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意味不明小説(ショートショート)コミュの飛ばない鳥

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「明日のお仕事ありますか?」
「今のところないので、見つかったら電話します」
今夜の食事が、ピーナッツ・バターに決まった。
ピーナッツ・バターは良い。
一粒々々食べていれば、時間がかかって腹ごなしになる。
一粒を半分に割れば、その倍だ。
それが日雇人足の身であれば、更に倍になる。
明くる日、やることもないので、動物園に行った。
やることもない日は、図書館か動物園に行く。
どちらも、金がかからないのが良い。
図書館は足りない頭を、動物園は無くした心を満たしてくれる。
少なくとも、そういった気分になる。
檻の中でエサを食べる動物を見ながら、檻の外で夕べの残りのピーナッツ・バターを食べた。
心が全部、腹は半分満たされた。
たが困ったことに、俺の心は腹よりも貪欲なので、次の檻を見に行った。
その檻には、飛ばない鳥がいた。
檻と書いたが、その区画には檻がないので、飛ばない鳥は飛ぼうと思えば飛んでいける。
飛べる翼があるのに、飛んでいかない。
鳥は多分、エサを捕るためとか、敵から逃れるために飛ぶのだろう。
飛ばない鳥が飛ばないのは、飛んでいかなくとも、飢えることも逃れることも必要としなくなってしまったことを、知ったからだ。
と、思い至った時、
「クケケケッ」
飛ばない鳥が、俺を見て啼いた。
堪らなくなって、動物園を出た。
飛ばない鳥が啼いたのは、俺を敵だと思ったからだろうか?
あるいは味方だと思ったからだろうか?
考えてみだが、答えは見つからなかった。
困ったことに、俺の頭は腹よりも貪欲ではない。
まだ残っていたピーナッツ・バターは、どこかにやってしまっていた。
やることもないので、電話をかけた。
「明日のお仕事ありますか?」

(終)

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