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意味不明小説(ショートショート)コミュのプラズマ電解によりほうとうになる恐怖

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オグラ君は会津に居た自分のこどもの頃の同級生で、農家の場所のこどもだった。彼がいた場所の畑ばかりあるところのこどもに紛れて遊んでいると
「もぐらの家には電話がねえ」
と囃子ことばのようにして周りのこどもがばかにして言っていたのを覚えている。顔が土臭い感じで、もぐらのようだからオグラ君はもぐらと呼ばれていたのだった。かなり貧しいこどももいたから、彼の家にも電話がまだなかったのだろう。そのことを嘲られて、しかし嘲られていてもあまり気にしてないように見えた。いつかの折り、朝の教室で自分があそびで掌の根のところで鼻を突くと、吹き出すように鼻血を出してしまい、双方びっくりした覚えがある。

夢のなかで二階建ての木造住宅、それもかなり古びた場所に自分はいる。
周囲はロの字型の奇妙な構造をしていて、じぶんはそのうちの二階にいる。下りてゆくとオグラ君の家族がいて、自転車をいじっている。なんの気になしにそのあたりを見て、ぼんやり時を過ごしてオグラ君の家族たちが部屋にひっこむと、なにかひっかかるものを感じその自転車を見てみる。
ハンドルが砂漠用の迷彩色にいろどられた極端なかたちをしたものに変わっているのだが、そこを抜いてみると自分がかつて乗っていた自転車、それで盗まれてしまって行方知れずになった自転車に似ていると思いだすのだ。それでズボンのポケットをまさぐって入れはなしにしてある鍵をとりだし、オグラ君の自転車の後輪にかかっているチェーン式鍵穴にいれると、案に相違なく、鍵がはずれる。自分のものを盗ってごまかしのためも含めて改造していたらしい。
それで憤慨するかというとそうでもなく、自分はその取り返した自転車でいったことのない街のいったことのない角にある駄菓子屋へゆくのだ。

水田ばかりの間の道、曇天の道をゆく。
稲葉の色が深かった。

道をゆくと角にいくつかのみすぼらしい店がある場所にたどりつき、そのうちのひとつの駄菓子屋で焼きそばを買っていると卒然空がかき曇り、夕立の感じになってくる。かき曇るというよりはもっと禍々しい感じに空が黒くなってゆき、雷の音が雲中でごろつきはじめる。大粒の雨がばたばたと落ちはじめ、自分はどうしようか見ているのだが、ちょっと尋常ではないようなきもちになってくる。どッと雨が落ちはじめる。風が吹く。雷が落ちる。落ちるのだが、単発どころではなくて、連発するのだ。雷が雷をよぶような感じで断続して街角に落ちて、黒い周囲が雷電で白く光る。光り続ける。
(やばいぞ)
自分は思いはじめる。
(ちょっとこれ雷が多すぎる。このままじゃ、)
(このままじゃ、”プラズマ電解”をおこすぞ―)
思う。
プラズマ電解、とは何なのだろうか。
よくわからない。よくわからないが夢の中の自分はそんな知識をもっていて、そこからするとあまりに強い放電が繰り返されると、物体が分子レベルで分解してしまう、らしい。現実には自分には基本的に科学の知識はいっさいない。やばいぞやばいぞ、と思っているうち断続する稲光で白く照らされている目の前の店、軒先にかかっている赤と白のビニールの雨よけが、突然ざらざらと山梨のほうとうのようなものに変化して崩れてゆく。
あたりのゴム製のものがすべてほうとうになって砕けてゆく。
人間も例外ではない。
(ああ、ああ)

(死んじまう)

(いきなり分解してただのほうとうになっちまうぞ―)

尋常ではない極限状態にまきこまれてゆく。
自分は駄菓子屋のばあさん(顔もなにも印象がない)の家にあがりこみ、ばあさんと抱き合って
(もう、これは運任せだ)
思う。
(もうどうしようもない)
(こうなったら運だ)

運、運、運。

と繰り返して極限状態にありつづける。

という夢を見た。
かなりの極限状態にあった。


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