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徹真斎の妄想徒然草子コミュの仮面ライダーD.V.L vol.36

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これまで本郷は常に命懸けで闘って来た。
その事に偽りは無い。
しかし今回はさすがに分が悪い。
滝や樫尾のお陰であの老人達、一般人は無事に避難した 今すぐ危機が及ぶことはあるまい。
またマジスティック12が着用する防護服の使用時間も一緒に避難した藤堂博士が居れば改善されて汎用化が進むだろう。
後の心配は要るまい 我々仮面ライダーが倒された後の事は。
そこまで考えて本郷の心は曇る。
さおり ミキ 大輔 この三人を、この若い三人を道連れには出来ない。
が、彼らの性格からしてこの場を俺達ロートルに任せて逃げるなどという事は考えられない。
しかし本郷は思う。
―なんとか、なんとかこの三人だけでもこの地獄から救ってやらねば…
本郷の額を一筋の汗が伝う。
その時であった。
睨み合う両者の間、水を打ったように静まり返る富士演習場に響き渡る高く細い口笛の音。
「茂か?!」
小高い丘の上に立つ人影に本郷が反応した時 人影が口を開く。
「ちょっとしたニュースを持ってきたらずいぶん物騒な場面に出くわしちまったぜ 本郷センパイ並びにお歴々の皆さん方、俺も加勢させてもらうぜ」
薔薇の刺繍のジャンパーを肩に掛け、ニヤリと苦み走った笑みを見せる城茂がそこに居た。
本郷は、いや そこに居たライダー達全員がこの笑みに救われた想いだった。
「よし みんな怯むなよ?いくぞ!ルァイダァァァ変んん身!!」
「「変身!!」」
「変んんん身!V3ぃぇぇぁぁぁ!!」
「変身!ストロンガー!!」
風車が回り眩い光が辺りを包む中丘の上では電光が迸る!
「天が呼ぶ 地が 呼ぶ 人が呼ぶ 悪を倒せと俺を呼ぶ!聞けぃ!悪党共!!俺は正義の戦士 仮面ライダーストロンガー!!」
「会長…カッコいい…」
ミキの目がハート型になっていた。

「竜崎!なにをぼやぼやしておる!」
壮麗とも言わんばかりの集団変身に見惚れる竜崎を郷田が一喝した。
「ハッ も、申し訳ありません つい…」
慌てて畏まる竜崎はライダー達に向き直り吼えた。
「獅子は兎を狩るにも全力を尽くす!全ての合成人間は全力を以てライダー共を屠るべし 吶喊!!!」
叫ぶなり竜崎の体を闇が包む。
闇が晴れた時そこには龍の姿の怪人が立っていた。
それが竜崎の真の姿、リュウドラゴンであった。
おおおおぉ
大地を揺るがす喚声が響き渡り1,000体を超える敵の海にライダー達が飛び込んで行く!
「とうッ!!」
「やぁぁッ」
「いぃぃえぁぁぁッ!!」
「マシンガンアーム!!」
「電ショック!! クソッ これじゃラチがあかねぇ チャージアップ!!」
ストロンガーの胸の『S』が激しく回転しベルトが瞬く!
次の瞬間、電気人間ストロンガーは超電子人間ストロンガーへと二段変身を遂げていた。
「会長!カッコいい!!」
ミキの目はなおもハート型に輝く。
「超電エレクトロファイヤー!!!」
超電子ダイナモが生み出す超高圧電流が地を這って疾り、数体の合成人間を弾き飛ばす。
「ぬぅ 超電子ダイナモのパワーでもこの程度か?!」
チャージアップの限界は1分程度。
このままでは大爆発を起こしてしまう。
しかしストロンガーはほんの数瞬の間に肚を括る。
―このままじゃ勝ち目どころか 生きて還れる保証も無い… どうせ死ぬなら!よぅし、一丁華々しく散ってみせますか
ストロンガーが自爆する事で敵と道連れの覚悟を決めた時、彼方から轟く爆音がひとつ。
オオオオオォンン
1号ライダー、V3、ライダーマンそしてストロンガーに通信が届く!
『待たせてすまんな』
「一文字?!」
「先輩?!」
それぞれ驚きつつ、デビル、ウィッチ、デスの3人は爆音に振り返る。
「マスター?!」
そこには先程の双胴船舶にも似た異様な形状のマシンに跨がった一文字隼人の姿があった。
「一文字 そのマシンは…」
「そうさ本郷、お前が旧サイクロンがあればいいと言って新サイクロンを俺に預けたろ?だから遠慮無く使わせてもらったんだ 実は今日あるを見越して藤堂博士が二つの新サイクロンと俺の旧サイクロンを合わせて改造してくれたのさ その名も『トライクロン』」
「トライクロン?!」
「ひとまずこの雑魚共を片付けようか 変身!!」
光を放ってベルトの風車が唸りを上げる。
黒いボディと緑のマスク赤いマフラーなびかせて仮面ライダー2号一文字隼人は叫ぶ!
「行くぞトライクロン!アクセル全開!!」
コォォォォォンン
トリプルエンジンの唸りも高く群がる合成人間目掛けて輝く弾丸が襲いかかる!
「すげぇ…」
瞬く間に合成人間のほぼ全てを蹴散らしたトライクロンと2号ライダーを見たデスが思わず漏らす。
「よし 合成人間も残りわずかだ!行くぞ」
先程まで合成人間だった緑色の液体を跳ね上げながらトライクロンはその速度を増す。
「トライクロンの真の姿をお見せしよう!」
2号ライダーがハンドル脇のスイッチを押し込むと高速で走りながらトライクロンが変型し始める。

