意味不明小説(ショートショート)コミュのキヌガサ

キヌガサは異常だ

キヌガサは異常だった

キヌガサは、常に頭の中に、ロート製薬のＣＭメロディが流れていた

キヌガサは、たったそんな理由だけで、ロート製薬の中途採用面接に行く奴だ

見事に落ちた
当然落ちた
落ちて当然だ

キヌガサは、情報過多時代における被害者だ

右脳の良く発達した奴だ

というよりも、理性や何かのタガが外れてしまってるやつだ

節約と健康の名目で持ち歩いているバナナは、黒くブニブニになったとこしか食べないのだ
あとは捨てるのだ

バナナチップスも、何故か水でふやかしてから食べるので、俺は

「何だか、昔の旅人の持っていた乾飯(カレイイ)みたいだね」と言ったら、

『馬鹿、これはカレーじゃねぇ。バナナだ』と会話にすらならなかった

今も昔も旅人は、カレーを持ち歩かない

キヌガサは、自分の進むべき道を行く

塀やフェンスを乗り越えて行動するので、何度か警察に厄介になっている。

キヌガサは、性同一性障害を履き違えている。
『俺と同じ性同一性障害の人がいるから、紹介してやんよ。』

「え？キヌガサって、そうなの！？」

驚いていたところ紹介された人はキヌガサさん、ただ同姓なだけだった。

キヌガサは危険因子だ。

現に今も、７０リットルのゴミ袋一杯に集めた蝉の抜け殻を、水でふやかしている最中だ。
しかも、ここはファミレスだ。

「なぁ、キヌガサ。まわりの視線が痛いから、やめてくれよ。」

『那由多不可思議な事言ってんじゃねぇよ。そんな事だからお前はいつまでたっても座長になれねぇんだよ。』

「…それを言うなら社長だろ」

『同じ穴のムジナの小せぇ野郎だな。俺の揚げ足を取りたいなら、俺の揚げ足を取ってからにしろよ。…お！見ろよ。軍隊アリだ。』

キヌガサの指差したその先には、街を覆い尽くさんばかりの軍隊アリが行進していた。

『会計頼んだぞ。』

そう言うとキヌガサは、金色に光り輝く翼を生やし、ファミレスの天井をぶち破り飛んで行った。

キヌガサが神にせよ何にせよ、とにかくキヌガサは異常だ。