'Ua here ho'i au ia 'oe. 「私はあなたを愛しています」 Mai te hō'ē tiare Tahiti. 「まるでティアレタヒチの一輪の花のよう」 Tō tino ravarava 'e. 「あなたの身体はすべすべして美しい」 Tō mata, tō rouru tu'u noa. 「あなたの眼、あなたの髪はあるがままに」
さび 'A toro mai tō rima. 「あなたの手をこちらに伸ばして下さい」 Horo'a mai tō tino. 「あなたの身体をこちらに下さい」 'Ua here ho'i au ia 'oe. 「私はあなたを愛しています」 I teie pō 'ava'e. 「この月の夜に」
Ho'iは、動詞としては、「帰る、戻る」「鼻キッスをする」である。 Ho'i以外に動詞がなければ、多くの場合「帰る、戻る」という意味であるが、Ho'iの最も多い使われ方は、直前の単語の「強調」である。 例えば「'A ho'i 'oe」なら、動詞は「ho'i」(帰る)だけなので、「あなたよ、帰りなさい」という意味であるが、「'Ua here ho'i au」なら、動詞hereがあるので、「ho'i」は、直前の動詞である「here」を強調している小辞であると解る。 従って「'Ua here ho'i au ia 'oe」と「'Ua here au ia 'oe」は、どちらも「私はあなたを愛しています」となるが、厳密に訳すと、前者は「私はあなたをとても愛しています」となる。 英語では、前者は「I love you so」後者は「I love you」と訳される。「ho'i」は「愛している」を強調する役目で使われている。
auは、一人称単数の代名詞、すなわち「私(は)、私(が)」である。 タヒチ語の基本的な構文は「動詞+主語」である。 まず「何がなされたのか?」という質問に答える形で、最初に動詞が置かれる。 次に「その動作主はだれか?」という質問に答える形で、動詞に続いて主語が置かれる。 「Here au」の場合、動作主(主語)はau(私)であり、動作はhere「愛する」ということである。このhereに時制辞'Uaが付き、強調辞のho'iが補完されている。 「here」は、他動詞である。他動詞は動作主がおこなった動作の向く対象を示す必要がある。これに対して自動詞なら動作の対象は無い。例えば「立つ」「起きる」などである。これらは自分の動作で完結するものである。 「here」は、他動詞だと申し上げたので、その動作の向く必要を示す必要がある。 この場合、それは「'oe(あなた)」であるが、「'oe」が対象であることを示すために置かれる目印が、「ia」である。「対象」は英語で「オブジェクト」なので、対象の目印という意味で「オブジェクトマーカー」と呼ばれる。 日本語では前置詞と呼ばれる中のひとつである。「オブジェクトマーカー」の「ia」は、動作主「au(私)」が行う動作「here」の向かう対象の目印であり、この「ia」以後が目的語となる。この文章例の場合は「〜を」と翻訳する。「ia 'oe」は「あなたを」と翻訳される。 オブジェクトマーカーは、オブジェクトが「人」の場合は「ia」であるが、「物」の場合は「i」になる。物の場合は「定冠詞」(名詞マーカー)「te」が付くので、多くの場合「i te」がセットになっている。 そのため、タヒチ語の文法書などでは、基本文型を「V+S+i te+O」であると解説されているが、O(オブジェクト)が、、物でなくて人の場合は「V+S+ia+O」になる。 V=動詞、S=主語、O=目的語 改めて「'Ua here ho'i au ia 'oe」を見てご納得頂きたい。 「'Ua here ho'i」が「動詞句」Vである。このVの動作主Sがauで、動作の対象Oが'oeということである。