ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

文学哲学読書会コミュの「ナイチンゲール 神話と真実」 ヒュー・スモール

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 知られているようで、実際は虚偽の神話にまみれている人の代表かもしれません。例えば「ランプの貴婦人」「クリミアの天使」とか呼ばれていますが、彼女が看護師として活動したのは90年の生涯の中3年間だけだとか。

 この本はそのような虚偽の神話と自ら虚偽の神話と対決しようとする一人の女性を描いてます。クリミア戦争で彼女がボランティアを引き連れてスクタリにて看護活動をしますが、実はその時、どの野戦病院よりも彼女が赴いた病院の死亡率が高かったこと。その後医師の介入により死亡率は低下しますが、戦後彼女はその結果に愕然とします。死亡率が高かった原因は、ナイチンゲールに衛生の概念がなかったことでした。当時から時のヒロインとして祭り上げられていた彼女にとって、己の過ちを認めることは難しかったと思います。そうして彼女は寝たきり生活になってしまいます。ナイチンゲールが人とは違ったのは、己の過ちを認め、公表しようとしたことです。彼女は政治家に働きかけてなんとか公表しようとしますが、結局はかないませんでした。
 衛生の概念は後の主著となる「看護覚え書き」に日光を入れること、換気をすること、清潔な水を使うことと執拗にまで繰り返されるようになります。

 日本語版のWikiに「クリミアでの最初の仕事はトイレ掃除だった」とあって一時資料を探しているうちにこの本に出会いましたが、Wikiの内容も本当かどうか分からなくなりました。ちなみに英語版のWikiにはトイレの話はありません。
 日本語版Wikiになくて英語版Wikiに記述がある事項に、彼女がおそらくはプラトン由来のキリスト教でありながら汎神論的な、神秘主義者であったことがあります。これも看護学校などでは教えてくれません。シモーヌ・ヴェイユと似たところがあります。

 人が過去の過ちとどう対面し、克服していったのか興味深い本でした。

コメント(1)

しかし間違えてはならないのは、ナイチンゲールは偉大な変革者であったことには変わりはないことです。

松野修は「英国におけるナイチンゲール伝説の形成」で『ナイチンゲールは時代の新しい潮流に押し上げられながら,古い規範を破壊し, 新しい規範を打ち建てる境界線上に立ち,そしてみごとにそれをやってのけた。じっさいナイチン ゲールが社会に登場する前と後とでは,社会の規範が異なっている』と述べてます。
現代の看護論を概観しても、ナイチンゲールの打ち立てたパラダイムは失われてません。専門的知識に基づいて業務を起きない、正当な報酬を得るプロフェッションである看護師という、ナイチンゲールが確立させた定義は今も変わりません。

看護師という概念はナイチンゲールによってつくられたものであり、いわば無から有をつくり出したところにナイチンゲールの偉大さがあるのです。

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

文学哲学読書会 更新情報

文学哲学読書会のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング