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孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの【色平哲郎氏のご紹介】 essage body (インタビュー)DV減らすには  NPO団体「アウェア」代表・山口のり子さん

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親密な関係の中で  洗脳して思考奪う  「力による支配」
社会全体の問題  加害者対策を  本気で考えよう
朝日新聞 2019.3.15

夫婦や恋人など親密な関係の中で起きる暴力
「ドメスティックバイオレンス(DV)」。
千葉県野田市の小4女児が死亡した事件で逮捕された母親も、
DVの被害者だった可能性が指摘されている。
家庭という密室で起きる暴力を防ぐことはできるのか。
20年近く、加害者向けプログラムを実施してきた山口のり子さんに聞いた。

(定義)(症状・現象)——そもそもDVとは何を指すのでしょう。

「親密な関係にある相手に力を持ち、支配し続けるために、繰り返し行う虐待行為のこ
とです。相手を威圧する、恥をかかせる、孤立させる、怖がらせる、威嚇する、強制す
る、脅す、責める、無視する、感情を傷つける、けがをさせる……。身体的な暴力だけ
でなく、性的、経済的暴力や、心理的攻撃など、あらゆる行為があたります」

(機序)——加害者はなぜ、DVに走るのですか。

「DVは『力による支配』です。自分の思い通りに動かすことが目的なので、暴力をふ
るったり怒鳴ったりすることは手段に過ぎません。あらゆる種類の力の中からその都度
、ベストな方法を選択し、繰り返し使うのです。そして『支配する人』と『支配される
人』の関係をつくり出します」

(加害者のアプローチ)——「被害者側にも落ち度がある」という人がいます。

「いいえ。加害者は、暴力をふるうきっかけをいつも探しています。だから被害者は避
けようがありません。『お前が暴力をふるわせている』というのも、加害者の決まり文
句です。しかし被害者は自分を責め、『私の努力が足りなかった』と思いがちです」

——相手の心に入り込んでいくのですね。

「加害者は相手を見下したり、自分を可哀想に見せて同情や罪悪感を抱かせたりするよ
うに仕向け、被害者をコントロールします。卑劣で巧みな論法と話術で会話を牛耳り、
わけがわからないうちに『自分が悪いからだ』と相手に思わせます。相手を洗脳して、
思考を乗っ取る手口です」

——どんな人たちですか。

「『自分が正しいことを証明するためには大声を出し、相手を黙らせるに限る』『妻を
コントロールする責任が私にはある』『殴られても僕についてくる彼女のピュアさを大
事にしたい』。アウェアに来る加害者は、こんなことを言います。ゆがんだ価値観を身
につけてしまった人たちです」

(原因)——そこまでいくと、病気のように思えますが。

「DVは病気や遺伝、アルコールや薬物依存症、精神的疾患などが原因で起こるもので
はありません。育った環境から学んだ『力と支配』の価値観や、男らしさ・女らしさの
ジェンダーバイアス、ある種の行動パターンや振る舞いなどが背景にあり、誰にでも起
こりうることです。ただ、親密な関係の中でしか起きないので、外ではイクメンと見ら
れていたり、社会的評価が高い人だったりすることも珍しくありません」

     ■     ■

(症例)——加害者は男性だけですか。

「女性にも、『力と支配』の価値観を学んでしまった人がいます。内閣府の調査では、
男性の5人に1人が配偶者からの暴力を経験しています。ただ女性は3人に1人が被害
にあっており、男女の被害者が半々になることはないでしょう。女性を男性より一段低
くみるという社会の仕組みがあるからです」

——配偶者への暴力は犯罪とされなかった時代もあります。

「殴ったり、けがをさせたりすると警察に逮捕されるので、身体的暴力をふるってアウ
ェアに来る加害者は少なくなっています。その代わり、心理的に相手を追い詰める加害
者が増えています。相手を自分の所有物だと思っているので、被害者が離れようとする
と、SNSを利用して、共通の友人を自分の味方につけようとしたり、相手の悪口を流
したりします。中にはリベンジポルノをばらまいたり、GPSを使って追跡したりする
人もいます。すべて人権侵害であり、犯罪です」

——被害者は逃げられないのでしょうか。

「DVは、被害者の自信や自尊心を奪います。被害者は、ただ加害者の言いなりになっ
て、うずくまっている状態です。『なぜ逃げなかったの?』と言われますが、逃げられ
ないのがDVなのです。加害者に依存するように仕向けられているため、離れるとどう
していいか分からず、結局、戻ってしまうこともよくあります」

