宮武外骨コミュの「震災画報」初の復刊　宮武外骨が被災庶民描く

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20130820/CK2013082002000141.html

　明治・大正期にかけて痛烈な風刺で反権力を貫いた、ジャーナリスト宮武外骨（みやたけがいこつ）（一八六七～一九五五年）による関東大震災の記録雑誌「震災画報」が文庫となり、筑摩書房（台東区蔵前）から出版された。震災直後から翌年まで六号が発行された画報の記事は、外骨の全集に収められているが、単独で復刊されるのは初めてという。　（川島美穂）
　烈火をイメージさせる表紙や、手持ちの活字をかき集めて急ごしらえしたために大きさや形がバラバラの文字が並ぶ文章など、当時の雑誌の雰囲気を忠実に再現した。
　「たずね人」の張り紙で覆われた上野の西郷隆盛像、皇居のお堀を風呂代わりに使う人、他人の土地に建てたバラックを売るつわもの‥。未曽有の非常時にもたくましく生きる庶民の姿がイラストとともに描かれている。
　企画した、ちくま学芸文庫編集部の藤岡泰介（やすゆき）さんは「３・１１から二年が過ぎ、関東大震災発生の一九二三年九月一日から九十年というタイミングに、震災直後に縦横無尽に取材、報道した外骨の姿勢を見直したかった」と、説明する。
　解説を寄せた、外骨のおいで作家の吉野孝雄さん＝文京区＝も「震災の悲しい面だけではなく、人々が復興に向けて立ち上がる姿を描いている。外骨の独自の視点がよく分かる」と話す。
　千百五十五円。これにあわせて原本を所蔵する日比谷図書文化館（千代田区）では、今月末まで図書フロアで震災画報を展示している