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徹真斎の妄想徒然草子コミュの仮面ライダーD.V.L vol.19

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「しかし、まさかプレゼンまでやるハメになるとは…」
ー めんどくせぇなちくしょう
樫尾大介はそう思っていた。
しかしそれは立場上口には出来ない。
「普段は闇雲にただハンコついてるだけのくせに なんでまた今回に限ってこんな面倒な真似を…」
己の心中を代弁するかのような藤堂博士の言葉に滅入っていた大介の気持ちが少しは晴れた様な気がした。
実はベルトの開発と導入に当たって指針作成の為の会議があり、関係各所のトップが集まるので説明会を行う事になったのだ。
「説明や質疑応答は私がやりますから 樫尾さんはデーンと構えてて下さいよ」
そう言って微笑む藤堂に幾分安心した大介であった。
「さぁ そろそろ時間ですよ」
時計を見ながら藤堂を伴って外に出た所で軽快なエンジン音。
ヘルメットのバイザーを上げてにこやかに笑う顔。
「さっさとしなよ 先行っちゃうよ?」
石倉ミキであった。
このベルトの調整に関わった人間としてミキにも説明会への参加要請が出ていたのだ。
「おぅ じゃ出発しよう」
言いながら迎えの車の後部座席に乗り込んでシートベルトを締める。
警視庁からの迎えであったが パトカーではなかった。
黒いセダン。
運転手は警察官だが 制服は着ておらず、地味な色のスーツ姿だった。
危惧されたのは情報の漏洩とゴールの介入だった。
そこで警視庁から"何も知らされていない警察官"を迎 えにやらせたのだった。
この事は滝和也をはじめ、今日集まるメンバーには事前に通達があった。
「お待たせしました 出発してください」
大介は銀色に輝くアタッシュケースを小脇に抱え、運転手に声を掛けた。
大介達が出発した研究施設から目的地である警視庁までは30分もかからない距離だったが 運転手の安全運転と渋滞にミキはうんざりしていた。
赤信号で停止した際、ミキは車の左側後部の窓を叩いた。
「どうした?」
窓ガラスを開けた大介が声を掛ける。
「遅すぎてイライラするから先行くね」
ミキは言葉も少なく言い放つとアクセルをふかして走り去ってしまった。
「あ!おぃコラ!待て!」
大介の制止は既に届いていなかった。
「ったく あのバカ…」
「いいじゃありませんか 若者とはそういうものですよ まぁ 時間には余裕もあることですし、我々はゆっくり行こ…」
藤堂の言葉を遮る様に車は急ハンドルを切って左に折れる。
「!」
突然の急加速、大介達はシートに押し付けられる!
「おぃ君、乱暴な運転は止めたま… って道が違うぞ! 一体何処に向かっているつもりなんだ?!」
大介の怒号にも似た声を無視して運転手は猛スピードで走りはじめた。
「おぃ聞いてるのか?!」
そう言って運転手の肩に手を掛けようとして大介は気付いた。
ー シートベルトが?!
そう シートベルトの締まり方が異常なほどきつくなっていた。
大介達の身体はシートベルトによってシートに縛り付けられていたのだ!
両手の自由はあるものの肺を圧迫し、呼吸が苦しくなるほど締まるシートベルト。
ー 動けない?!
身体の自由を奪われながら 大介は運転手に問うた。
「き… 貴様何者だ?!」
運転手はミラー越しにニヤリと笑う。
藤堂もようやく事態が呑み込めた。
「わ わ 我々を何処へ連れていくつもりなんだ?!」
やはりミラー越しに笑いながら運転手は答えた。
「…フフフフ 今頃気付いたんですかぃ? いえ、いつもの廃工場に行くんですよ」
「なんだって?」
大介が問い質すと運転手は言葉を濁した。
「いえ こちらの話で…」
「と、とにかく車を止めろ!」
運転手の意図が読めぬまま、大介は運転手から見えない様にアタッシュケースの底面に設置された小さなボ タンを押していた。

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