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意味不明小説(ショートショート)コミュの食人日記

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食人日記

このマンションは暗くて、明かりのひとつもない。
人の住んでいる気配がないのだ。
自前の豆電球をつけた部屋に戻る。狭い。そんなことは前から知ってるけど、やはり狭い。僕一人が寝られるだけのスペースがあるだけ。もはやこれは、マンションとは呼べない。
部屋で、とりあえず、休むことにした。
休む、とは、頭のなかに去来するよしなし事と対話をし、外の世界との対話をやめることを言う。
頭のなかでは、どこかのゲームセンターがある。
僕は非常に明るい、その建物で、色々な機器の発する楽しい単調のメロディーに心踊らせながら、何かのゲームをしていた。
クレーンゲームって言うんだっけ。お菓子とかを拾う。あれをやっていた。
たった一人でね。
店員も誰もいない。いや、そもそもゲームセンターなのにお金を持っている感じでもない。なにかよくわからない目的のために、誰もいないゲームセンターで、無機質な音に心を鷲掴みにされて、見たこともないお菓子を釣っている。
赤い包み紙に入った、砂糖菓子がいくつも釣れた。

今、この暗いマンションで、僕は自分のポケットをまさぐる。
でもお菓子のようなものは出てこない。夢だったのだろうか?
しかし、左側のポケットの方から、そのお菓子と同じと思われる赤い包み紙が出てきた。じゃあ夢じゃなかったんだと思う。

空から大きな手が延びてきた。
その手は、僕の部屋まで延びてきた。
その手は、必死でなにかまさぐっているような素振りだ。僕をこの空間から探そうとしているのだろう。
僕はドアを開けた。するとその手は僕をつかんだ。

空に顔が現れて、僕に話しかけてきた。
「お前はどこにいるんだ?」
僕は、過去にどこかにはいたが、今はどこにいるかわからない。そう答える。
「じゃあ、食べてもいいんだな?」
その声の主は、きっと現在形なんだ。
僕は過去分詞形。じゃあ、概念を食べるだけなんだから、その事は構わない。そう答えた。
「では」

その顔は僕を食べた。

窓から下を見下ろすと、人が右往左往している。
その光景はまるで僕の子供の頃の夢のようだった。
なぜそう思うかって?空が明るいからだ。もし暗いならば、それは大人の僕なんだ。
もっとも子供の僕と言っても、この光景は、子供の僕の何なのかはわからない。
こどものげんじつ、こどものゆめ、こどものかこ、こどものふあん、こどももおとなもかんけいのないほんのう。
しかし、それらが形をつくっている。
その意味を定義するのは、大人の僕だ。その意味を、自由に解釈していいんだ。

僕は、「ことば」と書いてある箸を、右手に持った。
「いみ」と書いてある茶碗を、左手に持った。
そして、窓から見下ろす。そこは天空にそびえるマンションなのか、空を人が闊歩している。それは地上から遠くて僕の手の届くかったところにいたり、地上に近くて手が届かなかったりする。

一人の大人の男の人が、スーツ姿で歩いているので、きっと、僕自身なんだろうと思った。
その人を、お箸でつまんで、引き寄せて、僕のお茶碗の中に入れた。
「ねえ、今日学校の先生に習ったんだ。お箸を持つ方が右手。お茶碗を持つ方が左手だよ。」

いただきます。その人を口にいれて、むしゃむしゃと噛むと、美味しくなかった。
だから、途中まで食べて、窓の外にペッと吐き出した。

僕は地上に倒れていた。
僕の体はボロボロだ。養分を吸いとられて、血を流して倒れている。
僕の服は真っ赤っ赤に染まっている。中身なんてない。どこかに置き忘れてきたか、どこかで食べられたんだ。

僕は概念。中身なんてない。現在を生きてない。
誰かもわからない。今がいつかもわからない。

缶けりをしている、巨大な少年たちが、僕の頭上にいる。
僕は小人みたいに小さくなっちゃったらしい。
属の上でどかどかと彼らは走ってる。
僕はそれを寝ながら見上げてるだけ。

おい、今オレ何かを踏んだぞ。
本当?靴の裏を見せてよ。
なんか、よくわかんないけど赤いね。虫かな?
気持ち悪いなあ、オレ後で洗うよ。

終わり。

コメント(1)

30分で即興で、今さっき、スマホで書きました。

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