一方竜崎ことリュウドラゴンは不甲斐ない合成人間に対し怒号を上げる。
「ええい情けない!役立たず共め 私が行く!改良人間は続け!」
と踏み出した足を止めて振り返り
「教主様、申し訳ありません もうしばらくお時間を 行くぞ!」

変型し終えたトライクロンは2号ライダーの脚部と腕部を中心に胸部まで覆うアーマーになっていた。
「仮面ライダー2号B.B!!」
両脚の外側にそれぞれ二輪の車輪が唸りを上げてその機動性能の高さを物語る。
2号ライダーの背中に位置するエンジン部分の重量はその機動性能によって軽減されていた。
「ところでマスター B.Bって?」
敵の攻撃を右に左に躱しながらデビルが問う。
「ブーステッドバースト 仮面ライダー2号はよりパワーアップされた形で復活を果たしたってわけさ」
不敵な自信に溢れた2号ライダーの言葉に1号ライダー本郷猛は心強さと安堵を覚えていた。
しかし若い三人はやや呆れ顔だった。
「ブーステッドバーストって… もうちょっとなんか無かったのかよ…」
その空気を高い機動性能によって察知した2号ライダーはちょっと困ったように
「いやぁ 藤堂博士がさぁ…」
責任を丸投げしようとしたところへ合成人間の攻撃。
反撃のパンチを見舞った2号ライダーがちょっぴりホッとしたのは機密事項だった。

殆どの合成人間が
緑色の海に沈んだ頃リュウドラゴン率いる改良人間が数体ライダー達の前に現れた。
リュウドラゴンは1号ライダーの正面に立ち低く笑う。
「先日アミーゴでの一瞥以来ですがようやく貴殿方仮面ライダーを屠る時が来た」
「竜崎…」
リュウドラゴンを前に油断無く構えを取る1号ライダーに対してデスが声を上げる。
「ちょ、待ってくれ本郷さん!そいつァ俺のエモノだ!!」
カカカッ
駆け寄ろうとするデスの足元にあの不思議な輝きを持つ針が突き刺さる!
「おっとぉ あんたの相手はこのこのヤマアラシポーキュパイン様だぜ?シャカさんよぉ」
「くっ てめぇ… 西塔寿雲か?!」
「そろそろ決着をつけようや シャカさんよぉ」
「チッ ふざけんなよ?何年も前についた決着をてめぇが認めねぇだけだろが!!」
「うるせぇ!今度こそ実力の差ってもんを見せつけてやるよ そっちのネェチャン達はそのあとたっぷり可愛がってやるからちょっと待ってな」
ヤマアラシポーキュパインがそう言って舌舐めずりをするとウィッチことミキが震える声でデビルに駆け寄る。
「さおり もしかしてコイツさおりがこないだ言ってたキモいヤツ?!」
「大輔さんがさいとーって言ったから間違いないわ あのキモいヤツよ 名前もヤポマラなんとかってめんどくさいのもキモいし」
二人の会話にヤマアラシポーキュパインは激昂する。
「ぎぎぎ うるさいうるさいうるさいうるさい!!! よーしこうなったらてめぇらから先に始末し…」
ヤマアラシポーキュパインが言い終わらないうちに背後から声が掛かる。
「待ちなヤマアラシの そいつらは俺達にやらせてくれ」
ヤマアラシポーキュパインが振り向くとそこには蠍の化物と蜂の化物が立っていた。
「う お前達は…」
「そう、この二人は俺達の義兄弟 クモスパイダーとコウモリバットの仇、ここはこのサソリスコーピオンとハチビーに任せてくれ」
「わかった こいつらはお前達ビギニング・ブラザーズに任せよう」

