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意味不明小説(ショートショート)コミュのALICE

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 秋雨が印象的な夕暮れ。燃えるような光に染まった庭で父さんと母さんが喧嘩している。
 「アリスはただの兎だよ。代えはいくらでもいる。今度買ってきてやる」「あなた!アリスは真咲の友達だったのよ!友達を亡くして泣いているの!あなたは今、お金で友達の代用を買うって言ってしまったのよ!この子の気持ちを理解して物を言いなさい!」「そんなつもりないよ。俺はただ、早く真咲に元気になって欲し」「愚か者!幼稚園児でも他人の気持ちになって物事を考えられる!それは人間としての基本だからよ!あなたはそれができていない!」「子供なんてほっとけば泣き止……
 ただ憂鬱にくれ、穴の隣で呆然と突っ立ち、アリスを埋めるのをやめて欲しい気持ちをこらえる事しかできなかった。父さんがアリスを埋め終わってしまうまでは短く、それが余計に憂鬱を増した。
 部屋に戻り、兎用のゲージを覗き込む。ただ、茶色い抜け毛と丸っこい糞だけが隅に固まっていた。アリスはいなかった。大声で泣いた。
「泣くのはお止めなさい。僕は死んでいない」
 部屋の角には私がぎりぎり通れるぐらいの穴が開いている。アリスは穴の奥にいた。
「あ、そこにいたのね」
 私が穴の中をくぐると、アリスは奥へ行く。追いかけると、アリスは奥へ行く。
「待ってよ」
 走ってもアリスには追いつけなかった。アリスは闇に染まり、見えなくなった。
 気付けば私は庭にいて、シャベルを持っていた。闇の中、アリスのいそうな場所で大きな穴を掘った。足元にアリスは見えなかった。穴の中に入った。土の表面にアリスは見えなかった。穴に寝そべり、手で体に土を盛った。妙に心地が良く、安心を覚えた。このまま埋まっても良いと思った。途中で腕が疲れ果て、アリスに会う前に眠ってしまった。
 母さんのいつもの金切り声が聞こえた。朝だった。
 父さんと母さんが必死な顔で駆けつけてきて、私に被さった土を払う。
「こんなに思いつめてるとは思わなかった!ごめん!お父さんが悪かった!お父さん馬鹿だからな!悪気はなかったんだ!お父さん、アリスの代わりに真咲と友達になってやるからな!精一杯友達でいような!」
「お母さんも馬鹿だったわ。誰もあなたをなぐさめていなかった事に気付いてやるべきだった。不安だったのでしょう?頑張ったわね。でも、もう頑張る必要はないわ。お母さん、真咲と友達になってあげるからね」
 言っている意味がよく分からなかった。けれど、私は泣いていた。アリスが死んだ事がようやく分かった。
 あれ以降、父さんと母さんは私の友達になり、よく一緒に勉強したり、友達や好きな子の話をしたり、公園でご飯を食べたりした。急に毎日が楽しくなった。父さんと母さんは喧嘩しなくなり、急に仲良くなった。
 私は笑う癖がついた。

コメント(2)

 ありがとー!感謝!

>ハッピーエンドのようでどこかもの悲しいものが残りました。
 あはは。そういやぁそうや。哀しいはずやねん。これ、どう考えても始め真咲よりアリスに感情輸入してしまうねんなぁ。
 アリス死亡。真咲の中でアリス悪魔化。最後は両親の愛の前でアリスは当然のように忘れ去られる。
 自殺願望ある人にとって、このアリスの物語は最高にBADだと思う。「アリスが死んだ。アリスは周りを幸せにした。アリスの死はよかった。俺も死のう」。……いや、こういうメッセージじゃないからこの物語!人間の場合、自殺しても周りは幸せになるどころか、「死なせてしまった」という責任感でうつと自殺願望を誘発するだけだから!動物だから成立してる物語だよ!
 正直、書いている時、真咲の事しか頭にありませんでした。で、アリスの救済のない物語が出来上がり。……せめてアリス救済の一文入れればよかった。あははー。マジごめんなさい。

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