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温室に囚われた蝶たちへコミュの午前4時の住人

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「毎晩、夜になるときこえるんだ。」

「何がだい?」

「君にもわかるさ…君にも、やがて」

友はまあるい白い薬を2粒飲むと、私より先に眠りについた。



午前4時。


ギシ ギシ ギシ

何かがきこえる

ギシ…………

(ほら、言っただろう)

友が囁く。

ギシ ギシ ギシリ

(なんなんだい?この音は?)

(毎日夜になるときこえるんだ)


ギシ ギシ ギシ

(徘徊しているんだよ)

(なにが?)

(わからないけど、誰か。見えない誰か。)

そんなバカな…。
私は幽霊などは信じない。そんなもの見たことはないし、何より根拠もない。

それに友は…

(眠れないんだ。毎晩、毎晩この音がして、目が醒めるんだ)

酷く憔悴していた。
友は続ける

(行ったり来たり、部屋の中を歩いている気配がするんだ。わかるだろう?)

友によるとその気配というものは毎日3時から4時になると現れて、時には部屋の真ん中で本を読んでいることすらあるという。

(うん、しかし…、君はずいぶん疲れているようだ)

「そりゃそうだよ。僕は毎晩こうしてこの気配に脅かされているんだから」

ヒヤリとした空気が部屋の中を流れる。

ギシ ギシ ギシ ギシ
言われてみれば足音にきこえなくもない
部屋の隅から隅へ移動しているように音はなっている。

しかしこの建物には上階がない。

「家がなっているんじゃなかろうか?ほら、湿度とか、気温差の関係で」

「そうかもしれないけれど…僕は気配を感じるんだよ」

「それは君が疲れているからだよ」

「君も、わかってはくれないんだね。」

友はそれきり黙ってしまった。

朝、私は友に別れを告げて家を出た。

友の目は血走っていた。もとから白い肌はいっそう白く、声には力もなかった。
友は三年前から精神を患っている。
それからずっとあの部屋にこもりきりだ。
最近快方に進んでいるときいていたのだけれど…。
私はふと友の部屋の窓を見た。

窓枠がカタカタと音をたてて震えている。
北風が木枯らしとなって渦をまく。
灰色の建物に入った裂け目のようなヒビから覗く明け方の月は、口元を歪めて笑っていた。

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