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Englishesコミュのイデオロギーとしての英会話

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http://www42.tok2.com/home/ieas/douglas0lummis1english.pdf

ダグラス・ラミス「イデオロギーとしての英会話」です。

非常に面白い内容だと思いますし、日本の英会話教育の問題点を捉えていると思います。

昔、ヨーロッパの金髪の白人の女の子が殆ど英単語を知らないのに英会話教師をやっているのに驚きましたね。

皆さんはどう思われますか?


外国人の仲間のうちでは、英語を教えるのはとくにやりがいのある仕事とはされていないで、比
較的に簡単な金儲けの方法とされている。数少ない先生がこの仕事を良心的に行おうと努力して
はいるが、その努力は一般的にいって必要ないものとされている。何が必要であるかといえば、
ただクラスに出席して何かしゃべっていればよい、というのである。あらゆる道義上の複雑な問
題は、文化的優越の態度をとることで解決される。口に出してこそいわないが、たいていの先生
達は、アメリカ人がいるところに一週間に一時間同席することは生徒たちにとってそれだけでお
金を払うに足る特権である、と思っている。

一九六一年の夏、私は日本に数ヶ月滞在したところで、金がなくなった。その時ある友人が、
英語を教える仕事なら私にわけなくできるといった。私は、言語を教えるのに何の訓練もないし、日本語もよく話せないから資格がない、と反論した。私の友人は私のナイーブさを笑いとばした。
「何の訓練も経験もいらないのさ」と彼はいった。「君は英語すら充分知らなくてもいいんだ。
私はイタリア人やドイツ人やフランス人が、高等学校で学んだだけの英語を教えているのを知っ
ている。人は言語を学ぶためにクラスへ通うのでななく、外国人に会う機会を持つためなのさ。
君はクラスへ出かけていって、話したいことを何でも一時間しゃべっていればそれでいいのさ」
彼は間違いなく真実を話しているように私には思えた。その時私は日本語をほとんど知らなか
ったから、私の知り合いは英語を話せる人に限られていた。私が日本語を勉強していた大学には、
ESS(English Speaking Society) があり、そのメンバーがあまりにも追従的な態度で私に近よっ
てきたのに、私は辟易した。私はある人びとから、自分達の「一生の夢」が「英会話」に精通す
ることであり、行きたいところはロス・アンジェルスであり、一番好きな小説家はホーソン、詩
人はロングフェローである等々と聞かされて、信じがたい思いを味わったことを覚えている。そ
の時、私の知るかぎりでは(つまり日本語を知らない外国人が知ることができたかぎりでは)、こ
れらの態度は日本の人びとを代表するものであった。ずっと後になって「英会話」と ESS の世界
はサブ・カルチュアであって、日本の大学生活の特徴をなすものではないことを発見したのであ
る。

私はまもなく、アメリカ人やヨーロッパ人が ESS のメンバーから受けたご丁重な扱いは、外国
からの客に対する単なる親密さではないということを学んだ。第一に、それは本当の意味で友人
的ではない。人間を、友なる人間としてというより、一つの見本としてあつかう態度は、その上
に友情関係をうち建てる素材ではありえない。

それと同じく重要なことは、その態度はある種の外国人にだけとっておかれる態度であることも、私はまもなく学んだ。一九六二年に私は京都に移り住んだ。
そして京都大学 ESS が外国人学生のためのクラブを後援しているのを知った。私は
その会合の一つに出かけていって、そこにいる外国人――そのほとんどは東南アジアからの外国
人が、苦々しい怒りの状態にいるのに出くわした。話によれば、ESS は外国人学生のためにキャ
ンプ旅行を企て、そこで ESS のメンバーはアメリカ人やヨーロッパ人に子犬のように(日本語で
よくいうように、金魚のふんのように)つきまとい、東南アジアから来た人びとをあたかも目に
入らないかの如く扱った。私は、彼らが怒りに充ちた苦情をあびせた時に ESS の代表者達の顔に
浮んだ表情を決して忘れないだろう。ESS は、その外国人学生のクラスのメンバーが主にアジア
人であるとは、明らかに考えてもみなかったのだ。彼らはこんなはずじゃなかったと思ったが、
「正義」の原理に基づいてそのクラブを後援しつづけざるを得なかったのは明白であった。そこ
で彼らは、これらの東南アジア人が見えない人びとになることを望むほかなかった。

もう一つの重要なことを、私がその時働いていた英語学校で一人の先生から教えられた。ある
月給日に、この老紳士が私のところにやってきてやさしく告げた。「あなたは知るべきだと思う
のですが、私はここにもう十五年も働いていて、あなたは三カ月働いていらっしゃる。それにも
かかわらず、私の給料はあなたのよりも少ないのですよ。私は文句を言っているわけじゃないの
ですけれど、このことは、あなたが知っているべきだと思うのですよ」そう言って彼が立ち去っ
たあと、私はそこでしばらく考えこんでしまった。私はびっくりし、そして混乱した。その人は熟達した言語学者であり、経験豊富な教師でもあった。私は自分のクラスの時間を、冗談や、来
る途中電車の中で考えあげた話題をしゃべることでごまかしてきた。そんな私の給料がどうして
彼より多くていいのであろう。私がこの質問をしたら、たいていの人は「外国人(白人を意味す
る)は住むのにお金がかかるから」だと言った。しかしこれは、差別の告発に対する本当の答え
であるのか、それとも差別そのもののエッセンスであるのか。

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