孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【孫崎享のつぶやき】米国大統領選⑦民主党の動向：民主党の候補選出には二つの潮流。

一つは金融界、グローバル大企業と連携、バイデンとブーテジェッジ、格差社会の深刻化する中で、全ての米国人が医療、高等教育享受。一時後者勢いあったが攻撃に会い前者勢い増す。ブーテジェッジ注目。
2019-12-05 08:087

１：基本的潮流

　現在民主党の候補選出には二つの潮流がある。　一つは、金融界、グローバル大企業、軍需産業と連携、バイデンとブーテジェッジ

　一つは、格差社会の深刻化する中で、全ての一般の米国人が医療、高等教育等の恩恵を得られるようにすべきだとするものである。これの最も強く主張している人物はサンダースであり、同人が「民主主義的社会主義者」を自称していることから、強い左派グループと位置付けられている。

　ただ、彼らが目指す政治目的は「全ての一般の米国人が医療、高等教育等の恩恵を得られるようにすべきだ」という点にあり、今日西側諸国でも受け入れられているので、「左派」とまで言えるかというような状況である。ただその財源は富裕層への課税強化を謡っているので、「極端な社会主義者」のイメージが作られている。

　一次このグループが有力であったが、金融界、グローバル大企業との巻き返しに会い現在このグループが優勢に立つ。代表者はバイデン副大統領とピート・ブーテジェッジである。ブーテジェッジはバイデンよりも大口献金を集めている。

　米国大統領には通常、米国議会、ないし知事を経験し、大統領候補を争うというのが通例であるがブーテジェッジは極めて異例である。　彼はインディアナ州総人口総人口107,789人サウスベンド市の市長にしか過ぎない。

　ただ、彼の背景は十分大統領候補になりうるバックグランドを持っている。　ハーバード大学卒業後、オックスフォード大学で学んでいる。

　英国にローズ奨学制度（英: Rhodes Scholarship）があり、オックスフォード大学の大学院生に与えられる。　米国からの留学生には下記がいる。

1925年　J・W・フルブライト　アメリカ合衆国上院外交委員長、フルブライト奨学生発案、

1931年　ディーン・ラスク　国務長官

1936年　ウォルト・W・ロストウ　アメリカ合衆国国家安全保障担当大統領特別補佐官

1947年　スタンズフィールド・ターナー海軍大将　CIA長官

1954年　リチャード・ルーガー上院外交委員長（共和党）

1958年　ジョセフ・S・ナイ　ハーバード大ケネディ行政大学院長、国防次官補、

1960年　レスター・サロー　経済学者、MIT教授

1963年　R・ジェームズ・ウルジー　CIA長官

1968年　ウィリアムクリントン　アメリカ合衆国大統領（民主党）

1968年　ストローブ・タルボット　NYタイムズ記者、国務副長官

1968年　ロバート・B・ライシュアメリカ合衆国労働長官

1973年　リチャード・N・ハース　外交問題評議会（CFR)会長、国務省政策企画局長

1975年　マイケル・サンデル　ハーバード大教授、

1976年　アシュトン・カーター国防長官、

　　したがって、人材としては極めて優秀と位置付けられる。

　彼が徴用される背景は今期の民主党候補選出の複雑さにある。　民主党既存勢力はバイデンを候補者に選択したが、老齢、新鮮味がない。息子ハンターの対中国、ウクライナ疑惑があり、失速する可能性がある。その穴埋めに出てきたのがブーテジェッジである。

２最近の動向

（１）賭けの動向（１2/3）

バイデン　　ブーテジェッジ　ウォーレン　サンダース　ブルムバーグ

24.9　　　　22.1　　　　　　18.2　　　　　16.0　　　　9.9

　ウォーレンに対する徹底した攻撃（「すべてに医療保険」は中間層への増税なしに実現できない）等が成功している。

（２）世論調査

バイデン　サンダース　　ウォーレン　ブーテジェッジ　　ブルムバーグ

　　　　27.0　　　16.0　　　　　14.0　　　　11.4　　　　　　　4.0

（３）早期実施の州のトップ

　アイオワ　　　　　　　　ブーテジェッジ

　ニューハンプシャー　　　ブーテジェッジ

　ネバタ　　　　　　　　　バイデン

　サウスカロライナ　　　　バイデン