MAYDAY メーデー！ナショジオコミュのDEADLY EXCHANGE Cooperate Airlines 5966便着陸失敗事故

2004年10月19日、Cooperate Airlines 5966便(Jetstream 32型機、N875JX)は米国Missouri州St.Louis空港から同州Kirksville空港へ、天候が悪化する中最後のﾚｸﾞを飛行していた。乗客13名は医療関係者で学術集会へ向かっていた。Kim Sasse機長34歳とJonathan Palmer副操縦士36歳はKansas city管制より3,000Ftまで降下して、Rwy36への非精密進入によるｱﾌﾟﾛｰﾁを許可された。空港から16NMで着陸前ﾁｪｯｸを完了し、Flap10°展開して、Palmer副操縦士は無線を7回ｸﾘｯｸして滑走路灯火を点灯させた。Sasse機長は視界不良なので灯火が点灯したかを無線交信して確認した。滑走路端から2.5NMを620Ftまで降下し、更に降下を続けたところ、1.3NM手前で樹木に接触してﾊﾞｳﾝﾄﾞし、1.2NM地点で樹木に衝突して墜落炎上した。乗員乗客16名のうち、医師と同僚の女性2名だけが生存した。
NTSBはTom Haueter調査官らを現場へ派遣し、消失した機体の残骸から事故機は墜落まで飛行していたことを確認した。また事故当時の天候は雲底300Ft、視程3-5SMであったが、先行機の機長らから天候に異変はなかったとの証言を得た。
改修したFDRとRadarﾃﾞｰﾀから、事故機はMDAから更に降下し、同型機の降下率は900fpmであるところ、1,200fpmで地上に衝突していた。Malcolm Brenner調査官は改修されたCVRを解析して、電波高度計が400...300...Minimumとｺｰﾙした直後に機長が”I can see ground”と発声し、副操縦士が”I don't see anything...”と応じているのを確認した。その後、副操縦時が”Flap 35°？”と問いかけた途端に、機長が”No! Trees!!”と叫んで、音声が途絶えていた。二人とも計器を見ずに外ばかり注視していたことが伺われた。
二人の乗員は旧知の仲で、St.Lous空港を離陸後から冗談を言い合っており、Sterile Cockpitのﾙｰﾙを守っていなかった。機長はかつて客室最前列の乗客の足がｶｰﾃﾝ越しに操縦室の仲間で伸ばされていたので、わざと本を足に落としてやったとも話していた。
降下中は低く垂れこめる雲を見て、機長は窒息する感じだというと、副操縦士が首を絞められたような声を出して応じたりしてふざけ合っていたため、QNHが29.90か29.92なのか再確認もせず、ﾁｪｯｸﾘｽﾄを完了させていた。
事故機の同僚に面談したところ、大柄な機長が事務所内の小さなｿﾌｧｰで仮眠をとっていることがあったとの証言があった。事故当日の乗員のｽｹｼﾞｭｰﾙを調べると、4amに起床、5amに第1便に乗務、その後14時間で総計8回乗務していたことが分かった。睡眠不足による注意散漫が墜落事故に影響したことも考えられた。

コメント(3)

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[1] mixiユーザー 07月02日 18:01

人間は疲労が蓄積すると、1.物事に固執(fixation)し、2.他の選択肢を考えなくなり(no option)、3.心配事への反応が遅く(slow reaction)、4.危険な衝動的な決定をする(risky/impulsive decision)と云われる。当日最後の短いﾚｸﾞなら悪天候でも何とかなろうという甘さが死を招いた。
NTSB調査官は、乗務時間が13時間を超えると、事故発生率が数倍増えると述べている。事故機には自動操縦装置が装備されておらず、manualで14時間飛んでいたというのは俄かに信じがたい。運送業の過重労働は洋の東西を問わず未だに深刻だ。

[2] mixiユーザー 07月02日 18:03

Kim Sasse機長(Gabriel Burrafato)とJonathan Palmer副操縦士(David Brown)は何度も欠伸をしながら、冗談を言い合って最後のﾚｸﾞを飛んでいた。不見識と云われればそれまでだが、最終便を欠航にしたり、出発地のSt.Louisへ引き返すような余裕がなかったのだろう。大きな代償となってしまった。地域航空会社の厳しい運航状況を好演していた。

[3] mixiユーザー 07月02日 18:11

事故機の乗客13名は医療関係者で、後日Kirksvilleで開かれる集会に参加するため最終便に同乗したという。皆おそらく仕事を早めに切り上げて、St.Louis空港へ駆けつけて搭乗したのだろう。運命と云えばそれまでだが、生存したDr.Crookeの同僚であるMs.Wendy Bonhamが仕事仲間を一瞬にして失った辛さを涙ながらに語っていたのが心に残った。

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