意味不明小説(ショートショート)コミュの青い青い全くもって

大学に入るまで、つまり４年前まで、
映画も本もテレビも全くといっていい程見てなかった。
音楽も聞いてなかった。
辛うじて数話見た事のあるドラマは｢魔女の条件｣。

｢避けてる？｣その通りやった。
中学２年～高校３年間はひたすら思考停止して過ごした。
自分で作る、て姿勢はだいぶあほらしいし、胡散臭いし、ドキュメントは不純やし、
元々言葉なんかにした時点で｢本質｣がただでさえ臭いのにもっと腐りだすし、
今現在地球上で何か物を作ってる膨大な集団の中の１人に落とし混まれると思うと
ますます何かを作る気がなくなった。
人の自意識に触れる事がおぞましいし、怖かった。
自分の中には何もない、と気付く切っ掛けとなる媒体を排除し尽くした。
端的に、シンプルに、自信のなさに蹂躙されてた。
完璧やないとアカン。しかもそれは
｢何もしてなくても既に完璧やないとアカン｣という潔癖ぶり。首は締めに締められた。
そして、気まぐれに翳る寂しさに度々胸が踏み潰されて。
今欲しい物とか今手に入れる事のできる物ばかり躍起になって探して
付加価値なんか関係なく寝た寝た寝た。
それやのに、いやそれゆえに、どんどん私は｢今どきの子｣として成長していった。
嫌ならやめる。バックレる。
｢悲しいぐらい現代人やなあんたは｣
初めての家出から帰ってきた私に向かって母がそう言った。
家出中、いつかは帰って元通りの生活を送らんとアカン、て気がずっとしてた。

テレビは部屋にないから今も見てないけど、昨日芝居の稽古に行った。
平成生まれの女の子が２人と大学生の男の子が数人。
皆楽しそうやった。嘘くさいぐらい。
何かのやる気が分かりやすい形で見える人は２人。あとは印象に残らんかった。
けど、自分が尊敬できひん人を見る事で自尊心を満たして
今の立ち位置にかまけるのは最低に卑猥な行為やから、
仕事で芝居をしている自分の姿をひたすら想像してひたすら溺れた。ごへごへ

今、イメージしている。
裝苑の表紙になってる自分、
CHANELの広告になってる自分、
映画でえげつない悪役をこなしている自分、
舞台で堂々と歌ってる自分、
ショーで歩く自分、
その全ては現実になりうる。
｢物事を大事に受けすぎないようにね。
しばらくたてばただの現実になるし、その現実がどのようなものかが重要だから｣
カメラマンが優しいんやか厳しいんやか分からんメールをくれた。
とりあえず今は、イメージした者の勝ち、と解釈しておく。
10年後ハリウッドの映画に出てたっていい。
身の程なんか知らんでいい。
上手くやろうとするから萎縮する。
イメージ筋をつける。
目が覚めたら朝。
おはよう。愛してます。