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意味不明小説(ショートショート)コミュのさくら

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「ここになにかがありまする」
そう言って彼女は化石発掘用のトンカチで
私の胸をとんとんと叩く。
いつもの陽だまりの午後。
「なにもありませぬ」
「いやいや、なにかあるであろう」

やがてポッカリと割れた私の胸の断崖を
丁寧に刷毛で掃いて
「ふむふむ」
と覗き込む。

「あった?」
彼女は答えない。
まるで考古学者のように眉をひそめて
くんくんと匂いを嗅ぐ。

一陣の風が胸の穴から舞い上がり
彼女の前髪をふわりと揺らす。
驚いた表情でなにかを指でつまんで
私の前に差し出す。
「これはなんであろう」
「はて、桜の花びらではあるまいか」

胸の穴は黒く深く死に絶えた闇。
白き花の咲くところ。
「さくらは一度死んでから咲き始めるのよ。だからあんなに幹が黒いの」
「だから、あんなに花は白いのか」

花は散り緑の葉が茂る。
桜は散って生き返る。

「収穫収穫」
そう言って彼女は舌に花びらをそっとのせ
私の手をとり踊りだす。
なにか言っているが言葉にならない。
畳にさす西日に二人の影が枝のように伸びて
くすくすといつまでも揺れている。





*過去の作品から

コメント(3)

>ひぃ様
しょーかくしゅーかく。

>ババレモン様
めでようっめでたいっぞぴかぴか(新しい)

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