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意味不明小説(ショートショート)コミュの突風

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風が吹いた。

寒い寒い冬を終えて、
春が来たことを告げる風だった。

ランチのために外に出てきたOL達のカーディガンを舞い上げ、
高校生のテストの答案を吹き飛ばし、
空き缶がどこまでも転がっていった。


風が吹いた。

カーディガンが舞い上がり、電線に引っかかった。
答案は川に落ちて、流されていく。
空き缶は、猫にあたって止まった。


風が吹いた。

電線を見上げる男性社員は、そのOLのことが好きで好きで仕方なかった。
答案が海に流れ出て漁師に拾い上げられた。
猫は飛び上がり、八百屋の売り物のトマトに飛び乗った。


風が吹いた。

男性社員は、電信柱を登り始めた。
漁師は拾った答案が珍しかったのか、写真を撮って、メールで友人に送った。
八百屋の主人は激怒し、猫を追った。


風が吹いた。

電信柱を登ったはいいが、カーディガンに手が届かない。
漁師の友人はバイク便のライダーで、信号待ちの間、ケータイを開いてメールを見ていた。
猫を追う八百屋の主人、猫は疾走する。


風が吹いた。

バランスを崩し、男性社員が電信柱から落ちそうになる。OLが悲鳴をあげる。
ライダーが答案を見て笑う。あいつは何を送ってくるんだ。
猫が電信柱を登る。


風が吹いた。

男は電信柱を蹴って、飛んだ。
ライダーは後ろの車からクラクションを鳴らされ、慌ててアクセルをふかす。
猫は男の肩に飛び乗る。


風が吹いた。

男の肩から猫が飛び上がり、カーディガンにしがみついた。
ライダーはバイクの前輪を高くあげウィリー状態になって、後ろに転倒した。
バイクはそのまま宙を舞った。


風が吹いた。

男はバイクのシートに着地し、そのまま走り去った。
ライダーの手には猫とカーディガンが落ちてきた。
OLは信じられないといった顔で、呆然としている。


突然の風に吹かれて、
男はバイクに乗って走り出し、
ライダーは猫と恋人との出会いを手に入れた。

季節は、春であった。

コメント(2)

風が吹き、3つのルートに別れ、最後には1つにまとまりオチへ…

きれいに流れていったと思います。

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