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孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【色平哲郎氏のご紹介】 大衆はなぜ独裁者を支持してしまうのか

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【アエラ読書部19年10月7日】

近藤康太郎の 読まずにはいられない #318

「ヒトラーの正体」 舛添要一著 小学館新書 840円プラス
現代のポピュリズムや排外主義の病根を辿るとヒトラーに行きつく。
ヒトラーを正しく恐れるための入門書

ポピュリズムとは
「既成の政治エリートを攻撃し、大衆におもねって権力を狙う政治手法」
と定義するなら、ポピュリストの王様は、だれあろう、ヒトラーである。
名前を知らない人はいないが、「ユダヤ人を大虐殺した悪魔」
といったイメージしかもっていない人も多い。
「正しく知ってから恐れよう」が本書のテーマで、ヒトラーの生まれから政権奪取、開戦、自殺までを平易な口調で語っている。

銘記しなければならないのは、ヒトラーのナチス党は暴力で政権を奪取したのではないということだ。
正々堂々と選挙で政権についた。
当時のドイツは〈世界で、もっとも民主的な憲法を持っていた〉。
今の日本や米国と違い完全な比例代表制の普通選挙だったから、民意を正確に反映してもいた。
国民が望んだのだ。

なぜこんなことが可能だったのか。
ひとつにはヒトラーの天才的な宣伝能力だ。
ヒトラーはユダヤ人など〈具体的に敵を指定して、猛攻撃をかけます〉。
それは〈大衆にとって、敵を目の前に浮かべることができ、分かりやす〉いからで、〈宣伝は永久にただ大衆にのみ向けるべき〉だと、熟知していたのだ。

この手法は現在のポピュリスト政治家におなじみで、著者も
〈アメリカのトランプ大統領がその好例〉と指摘する。
敵=移民、敵=韓国みたいなわかりやすい図式しか、
大衆は受け入れてくれないのだ。

宣伝だけではなく、ヒトラーは〈ケインズ的手法を圧倒的規模に拡大〉した。
国が仕事を創って失業者を救済する。
国家による財政出動はむしろ左派の政策だ。
もっとも〈若者をボランティアに動員〉したり、〈女性は家庭を守るべきだ〉として失業者から除外する巧妙な統計操作もあった。
統計不正や読み方のトリックで「雇用が増えた」「賃金が上昇した」と強弁した首相も、どこかにいましたね。

だが最大の問題は、ヒトラーその人ではない。
大衆だ。
失業を減らしたとはいえ、なぜユダヤ人絶滅を妄想する狂信的独裁者を、大衆は許したのか。
現代も時代の空気は酷似してきている。
〈嫌韓派、嫌中派、ネトウヨと呼ばれているグループ〉などは
〈ナチスと五十歩百歩〉だ。

人はなぜ、自らを支配する者、従属させる独裁者を支持してしまうのか。
現代政治学の最大の謎で、著者も最終章で解明を試みるが、
紙幅が尽きた感がありもっと読みたい。

評者にはいちおうの答えがあって
「人は命令するより、命令される方が楽だから」。
ではそういう「われら大衆」とどう付き合っていくのか。
それはまた、わたしたち一人ひとりが新しい本となすべき、
重い問いなのだろう。

こんどう・こうたろう 1963年、東京・渋谷生まれ。
主な著書に「おいしい資本主義」「”あらすじ”だけで人生の意味が
全部わかる世界の古典13」「リアルロック」など。
朝日新聞日田支局長兼百姓兼猟師。食肉ブローカーになろうと画策。

コメント(1)

「人はなぜ、自らを支配するもの、独裁者を支持してしまうのか」?そりゃ、そのほうが楽ってこともあるが、
人間社会の歴史を考えると、狩猟社会から、農耕社会になり、富の蓄積が始まったとき、その富を
管理、運営する支配層ができた。その支配層はやはり、屈強で、強い武器を持っていたのだろう。
その支配形態の歴史が、何千年も続いたのだから、近代民主社会になっても、そう簡単には民衆の行動は
変わらない。

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