——野田市の虐待事件の母親も同じ状況だったのでしょうか。

「断定はできませんが、彼女も追い込まれ、自分の身を守るために感情さえ持たないよ
うになっていた可能性があると思います。自分の考えを何も持たず、加害者の言われる
がままになるのは、被害者の究極のサバイバル術といえます。単純に『夫婦2人でやっ
たこと』とみるのは、DVのことが分かっていない見方です」

——つきあう前に、相手がDV加害者かどうか気づけませんか。

「加害者は支配しやすい相手を見つけると、急激に近づく傾向があります。短期間にぐ
いぐい来て、すぐに親密になろうとする人は要注意です。前の交際相手を見下していた
り、女性らしさにこだわっていたりする人も危ない。ただ相手をものにするために最初
は優しくしたりするので、見極めるのは簡単なことではありません」

     ■     ■

(現状と対策)——日本のDV対策はどういう状況にあるのでしょう。

「2001年にDV防止法が施行され、配偶者暴力相談支援センターが全国に置かれま
した。17年度は10万件以上の相談が寄せられています。ただ被害者支援が中心で、
加害者への処罰や更生は義務化されていません。警察が来ても夫婦げんかとしてとりあ
ってもらえなかったり、48時間の勾留だけですぐ出てきたりします」

(治療)——『加害者の更生』という視点が抜け落ちているのですね。

 「昨年末に12団体が参加して加害者プログラムのネットワークが誕生しましたが、
すべて民間です。国は補助金を出しておらず、規模や質もまちまちです」

——アウェアでは、どのような取り組みをしていますか。

「米カリフォルニア州の取り組みをモデルに、週1回、2時間のプログラムを最低52
回は受けてもらっています。費用は1回3千円。加害者同士が自分の暴力を振り返るグ
ループワークが中心です。加害者は仲間がいれば、びっくりするぐらい素直で正直に話
します。間違った価値観に気づくための教材やビデオもあります。被害者の話を聞く機
会も設け、相手を尊重する『新しい価値観』も学びます」

——よほど強い動機がないと、続けるのは難しそうですね。

「カリフォルニア州では逮捕後、裁判所命令で更生の義務が科され、52回の加害者プ
ログラムに参加します。日本では裁判所命令がないので、『アウェアに行かないと離婚
だよ』『子どもに会いたかったら行って』と妻に言われて来る人がほとんどです。二人
の間でストーリーが全く違うこともあるので、被害者にも必ず面談に来てもらいます」

——「加害者プログラムは効果がない」という指摘もあります。

「被害者から『もうアウェアに行かなくていい』と許されることが、ここでの唯一の『
卒業』です。中には、10年間通っている人もいます。2010〜16年に面談を受け
た加害者は300人。そのうち100人がプログラムに通い、52回以上通った人は半
数ほどいます。その中の約2割が卒業し、平均3年通っていました。アウェアに通って
いる加害者の養育費の支払率は100%近くになります。払わないと、グループのメン
バーから指摘されるからです」

     ■     ■

——DVを減らすには、どんな対策が必要でしょう。

「一つは法律を作り、加害者対策をきちんとすることです。様々な立場からの議論が必
要でしょう。日本では、身体的暴力または生命に対する脅迫を証明できないと、裁判所
は保護命令を出しません。精神的暴力は認められず、被害者がDVシェルターなどに逃
げることが多い。ただ、被害者は追跡を恐れたり、子どもをさらわれるのではないかと
おびえたりしています。被害者が一生逃げ続けるのは理不尽です。逃げきれたとしても
、加害者は次のターゲットを見つけるだけでしょう」

——「限られた予算は、被害者対策に使うべきだ」という意見もあります。

「加害者対策は、あくまで被害者を救う目的で実施されます。子どもたちが早い時期に
、『力と支配』の価値観は間違っているということを学ぶ教育も重要です。デートDV
の講習で学校に行ったとき、先生が生徒を怒鳴りつけていたことがありました。力で支
配して言うことを聞かせる行為は、学校でも行われているのです。暴力は個々の家庭の
問題ではなく、社会が生み出している。このことを自覚し、加害者対策を本気で考える
時期にきています。DVは、それを許している社会全体の問題なのです」

(聞き手・杉原里美)
     
◇やまぐちのりこ 1950年生まれ。2002年、アウェア開設。18年末に設立さ
れた「DV加害者更生教育プログラム全国ネットワーク」の代表も務める。

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