ドラマ&劇場映画『信長協奏曲』コミュのインタビュー#3『池田恒興役向井理』

『信長協奏曲』への出演を知られた時のご感想は？
「最初に伺った時は、原作マンガも“月９”だということも知らなかったんです。ただ、脚本、監督、プロデューサーという制作スタッフが知っている方たちばかりでした。縁のある方たちばかりなんですが、それぞれ別の仕事でご一緒しているだけで、今回、僕も含めて一堂に会するのは不思議な感じになりました」
台本を読まれた時は、いかがでしたか？
「ドラマは原作とは少し違うので、脚本の西田（征史）さんからは、あまり意識しないで欲しいと言われました。それでも、原作は読みましたけど。でも、僕がいただいた恒興は、信長を支えるという分かりやすい役目があるので、そこに特化しようと思いました」
このドラマでの恒興のキャラクター性は？
「やっぱり、熱く演じたいと思っています。そして、小栗（旬）くんが演じる現代人のサブローというキャラクターを引き立たせるためには、周りの僕たちがちゃんと時代劇をやらなくちゃいけません。これは、髙嶋（政宏）さんたちとも話しました。ですので、そこに気をつけて演じています。ただ、恒興という人物はあまり詳しく知られていないので、ディテールに関しては自由度があると思っています」
“月９”で初の時代劇ということですが…。
「“月９っぽくないよね”と、みんなと毎日話しています。だって、戦があって、平気で首が刎ねられたり、切腹したり…。そんな“月９”は今までないですよね（笑）。前に、出演させていただいた“月９”『のだめカンタービレ』（2006年）は、恋愛要素もありましたけど、コメディー要素が多い作品でしたし…。“月９”では、そういった作品に縁があるのかもしれませんね」
時代劇ということでのご苦労は？
「だいぶ慣れてはきましたけど、セリフは難しいです。乗馬は経験があるので大丈夫なんですけど、甲冑は重いですよ。一日着ていると、体に痣が出来てしまうくらいです」
小栗さんが演じるサブローは？
「大変な役ですけど、いろいろな役柄を演じて来た小栗くんだからこそ出来るキャラクターだと思います。サブローという設定に関しては、もともと史実として語られる信長のカリスマ性が、“現代人だったら？”とリンクする部分もあります。僕は、サブローを“信長”として支える側として見ているので、今までに映像化された“信長”とは違いますけど、カリスマ性や風変わりな面は一緒です。そこは、小栗くん本人とサブローが持っている破天荒な、突き抜ける感じで表現されていて…。だからこそ、恒興はサブローが信長になっていることを知らないんですけど、この人を支えようと言う気持ちにつながっているんだと思います」

サブローは戦国時代に迷い込んだ高校生です。
「小栗くんは高校生を演じることを気にしていたみたいですけど、違和感はないですよね？　高校生というより、現代人が行ってしまったら？　ということが面白い作品なので。それで考えると、サブローと恒興は同年代なので、序盤では僕も高校生ぐらいになってしまうんですが…そこにはあまり触れないでください（笑）」
改めて小栗さんと演じられて、いかがですか？
「ガッツリとお芝居するのは、ほぼ初めてなので楽しみにしていました。僕と同年代で、第一線でバリバリ活躍する俳優の筆頭ですから。やはり同年代の山田（孝之）さんや柴咲（コウ）さんたちもいますので、すごく刺激的な現場です。小栗くんとは“もっと僕らの年代ががんばらなきゃいけない”という気持ちを共有しています。それぞれに役柄が違うので、がんばり方も違いますけど…深夜や他の枠だとしても、がんばることに変わりないんですが…このメンバーで“月９”に出演するということは少し意識しています」

ここまで撮影されてきて、印象に残ったシーンはございますか？
「合戦シーンは派手でしょうけど、そこはカメラや演出の話になるので…。感情的には１話が盛り沢山で、特にサブローの起伏が激しいので、そこが成立出来ていれば良いな…と、思っています。個人的にはサブローと恒興の関係性を最終回まで貫いていかなくてはならなくて…。僕のクランクインが、１話で恒興が“必ずお守りいたします”とサブローに約束するシーンでした。その後の恒興を考えると、全てがそこを軸に動いていると思うので個人的に印象に残るシーンですね」

最後に視聴者のみなさまにメッセージをお願いいたします。
「歴史の捉え方は、たくさんあります。でも、教科書などの年表の裏にある当時の人たちの話し方や感情は誰にもわかりません。手紙や書物などに残されたものも事実かもしれませんが、真実かどうか？　は、わからないと思うんです。それが、歴史を振り返る面白さではないでしょうか？　高校生が戦国時代にタイムスリップしてしまう…という設定は、リアルに考えたら突拍子もないことかもしれませんけど、“そういうこともあるかもしれない”と見ていただくと楽しいと思います。現代人を送り込んだ時代劇は、ご覧になるみなさんの目線で見ることが出来ますし、逆に戦国時代の人々とのギャップを感じることも出来ます。“命の捉え方”の違いもサブローというフィルターを通して感じていただけたら嬉しいです」