ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

市民運動創造と宇都宮健児ら群像コミュの【色平哲郎氏のご紹介】 現場で公助が見えてこない。政府が存在していることすら見えないのです。

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
折々のことば:2113 鷲田清一 2021年8月12日

現場で公助が見えてこない。政府が存在していることすら見えないのです。(稲葉剛)

     ◇

平成バブルの崩壊後、27年にわたり路上生活者、生活困窮者の支援に取り組んできた「つくろい東京ファンド」の代表理事は、コロナ禍の今、民間によるそうした支援の現場が「野戦病院」のような極限状態にまで逼迫(ひっぱく)してきていると訴える。こうした悲鳴がしかと届くことなく打ち棄(す)てられるなら、いったい何のための国家かと。
本紙7月24日朝刊be「フロントランナー」から。


==

(フロントランナー)一般社団法人「つくろい東京ファンド」

代表理事・稲葉剛さん いなばつよし(52歳)朝日新聞 2021年7月24日

東京・新宿駅西口の地下道。ここで多くの路上生活者の死に出会ったことが活動の原点だ。そして、「つくろい」設立のきっかけは東京五輪の開催決定。過去、五輪の開催都市では路上生活者が排除されてきたが、それを許さない決意だった

 ■社会のほころび繕う貧困支援

 バブル崩壊後の27年間、生活困窮者支援の現場に立ち続け、コロナ禍のいまも最前線にいる。
 ネットカフェの休業などで行き場を失った人たちからのSOSが次々届き、サポートに追われる。路上生活者を訪ね歩く夜回りも続けている。「もう1年4カ月、野戦病院のような状態が続いています」。最近の炊き出しの列に並ぶ人の多さも気になる。若者、女性、外国人――。これほど多様な人々が困窮している状況は見たことがない。「社会の底が抜けてしまっている」
 活動の原点は1990年代半ばの東京・新宿。路上生活者の「段ボール村」で見た貧困だ。「路上で人が亡くなるような社会は間違っている」。24歳でホームレスの支援活動に飛び込んだ。
 住まいと貧困の問題にこだわり続け、「住まいは基本的人権」という理念の下、安定した住まいの確保を最優先にする「ハウジングファースト」という考え方にたどり着く。2014年に設立した「つくろい東京ファンド」(東京都中野区)では、空き家・空き室を活用し、住まいを失った人たちを受け入れる個室シェルターを運営。昨年3月以降は緊急避難的にシェルターを59室にまで増やした。ペット同伴が可能な個室も四つある。
 どの部屋もすぐに埋まっていく。これまで140人以上がシェルターを経て自分名義の住まいに入ることができた。シェルターの掃除や寝具交換は自らかいがいしくこなす。こういう雑務も苦にならない人だ。
 行政が用意する宿泊施設は、環境が劣悪な相部屋だったり、制約が付き利用しづらかったりして、路上に戻る人も多い。「私たち民間の支援団体が奔走しなければならないのは、行政の支援のほころびからこぼれ落ちる人が大勢いるから。『つくろい』とは、このほころびを繕うことなんです」
 支援制度のほころびを見つけるや厚生労働省、都庁、区役所へと足を運び、改善を働きかけてきた。特に生活保護は使いづらいとして長年見直しを訴える。その声が動かしたものは多い。
 穏やかで淡々。誰に対しても態度を変えず、言葉遣いは丁寧だ。活動を共にする妻の小林美穂子さんは「心の中で静かに青い炎がずーっと燃えている人」という。「激しく燃える赤い炎よりも温度が高い」
 見据えるのは、「アフターコロナ」の社会だ。コロナ禍での苦しみを忘れようという空気が社会全体を覆い、そのときは生活困窮者に対する目はさらに厳しくなるのではないか。「現実の問題から目をそらさない。自分自身に向けてもそう言っています」
 (文・林るみ 写真・相場郁朗)

ホームレス経験者の社会的孤立を防ぐための居場所として運営する「カフェ潮の路(みち)」で。パートナーで「つくろい東京ファンド」のスタッフ小林美穂子さん(右)がおかみ=東京都練馬区

 ――広島の出身。子どもの頃から社会問題に関心があったのですか。
 平和や戦争の問題には敏感に育ちましたね。両親は幼いときに離婚し、母子家庭でした。母は10歳のとき入市被爆しました。8月6日が近づくと原爆で亡くなった人たちの話をちらほらしてくれました。父も「原爆孤児」でした。平和問題に関心があった8歳年上の姉の影響も受けましたね。
 ――東大在学中は様々な社会運動に関わります。
 1991年に湾岸戦争が始まり平和運動のデモに参加。湯浅誠君と出会った。東大の川崎哲君(現ICAN国際運営委員)や早大出身の見津毅君たちと一緒に代々木公園にいる外国人労働者の支援運動を始めて。94年春、初めて新宿の「段ボール村」へ足を踏み入れました。

