半蔵門かきもの倶楽部コミュの第八十七回　ガラス窓作-1『コウノトリアホウドリ』（テーマ選択『紅葉』

　私には、一回り年下の弟がいる。
　生まれたのは、私が中学校に入った秋だった。
赤ちゃんはコウノトリが～というような年じゃなくなっていたから、弟が出来たと聞いた時は、逆になんだか過敏に生々しく気持ち悪く感じて、ドン引いた。
　母が里帰り出産で暫くいない間、私が一家の主婦のように、無口で特別に文句を言うこともない父と2人、自分で献立を考えて買い物して料理を作ったり、掃除や洗濯をしたり、家事をするのは楽しかった。赤ちゃんなんて面倒臭そうだし、口煩い母なんて二度と戻って来なくていいから、永遠にこのままがいいのにな。と内心思っていた。
　けれどひと月半後くらい、庭の紅葉が真っ赤に燃える中、母が弟を連れて戻ってきたら、紅葉より赤く泣き叫ぶ姿のあまりの可愛さに悶絶した。ロックよりロックだった。絶対に面倒の手伝いなんてしないと思っていたのに、気付けば母より私の方が面倒をみてるくらいだった。
　弟の泣き声にインスパイアされて、パンク系のオリジナル曲を作ったけど、自分ではサイコーな出来だと思ったのに、子供な同級生達には理解されなかった。
　県外の大学しか受からなくて一人暮らししてるけど、小学生になっても、突拍子もなくアホな弟に会いたくて、たまに実家に帰るのだけど、最近は知恵が付いてきて、ねーちゃんは3Bとしか付き合ってなくて、バイトしては貢いでばっかりで大学行かないの、バカなの？とか憎たらしい事ばかり言い出すから、死ねばいいのに。とか言うけど、面白いんだよなー。
　もうずっとペットの臭い亀に夢中で、女の子とかに興味持たなきゃいいのにな！
　