三時だった。

突然の大きな揺れに、飛び起きた。

蓋がきちんと閉まっていないスーツケースを抱え、非常階段を駆け下りた。

フロントには、誰もいなかった。

呼び鈴を押すと、女性のフロント係が出てきた。

取り乱しながら、事の顛末を訪ねた。

後から知ったことだが、その時は震度三を記録したらしい。

決して言い訳するつもりはないが、少なくとも七階で寝ていた者にとっては、もっと大きな揺れに感じた。

「これ位の地震なら、毎日のようにありますよ」

「危なくないんですか?」

「裸足のまま外出される方が、危ないと思いますよ?」

眠そうなフロント係の笑顔が、そこにあった。

なんとなく、福島県民の人柄に触れたような気がした。


(終)

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