意味不明小説(ショートショート)コミュの教えておじいさん

「おじいさん、おじいさん。私この前ね、面白いお話を見つけたの。何だと思う？」
「さぁて、何かな」
「うんとね。そのお話にはね、小さな子供が出て来るの」
「それなら初天神だな。お前もようやく、あの面白さが分かる年になったか」
「違うわよ。アルプスに住む女の子がね“ざわざわざわざわ･･･”って汗かくヤツ！」
「それはカイジだな」
「ハリウッドの俳優さん！」
「それはケイジだな」
「ゆで卵が大好きなの！」
「それはエイジだな」
「平成でしょ、昭和でしょ、大正でしょ、その前は･･･えっと〜」
「それはメイジ（明治)だな」
「御飯の支度を自分ですること！」
「それはスイジ（炊事）だな」
「ロッキード事件！」
「それはセイジ（政治）だな」
「よっし、今日は早く帰れるぞ！」
「それはテイジ（定時）だな」
「大丈夫。あなたに迷惑はかけないわ。私、一人でだって育てるから。心配しないで」
「それはタイジ（胎児）だな」
「ヤツはとんでもないものを･･･」
「それは銭形･･･じゃなくてヘイジ（平次）だな」
「いいえ、あの方は何も盗らな･･･」
「それはクララ･･･じゃなくてクラリスだな」
「仰げば尊し、和菓子の･･･」
「それはオンジ･･･じゃなくてオンシだな。わが師はそんなに甘くはないぞ」
「夜と朝の間に･･･」
「それはペーター･･･じゃなくてピーター（池畑慎之介）だな」
「悪夢の１８連敗記録」
「それはロッテンマイヤー･･･じゃなくてロッテマリーンズだな」
「････････えーっと、えーっと」
「フッフッフ、そろそろ限界の様だな。まあ、良くやったと誉めてやろうじゃないか」
「ま、まだ終わった訳じゃないわ。おじいさんでも、さすがに次は分からないと思うから」
「ワシに分からないものなどないぞ。さあ、かかってきなさい」

「じゃあ、いくわよ。わてな、ナカバシのカガヤサキチかたからつかいにさんじましたんや。せんどナカガイのヤイチのとりついだドウグナナシナのこってさんじておりま。ユウジョ・コウジョ・ソウジョさんさくのみところもん、ビゼンオサフネのジュウ・ノリミツ、ヨコヤソウミンしぶいちごしらえコヅカつきのワキザシ。このワキザシな、ツカマエがだんはんタガヤサンやいうたそうでおますが、ほんまはウモレギやそうで、キィがちごうておりますさかい、ちょっとおことわりをねがいます。ジザイはオウバクサンキンメイチク、ズンドのハナイケにはエンシュウソウホのメイがおましてな、オリベのコウゴウ、ノンコウのチャワン、『古池や蛙飛び込む水の音』もうします、フウライボウショウヒツのカケモンで、タクアン・モクアン・インゲンゼンジはりまぜのコビョウブ。このビョウブなぁ、わてのダンナのダンナデラが、ヒョウゴにおますに、ヒョウゴのボウズのえろうこのみまするビョウブじゃによって、ヒョウグへやってヒョウゴのボウズのビョウブにいたしますると、かようおことわりをねがいます」

「････････すまんの。もう１回やってくれんか」

「よろしいか。よう聞いておくんなはれ。わてな、中橋の加賀屋佐吉かたから使いに参じましたんや。先度仲買の弥市が取り次ぎました道具七品のこって参じておりま。『一つ家に遊女も寝たり萩の月』。この仙台銘菓（名家）な、旦はん“伊達さんや”言うたそうでおますが、ほんまは源満仲（まんじゅう）やそうで、獄門島にて『鶯の身を逆さまに初音ミク』で季が違っておりますさかい、ちょっとネタバレにつきお断りを願います。時代は平安、実盛討ち死に、『むざんやな冑の下のイギリス人』にて一同落涙、道成寺（同情し）、木曾の患者が泥に救われ、兵庫の標語の小５の上戸（じょうご）がウェッと言うたそうでおますが、ほんなら下戸（ゲコ）はカエルじゃによって、『古池や蛙飛び込む水の音』で坊ちゃん申しますのは孫楚の意固地（故事）で、道後の坊主の子規のえろう好みまする運動じゃによって“野ボール”にいたしますると、かようお断りを願います」

「････････最近は耳が遠くなってしもうた。すまんがもう１回やってくれんか」

「よろしいか。よう聞いておくんなはれ。わてな、中橋の加賀屋佐吉かたから使いに参じましたんや。先度仲買の弥市が取り次ぎました道具七品のこって参じておりま。『古池や蛙飛び込む水の音』な、旦はん“それは俳人や”言うたそうでおますが、ほんまは“ハイジ”やそうで、かようお断りを願います」

「････････最近年の所為か、物覚えも悪くなってしもうた。すまんがもう１回だけ･･･」
「もう、おじいさん。好い加減にしてよね！」
「あっ、思い出した。蛙だけにもう帰る」