意味不明小説(ショートショート)コミュのいっぱいのやりいか

「いっぱいのヤリイカ……」

「え？」

「ヤリイカがいっぱい……」

「え？え？どういうこと？」

「何が？」

「ヤリイカが？」

「だから何が？」

「いや……ヤリイカがいっぱいってどういうこと？」

「つまり？」

「えーと、つまり１杯ってこと？」

「ん？」

「イカって1杯、2杯って数えるよね？」

「うん？」

「ヤリイカが１杯……つまり１匹いるってこと？」

「……どこに？」

「いや……それは知らないけど……」

「……」

「……」

「……」

「それとも、たくさんってこと？」

「何が？」

「いや、だからヤリイカが」

「つまり？」

「いや、だからいっぱいヤリイカがいるってことなの？」

「……どこに？」

「いや……それ知らないし……そもそも『ヤリイカがいっぱい』って言い出したのそっちだし」

「そうかぁ……ごめんね」

「いや、謝らなくていいから教えてよ」

「何を？」

「ヤリイカのこと」

「ヤリイカのこと……実はそんな詳しくないんだよね」

「いや……別にwiki的な回答を期待しているわけじゃなくて、『いっぱい』が、１匹のことなのか、たくさんのことなのかだけ教えて」

「……それって重要？」

「う……重要かと言われるとまぁ……でも気になるよ」

「そうかなぁ……僕はそれよりも、そもそもヤリイカがどこにいるのかってことの方が気になるなぁ」

「いや……何度もごめんだけど、それ、自分が言い出したことだから、私は知らないよ」

「何を？」

「いや、ヤリイカがどこにいるのか」

「海でしょ」

「へ？」

「海じゃないの？」

「いや、まぁ……」

「丘ヤリイカとか聞いたことないし」

「いや、だから……」

「てか恐いよなんか丘ヤリイカって」

「……」

「いっぱいいたらヤダね」

「……たくさんってこと？」

「うん？」

「たくさんってことでいいのね？」

「いや、１匹でもヤダ」

「論点をズラさないで！」

「論点？」

「だからぁ！『いっぱいのヤリイカ』のいっぱいっていう言葉は、１匹を意味しているのか、たくさんを意味しているのかってこと！」

「いっぱい……いっぱいのヤリイカ……さんしょういっぱいのヤリイカ」

「三勝一敗？？？」

「うん？」

「そっちかいっ！！！」

「どっち？ていうかどこ？」

「え？」

「ヤリイカどこ？」

「知らないよ！」

「まぁ、そんなに美味しいとは思えないけどねぇ」

「え？え？」

「山椒いっぱいのヤリイカなんて……」

「三勝一敗……だよね？」

「うん」

「勝ち越している……どうでもいいけど」

「誤解していない？」

「何を？」

「調味料の部分を」

「調味料……」

「そう、調味料」

「……」

「……」

「お寿司食べに行かない？」

「イカが食べたくなったの？」

「違うけど、お腹空いた」

「そう、じゃあそうしようか」