「ちょ、ビギニング・ブラザースってなんだよ」
ウィッチはそう言ってげらげらと笑う。
デビルも一緒になって
「サソリはともかくハチビーって いやハチビーって」 
そう腹を抱えてネーミングセンスを嘲った。
その様子に束の間唖然としていた二人だったが
「貴様らよくも、よくもよくも嗤いやがって… もう許さねぇ 俺様の毒針で串刺しにしてやる!」
突如ハチビーの股間から5〜60cmはあろうかという太い針が伸びる。
先端からなにやら毒液を滴らせる針を見たウィッチは全速力で逃げ出した。
「ィイヤァァァァ〜 キモいぃぃぃぃ〜」
その光景を見たデビルがポツリと漏らす。
「毒針… 蜂なのにお尻じゃないんだ…」
そのデビルの視界の端に影。
じゃっ
すんでのところで躱したデビルが向き直って構える。
「貴様の相手はこのサソリスコーピオン様だ 行くぞ毒針殺法!!」
瞬間デビルの脳裡をイヤなものが過る。
「喰らえ!!」
案の定股間から伸びて来た蠍の尾をこれまた紙一重で躱してデビルはどう闘うかを考えていた。
―どうにかしてアレに触らないように闘わなきゃ… 毒あるし キモいし

「さいとー ゴールてのぁあんなのしか居ねぇのか?」 
正面のヤマアラシポーキュパインに注意をはらいながら半ば呆れつつデスはゆっくりと構えながら距離を取る。
「うるせぇ 余所見してねぇでてめぇの命の心配でもしてな 男のシャカさんにゃもったいねぇが 俺様の愛の雨を降らせてやるぜ!行くぜラヴレイン!!」
ドカカカカッ!!!
ヤマアラシポーキュパインの背中が一瞬光ったかと思った矢先、デスの足元に無数の針が突き刺さった!
「やっぱりさっきじじい共を襲った時に聞こえたのはてめぇの声だったか…」
「無駄口叩いてんじゃねぇ!ラヴレイン!!」
ドカカカカッ!!!またも針の攻撃を躱したデスであったが、ヤマアラシポーキュパインに対して奇妙な違和感を覚えていた。
―なんだこの感覚… なにかがおかしい…
しかしデスには違和感の正体が掴めない。
そんなデスを嘲る様にヤマアラシポーキュパインの針攻撃は絨毯爆撃と化す!
「ラヴレイン!!ラヴレイン!!ラヴレイン!!!」
ズガガガガガガッ!!!!!
上空に射出されたヤマアラシポーキュパインの針は急角度の弧を描いて落下してくる。
正体がわかってしまえば単調な攻撃である。
デスは持ち前の勘の鋭さをもって初撃から確実に躱していく。
その自慢の技で傷ひとつつけられていないという事実がヤマアラシポーキュパインを焦らせる。
「てめぇシャカさん!ちょこまか動くんじゃねぇ!」
「うるせぇ 悔しかったら当ててみな」
のらりくらり逃げ回り嘲るデスを再びヤマアラシポーキュパインの絨毯爆撃が襲う!
「ラヴレイン!!ラヴレイン!!ラヴレイン!!ラヴレイン!!ラ…」
嵐のような針攻撃をもデスは見事に躱して見せた。
その時デスは先ほどからの違和感の正体に気付いた。
「さいとー、その技ァ…」
ヤマアラシポーキュパインの身体中に生えていた針が目に見えて激減していたのだ!
「あんまり乱発すっとハゲちまうんじゃねぇのか?」
デスの声には嘲笑の色が見える。
図星を突かれたのか一瞬その動きを止めたヤマアラシポーキュパインは
「ちくしょう ゼッテーゆるさねぇ ゼッテーだゼッテー」
口の中で呪詛の言葉を繰り返していた。

―さすがにスキが無い…
互いに構えたまま動けない1号ライダーとリュウドラゴンは、やはり互いに同じ事を考えていた。
じりじりと少しずつ、こちらが間合いを数cm詰めればあちらは同じだけ下がる。
それを交互に繰り返すだけの時間が過ぎていた。

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