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孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【孫崎享のつぶやき】 随想64 遠藤周作著『沈黙』

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2021-09-27 08:373


芥川龍之介について記述した際、キリスト教迫害に関する『おぎん』を引用しました。しかし、キリスト教迫害に関する著作に言及した際に、遠藤周作作『沈黙』に言及しない訳にはまいりません。
 長崎には日本二十六聖人記念館があり、「キリスト教を信じることを禁じる政策が行われる弾圧の時代を迎え、ここ《西坂の丘》が26聖人をはじめとするキリスト教徒の殉教の地となる」と紹介されています。ここには舟越保武の記念碑があります。
 こうして殉教者をしのぶことが大勢になっている中、遠藤周作は棄教者を扱いました。ウィキペディアに「あらすじ」が出ていますので引用します。
「神の栄光に満ちた殉教を期待して牢につながれたロドリゴに夜半、フェレイラ(かつての師、今は棄教)が語りかける。その説得を拒絶するロドリゴは、彼を悩ませていた遠くから響く鼾のような音を止めてくれと叫ぶ。その言葉に驚いたフェレイラは、その声が鼾などではなく、拷問されている信者の声であること、その信者たちはすでに棄教を誓っているのに、ロドリゴが棄教しない限り許されないことを告げる。自分の信仰を守るのか、自らの棄教という犠牲によって、イエスの教えに従い苦しむ人々を救うべきなのか、究極のジレンマを突きつけられたロドリゴは、ついに踏絵を踏むことを受け入れる」。
遠藤氏は当然批判されます。それに対して彼は次のように述べます。「弱者たちもまた我々と同じ人間なのだ。彼等がそれまで自分の理想としていたものを、この世でもっとも善く、美しいと思っていたものを裏切った時、泪を流さなかったとどうして言えよう。後悔と恥とで身を震わせなかったとどうして言えよう。その悲しみや苦しみにたいして小説家である私は無関心ではいられなかった。彼等が転んだあとも、ひたすら歪んだ指をあわせ、言葉にならぬ祈りを唱えたとすれば、私の頬にも泪が流れるのである。」
  主人公のモデルはジュゼッペ・キアラで、棄教後、小石川の切支丹屋敷に移され、幕命により岡本三右衛門という殉教した下級武士の後家を妻として娶り、岡本三右衛門の名を受け継いだ。幕府からは十人扶持を与えられ、切支丹屋敷から出ることは許されず、幽閉43年の後、1685年病死します。墓碑は調布サレジオ神学院内に安置されています。
「棄教」的なものは、しばしば起こります。戦前の共産党員の「転向」もその一種でしょう。第二次大戦で日本が破れた後の「一億総懺悔」もそうでしょう。安保闘争を行った人々が、一般社会人の中にはいっていったのもそうでしょう。ある「信念」を持つ人に、何らかの圧力がかけられ、「信念」と無縁の生活をする選択は、遠藤周作著『沈黙』と相通ずるものがあると思います。
 信念を維持するのか、その際加えられる自分、ないし自分に関わる人々へ加えられる圧力にどれ位耐えられるか、「棄教」が一方的に非難できないだろうという遠藤周作の主張には耳を傾けざるを得ません。そんなややこしい「信念」に接することなく、「許された空間で許される物的、智的豊かさを享受すればいい」というのが今日大多数の日本国民の選択で、時に若者に顕著です。「利口な選択」という評価も説得力があります。私は違いますが。

コメント(7)

「信念を維持するのか、その際加えられる自分、ないし自分に関わる人々へ加えられる圧力にどれ位耐えられるか、「棄教」が一方的に非難できないだろうという遠藤周作の主張には耳を傾けざるを得ません。そんなややこしい「信念」に接することなく、「許された空間で許される物的、智的豊かさを享受すればいい」というのが今日大多数の日本国民の選択で、時に若者に顕著です。「利口な選択」という評価も説得力があります」

沈黙、は原作は読んでませんが、映画を見ました。
上記の、孫崎さんの解説は、理解できますが、これこそが、今の日本をアメリカの属国のままで良しとする、日本の若者の姿であり、私は、残念でなりません。
>>[1]   「デモやストライキには参加しない」。「政治には関心をもたない」「選挙にはいかない」。それが「利口な若者」?
>>[2]

こんな覇気のない若者を、この失われた30年で、作り出してきた、我々世代の責任なんでしょうか?日本は、衰退どころか、滅びのステージにいってますね。
>>[3]  我々には「滅びのステージ」と見えますが、本人たちは、「なんで、勉強するの?」「なんで働くの?」「いまのままで、楽しく生きていけばいいのではないの?」「分かち合えばいいのでは?」となるのでしょうね。
>>[4]

まあ、昭和ノスタルジーのわたしには、最近の若者の心は、ぜんぜん読めませんが、どう考えても、努力しても報われない世の中になってきたような、希望のない、先の見えない、絶望的な時代、日本、のように思えてしょうがないのです。年寄りの冷や水、思い過ごしか?
>>[5]
税金が「高齢者の保護」(年金・医療・介護)と「子どもの保護」(出産・育児・教育)に使われ、「働く若者」に還元されない。「大企業」や「公務員」はいいかもしれないが、多くの若者は「非正規雇用」。これでは、「やる気を出せ」とは言えないですね。岸田新総裁も「分配が必要」と言い出しました。まるで「他人事」です。「労働者にお金を回す具体策」が必要ですね。もっとも、「お金を回せば、また、働かなくなるだけ」かもしれませんけど。
「すべて海外に依存する国家」(食料・エネルギー・労働・金融・防衛)。
「不思議な国」です。「滅ぶしかない」でしょうね。

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