 ■路上で消える命

 ――新宿での支援が今の活動の原点ですか。
 ええ。当時新宿にはホームレスの方が200〜300人いて、年間40〜50人も凍死や餓死で路上で亡くなっていました。豊かとされる日本の首都の中心でこんな貧困があるとは。衝撃的でした。路上で人の命が失われていく社会を変えたいという思いが原点です。
 95年3月、支援活動のカリスマ的リーダーだった見津君がバイク事故で亡くなった。内気な私はいつも彼の後にくっついていたのですが「今後は稲葉君中心で」とお鉢が回ってきた。
 ――96年1月、段ボール村が強制撤去されました。
 当時都は路上生活者は「不法占拠者」、段ボールハウスは「路上廃材」と。都が軟化して「排除ではなく野宿から抜け出すための対策を」と官民の話し合いが始まった矢先、段ボール村で火災が起き、4人が亡くなりました。排除反対ばかりに注力して、安全な家を選択肢として提示できなかったことに自分たちの活動の限界と責任を感じた。取り返しはつかないが、背負っていくしかない、と。
 ――活動の内容が変わっていった。
 それからは、路上から脱出し、住まいを得るのを後押しする活動になりました。2001年、湯浅君と自立生活サポートセンター・もやいを立ち上げ、野宿経験者がアパート入居の際に求められる連帯保証人を引き受ける事業を始めました。もやいでは幅広い貧困問題に取り組みました。03年ごろからネットカフェで生活する若者たちから相談が来るようになって。非正規雇用が広がっていた。

 ■住居と生活保護

 ――住まいにこだわり続けています。
 私が行き着いたのは「住まいは基本的人権だ」ということ。プライバシーの保たれた住まいを無条件で提供し、地域で支えていく「ハウジングファースト」を提唱しています。それと「権利としての生活保護」を2本柱に据え、13年に東京五輪開催が決定すると翌年、空き家などを借り上げ、「つくろい東京ファンド」を設立したのです。
 これまで五輪の開催都市では路上生活者の排除がくり返されてきましたが、それで終わってはならないという危機意識がありました。きちんとした住まいを確保したいという思いがあった。偶然、安くビルのワンフロアを貸してくださる方がいた。クラウドファンディングでお金を集め、小さな個室シェルターを開設しました。「つくろい」とはセーフティーネットを修繕するという意味です。
 ――コロナ禍で、困窮者支援に奔走しています。
 過去には3千人以上の生活保護の申請に同行しました。コロナ禍でも福祉事務所の窓口で相談に来た人を追い返したりする水際作戦が頻発しています。厚生労働省にオンライン申請を認めるよう申し入れた後、厚労省のホームページで「生活保護の申請は国民の権利です」というメッセージが掲げられたのはよかった。
 ただ、一番困ったのは、所持金が数十円になっても「生活保護だけは嫌だ」という声が多いこと。「生活保護バッシング」でみられた制度への偏見や誤解は根強い。生活保護を申請すると親族に問い合わせをする「扶養照会」がネックになっている。2月に見直しを求める署名をネットで集めて提出。厚労省は扶養照会の運用を一部見直す通知を出しました。福祉事務所職員の運用マニュアルが改訂され、問答無用で親族に連絡することはできなくなりました。署名は累計で5万8千人集まったんですよ。
 ――住宅のサポートも。
 つくろい東京ファンドでは14年から空き家などを活用して一時的な住まいを提供する個室シェルター事業を展開してきましたが、昨春来、34室増やし59室に。ただ、居宅支援は本来、行政が行うべきです。この1年、民間の支援団体は力の限り頑張ってきた。でも現場で公助が見えてこない。政府が存在していることすら見えないのです。ずっと、自助も共助も限界、今こそ政府、公助の出番だと叫び続けています。

 ■プロフィル

 ★1969年、広島市生まれ。被爆2世で3人きょうだいの末っ子。小学生のころは体が弱かった。中・高校は鹿児島市のラ・サール学園で寮生活。
 ★東京大学教養学部在学中、平和運動、外国人労働者支援活動に参加。94年、東京・新宿を拠点に路上生活者支援に取り組む。
 ★2001年、湯浅誠さんと自立生活サポートセンター・もやい設立。幅広い生活困窮者支援を行う。
 ★09年、住まいの貧困に取り組むネットワーク設立。のちにパートナーとなる小林美穂子さんと知り合う
。14年、一般社団法人つくろい東京ファンドを設立。
 ★認定NPO法人ビッグイシュー基金共同代表、立教大学大学院客員教授。家族は小林さんと、梅、サヴァの猫2匹。著書多数で、7月末に「貧困パンデミック―寝ている『公助』を叩(たた)き起こす」(明石書店)を刊行予定。

コメント(2)

まったく、自然災害に近いほどひどい今回のコロナ禍、政府は不在なのか?
何のための、だれのための政府なんだろう・・・
結局、電通やパソナのような、金持ちのためだけにあるのかな?
>>[1]

ええ。
まったくあきれたことの連続ですね。

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

市民運動創造と宇都宮健児ら群像 更新情報

市民運動創造と宇都宮健児ら群像のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング