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意味不明小説(ショートショート)コミュの自殺しようと思った。

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自殺しようと思った。首吊り用に太いロープと大人のおむつを買った。だけどどうしても出来なかった。

だから今度は飛び降りようかと思ったけれど、周辺の高い建物はみんな屋上立ち入り禁止だった。

電車に飛び込もうかと思ったけれど、賠償金のことを考えると出来なかった。

富士の樹海まで行ってみたこともあるけれど、ヘタレだから奥まで行けずに逃げて帰って来てしまった。

そんな時だよ。同じメンヘラ仲間が面白いお店を見つけたんだって。『リング』って知ってるよな?

あの話は実は都市伝説に基づくものであって、本当に「呪いのヴィデオ」ってあるらしいんだよ。

ツテを辿って店主と交渉したら、今頃ヴィデオ・テープなんて珍しいから二十万もふんだくられたよ。

まあ仕方ないよな。ダビングされたものじゃ価値がないからな。オリジナルじゃないと。

おれはそのヴィデオ・テープを観たんだ(もう何人にも観られてるから単なる砂嵐状態だったけれど)。

そしてそのまま何ということもなくあっという間に一週間が過ぎた。

おれは風呂上がりだった。突然ついてないはずのテレビの電源がついたんだ。

来たな、とおれは思った。貞子様さま登場だ。これで終わりだ、ってね。

果たして貞子は現れた。画面に井戸の映像が流れた。粒子の粗い画像だった。

井戸からゆっくりと這い出して来たんだ。待った甲斐があったと思った。これでゆっくり死ねる。

貞子は画面越しにおれの方に現れて来た。前髪が長いので顔面が見えない。

瞳を見たら最期だ、そう思ってワクワクしていた。貞子はそっと呟いた。

「……怖くないの? 私が?」

おれは言った。「怖くないよ。ずっと待ってた」

そう言うと貞子は前髪を振り乱して叫んだ。

「なんでよみんなして!! 私がどれだけこの世を呪って死んだのか分からないの!?」

壁ドン。

「……ごめん、ここ壁薄いんだ」おれは謝った。

「でもそうじゃない」そう言って貞子は泣き出した。「最近だと『貞子3D』なんて上映しているじゃない」

「そうだな。おれは観たことないけど」

「画面から飛び出せないのが前提で私は飛び出すのよ? 『3D』なんて邪道じゃない?」

そう言って貞子はふと、おれの首筋をクンカクンカ嗅いだ。

「お風呂、入ったのね?」

「そうだけど」

「あの、迷惑じゃなければ、私も入らせて……汚しちゃうけど掃除はきちんとするから」

「いいとも」

その版おれたちは手を繋いで眠った。忌野清志郎の歌みたいに。

非モテのおれにとっては天にも昇る心地だった。だけど幸か不幸かおれは地上に居る。

そういうわけで、もうすぐおれたちの間に最初の子どもが生まれるんだ。名前は何にしようかな。

コメント(3)

作者がこういうこと書くのも無粋ですが、勘違いしていましたね。
あの話はダビングすることによって恐怖が倍増していくという内容でした。
お恥ずかしい。

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