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歴楽コミュの知るを愉しむ 「人類と感染症」

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「人類と感染症」

歴史好きである、私の一つの意見ではありますが、お話させて頂きます。

現在新型コロナのパンデミック(世界的大流行)が長期化しておりますが、ある感染症が専門の大学教授が新聞のインタビューで、今回のコロナ禍について、医学的な感染症のパンデミック、経済的・社会的に及ぼした影響という意味でのパンデミック、そして情報のパンデミックという三つの複合的な側面があり、これらが並行して進んでいるにもかかわらず、どの側面について話しているかを明確に意識せず、区別してこなかったことにより、より大きな混乱が生じたのではないかと答えられていました。

感染症は、歴史的にみても、現代においても、人類ひいては世界にとって、途轍もなく大きな影響を与えていると言えるでしょう。

では、そもそも人類と感染症の関わりとはどういうものであったのでしょうか?

感染症の歴史は、生物の出現とその進化の歴史と共にあり、有史以前から近代まで人類の大きな疾病を占めてきました。

古くは、メソポタミア文明で記述された叙事詩に災厄の一つと描かれ、古代中華文明では、紀元前13世紀頃には甲骨文字に疾病を占う文字を確認する事が出来、日本においても、平安時代には疫病の平癒を祈願する神事が行われるようになります。

仏典にも、「三災七難(さんさいしちなん)」と説かれる数多くの厄災の内、「穀貴(こっき・食料危機)」「兵革(ひょうかく・戦争)」「疫病」と人類に襲いかかる三災の一つとされ、早くから人類にとって、大きな試練となると認識されてきました。

感染症の伝染性を発見したとされているのは、10世紀後半から11世紀初頭にかけ活躍したペルシャ人医師、
イブン・スィーナー(980年〜1037年)であると言われています。

彼は、敬虔なるイスラム教徒でありながら、ワインを嗜むという世俗の愉しみをよく知る人物でした。
彼は、自身の著書である、「医学典範」(1020年)において、隔離が感染症の伝染性を止める事を著述しています。

また、業績として、新たな薬草、アルコールを使った腐敗防止、脳腫瘍と胃潰瘍の発見が挙げられます。

この偉大なる医師について、自分は昔本を読んだ事があります。

ある時、町の若者が元気がなく塞ぎ混むようになりました。
どのような名医に掛かろうとも、薬を処方されても一向に良くなりません。
食事に手を付けようとはせず、いつもいつも溜め息ばかり。
その内みるみる痩せ細り、このままでは命が危ないと言われてしまいました。
そんな時、やって来たのがイブン・スィーナー先生。
先生は、家族から事の詳細を聞き、簡単な身体検査を行った後、若者の腕を手に取り一つ一つ質問を始めました。
その質問の内容は、近隣の町の名前を一つずつ挙げていくというもので、ある町の名前を言うと、若者の脈がピクリと動きました。
これをみた先生は、家族に言いました。
この若者は、かの町にとても大切な人か思い出があるのではないか?よくよく調べてみると良い。
そうです、この若者は、その町に住む女性に恋をしていたのでした。
つまり、恋患いだったのです。

このエピソードから、彼は心理学の大成者の一人とされています。

さてさて、話がそれましたが、14世紀に入り同じイスラム教徒の医師が欧州ことにスペインのペストの蔓延を概観し、感染症は衣類や接吻、免疫力の低下により伝染していくのではないかと主張し、さらに別の医師も、感染症は微生物が身体に侵入することにより発症するのではないかとの仮説を立てました。

いずれにしろ、病原体が現代のように多く判明していくには、19世紀まで待たねばなりませんでした。

人類が史上初めて根絶に成功した感染症は、天然痘です。

元々は疱瘡や痘瘡と呼ばれており、人に対して非常に強い感染力を持ち、致死率が平均で約20%〜50%と、とても高い感染症でした。

紀元前1100年頃の古代エジプト王朝、ラムセス5世のミイラには天然痘の後があり、古くから世界中に蔓延していました。

我が国日本にも渡来人の往来が活発になる6世紀以降に何度も大流行し、8世紀には総人口のおよそ25%〜35%にあたる100万人以上が死亡したとされる、「天平の疫病大流行」があり、この時は丁度隣国の新羅との関係悪化もあり、新羅の秘密兵器ではと笑えない説がまことしやかに流れたという話もあるようです。

天然痘はこの後も猛威を振るい、最終的にWHOが撲滅宣言を出したのは、1980年5月8日の事でした。
つまり、20世紀までかけて人類は根絶に成功したのです。

前述の大学教授は、感染症と社会を俯瞰すると、
「感染症と文明」を巡る四つの基本構造があると述べられています。

第一に、文明が人口増加を通じて、感染症が流行する土壌になることで、「感染症のゆりかご」として機能する。
第二に、文明の中で育まれた感染症は、生物学的障壁となって、感染症の免疫を持たない侵略者を倒し、社会を守る盾となってその文明を保護する役割を担う。
第三に、文明が勢力を拡大しながら周辺の感染症を取り込み、免疫を獲得して、自らの疾病のレパートリーを増大させ、感染症が文明の拡大を支援する強力な武器となる。
第四に、疫病の存在が、社会のあり方に影響を与える。

このように、人類と感染症の関係は、決して単純なものではなく、病気の原因となっているウイルスは、全体の0.01%であり、大半は人類にとって良い働きをしていることを理解する必要があるとの事でした。

これまでの人類と感染症の関わりは、どうしても感染される側である我々からの目線で考えられて来たことが多いでしょう。
今回のコロナ禍は、マラソンに例えると、現在10キロ地点ぐらいを走っているのではないかと言われています。
つまり、やっと色々な事柄が分かってきたという状態です。

歴史的にみて、我々人類は感染症と対峙しながらその叡智を発展させここまで歩んで来ました。
今回もそしてこれからも我々と感染症との関わりは続きます。
「マラソン」を走る覚悟と辛抱、一つの可能性として、ウイルスとの「共生」をも視野に入れていく必要性もこれからは考慮していかなければならないかもしれません。

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