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意味不明小説(ショートショート)コミュの屁放き犯人は迷宮入り(冤罪篇)

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「ぶぅ・・・・・・」

事件は突然訪れた――。
完全なる密室空間。
男5人が暇を持て余して、トランプをしている真っ最中に――そいつは現れた。

(だ、誰かが屁を放きやがったッ!?)

5人はトランプを持ったまま、顔が俯せになる。
異様なスペクタクルだ。
空間には静寂が包まれ、緊張感が漂い始める。
あんなにワイワイ騒いでいたはずなのに、この゛空気゛の変わり様は伊達じゃない。
各々鼻が敏感になり、気付かれないように、臭いを嗅いだ。

(ぐふッ・・・・・・く、臭ェ・・・・・・。ど、どいつが放きやがったんだ――!?)

5人は悟られないように必死。
下手に動けば犯人と罵られ兼ねないからだ。
部屋中に天然ガスがジワリと充満してゆく中、誰も言葉を発せず、時計針の音と共に時だけが過ぎてゆく。

(この中にガスの元栓がいるわけか・・・・・・早く窓を開けなければ大変なことになるぞ――!)

しかし、誰も動き出さない。
いや、動き出せないのかもしれない。
何としてでも動いてはならぬ。
挙動も。
微動だにもだ。
それは間違いなく自滅行為を示していた。
何故なら、動きに不審のある輩が真っ先に゛犯人゛扱いにされるからだ。
もしそうなれば、己の身は危うい。
リンチ必至。
4対1。
四面楚歌。
勝ち目は――ない。
それでも空気を読まないガスは陽気に満ちてゆく。

どれくらいの時が過ぎただろうか――。
ひたすら時計針の音が時を刻んでいる。

(こ、このままじゃ・・・・・・ガスマスクが必要になってしまう。スカンク野郎め――早く名乗りやがれッ!!!)

その時だった――。
どういう了見なのだろうか、意を決した或る男が顔を上げた。
他の4人も驚きの表情と共に顔を上げる。

「――おい。重要なことに気が付いたんだ。みんな、聞いてくれ」

もの凄い際立った声。
真剣な眼差し。
その表情には絶対何かあると他の4人は感じ取ると、咽がゴクリと鳴り響いた。
もう屁の臭いなど、どうでもよい。

(な、何言ってんだコイツ・・・・・・自滅する気かッ!? いや、いくら何でもそんな馬鹿なことはするまい。じゃあ、一体何を――? ま、まさか俺を犯人だと言い出すんじゃないだろうな!?)

他の4人は理性を堪えているつもりだろうが、動揺だけは隠せなかった。
汗をかく者。
瞬きをする者。
貧乏揺すりをする者。
トランプを震わす者。
またもや異様なスペクタクル。
不気味そのものだ。
暫しの沈黙を置き、或る男がまた口を開いたと同時に4人の動揺もピタッと止まった。
果たして、その言葉は神のお告げに値するお言葉なのだろうか。

(で、出るぞッ!!!)

「――゛犯人゛を見付けたところで・・・・・・゛屁にもならない゛」

辺りは氷河時代へ突入。
ここにマンモスがいる。
室温も一気に氷点下を越えた。
或る男はニヤニヤしている。

(こ、コイツ・・・・・・。人が緊張してる時に、こんな腐った駄洒落なんぞ考えてやがったのか!? ゆ、許せんッ――!!!)

或る男を除く4人の考えは見事に一致していた。
速やかにアイコンタクトで相槌を打ち、一斉に或る男の方へ向く。
ニヤニヤ顔の或る男にも漸く4人の異変に気が付いた様だ。

「え――何? みんな、どうした?」

聞く耳など持たない。
まさに――獣道。
4人は脇目も振らず、或る男の顔に食指を差しながら、口を合わせて言い放った


「゛犯人゛は――お前だぁぁぁあああーーーッ!!!」

そして、部屋には誰もいなくなった――。

コメント(3)

屁の残り香が残ったエレベーターでは最重要容疑者は決まって被害者です。
社会から犯罪が消える日は来るのでしょうか。
どんなことも完全犯罪は難しいようですねぇ
めざせポーカーフェイス!

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