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孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【孫崎享のつぶやき】 随想㉗ 本と人生相談

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(本:サリンジャー箸『ライ麦をつかまえて』、助言者:金子勝)
2020-12-14 08:104
 私達は様々な思いで小説を読む。一番の目的は娯楽であろう。でも時に人生を生きていく上で、何かのアドバイスがないかと思って読むこともある。娯楽のつもりで読んでいて、人生の生き方が顔を出す作品もある。浅田次郎氏の作品に多い。
 そうした中で、金子勝慶応大名誉教授は人生相談に小説を使ったのである。朝日新聞は「人生のつぼ」というコーナーがある。著名人が人生相談の回答者になり、金子氏も回答者の1人であった。どこかの講演で一緒になり、回答をまとめた本『悩みいろいろ』を二人で話した。「多くの本は青春時に読んでいる。今読み返すと、青春時には気付かなかったことがとても多いのです」
『悩みいろいろ』と題しただけあって、悩みには様々なものがある。質問は次である。
「10年ほど前に地方公務員を辞めてしまって以来、自分なりに努力していますが定職に就けません。もちろん未婚です。公務員を辞めたのは、当時は生涯現役で働けるような仕事が自分の理想で、三十代最後ならまだやり直せると思ったことなどです。
 人生の取り組みを再開しましたが、職探しは厳しく、配偶者も子もなく、時々絶望感に押し潰されそうになります。「社会不適応」の遺伝子を自分の代で終わりにできてよかったと自分に言い聞かせますが、悔しい思いは消えません。負け組確定の人生、何を心の支えにしたらいいでしょうか」(無職 男性 四十代)
「「社会不適応」とはどういうことなのでしょうか。
 それを考えるヒントをくれるのが、サリンジャーの『ライ麦をつかまえて』です。
 主人公のホールデンは、学校や社会になかなか「適用」出来ずに、四枚目の退学処分をうけます。彼は大人たちから心が病んでいるとみられていますが、純粋な心の持ち主です。そしてこの小説は、まだ両親が退学処分を知らないために、帰られずに三日間の心の動きを描きます。彼は妹にこっそり会いに行くのです。そしてこう語りかけます。
 広いライ麦に、彼の他に大人はおらず、たくさんの子供がいいて、「僕はそのへんのクレイジイな崖っぷちに立っている訳さ。で、僕がそこで何をするかっていうとさ、僕はその崖から落ちそうになる子供がいると、かたっぱしからつかまえるんだよ。つまりさ、よく前をみないで崖のほうに走っていく子供なんかがいたら、どっからともなく現れて、その子をさっとキャッチするんだ。そういうのを朝から晩までずっとやっている。ライ麦のキャッチャー、僕はただそういうものになりたいんだ」と。
 社会に受け入れられなければ、誰でも苦しい思いをします。ホールデンの心を支えてくれたのは兄や死んだ弟や妹です。そして「ライ麦のキャッチャー」のように、純粋な子供達を守る仕事につきたいと思います。
 確かに現実的には職探しは厳しいかもしれませんが、少し発想を変えて、生涯で働けるような定年のない仕事や社会活動を見つけるために再スタートをしませんか。ささやかでも生涯人の役に立て続ければ、、、、人生に「負け」はありません。」
 金子勝氏は、1971年に東大入学、教養学部学生自治会委員長をした学生運動家でした。波乱の青春です。それを重ねるとこの書評には別の味わい方があるようだ。

コメント(6)

絶対、仕事はみつかる。強引に「社会の役に立つ」とか、有意義なとか、考える必要はない。
食えなくなったら、何とでもなる。
>>[1]

なるほど。深い示唆と受け止めました。
ありがとうございます。
>>[2]

すみません、深い示唆なんて、大げさなものでなく、私の経験上の信念というか、信条のようなもの、根性論みたいですみません。
>>[3]

有り難うございます。
すーちゃんさんの人生の豊かな見識があらわれています。

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