孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの日本国民の国民性についての孫崎氏が語る

【孫崎享のつぶやき】2017-05-02 08:019

【国民は問題山積の何故安倍批判をしないか。「1946年に出版の「菊と刀」で、日本国民とは「各々にどう行動すればいいかの“地図”が与えられる。最大の幸せはないかもしれないが生きていける保証を与えてくれた。江戸、明治と人々はそう生きて来た」】

戦略的思考の欠如②「菊と刀」

ルース・ベネディクトは1887年生まれ。「菊と刀」は1946年に出版。本書は戦争情報局の日本班チーフだったベネディクトがまとめた「日本人の行動パターン」を基に執筆された。邦訳『菊と刀』（社会思想社、1967年）より引用。

・日本人は他のいかなる主権国にもまして、行動が末の末まで、あたかも地図のように精密に規定されており、めいめいの社会的地位が定まっている世界の中で生活するように条件づけられてきた。

法と秩序とがそのような世界の中で武力によって維持された（徳川幕府の）二百年の間に、日本人はこの綿密に企画された階級制度をただちに安全ならびに保証と同一視することを学んだ。彼らは既知の領域に留まっている限り、既知の義務を履行している限り、彼らの世界を信頼することができた。匪賊は制圧されていた。大名間の内戦も防止されていた。

人民はもし他人が自分の権利を侵したことが立証することができれば、百姓たちが搾取された時にしたようなに、訴え出ることが出来た。それは個人的には危険をともなったが、公認された手段であった。

　人はこの「地図」を信頼した。そして、この「地図」に示されている道をたどる時にのみ安全であった。人はそれを改め、あるいはそれに反抗することにおいてではなく、それに従うことにおいて勇気をしけし、高潔さを示した。その規則はモーセの十戒のような抽象的庶民、兄等立場に応じ）ふさわしい行為かというようなことを細かに規定したものだった。

・日本人が詳細な行動の「地図」を好みかつ信頼したのは、一つにはもっともな理由があった。その「地図」は人が従う限り必ず保証を与えてくれた。それは不当な侵略に対する抗議を認めた。またそれを巧みに操って自分の利益をはかることもできた。それは相互義務の履行を要求した。

・十九世紀後半に徳川幕府が崩壊したときにも、国民のなかで、この「地図」を引き裂いてしまえという意見のグループは一つも存在しなかった。

・明治の政治家たちは国家と人民との間の「ふさわしい位置」の義務を細かに規定した。

・「ふさわしい位置」が保たれている限り日本人は不服をいわずにやってゆく。彼らは安全だと考える。もちろん彼らは最大の幸福が保護されている（か）という意味では「安全」でない場合がしばしばあるが、それでも「階級制度」を正当なものとして受け容れてきたという理由で「安全」である。

「考察」ベネディクトは「戦略的物の考え方をしない」とは記述していない。しかし、「何故考えないか」を説明している。日本人には各々に与えられた「地図」があり、それに従っていれば、「最大の幸福が保護されている」というものではないが、各々に与えられたしかるべき地位は保全される保証が与えられているという指摘である。各人の歩むべき「地図」は与えられるものであり、自らが「地図」つまり「戦略」を考える必要はない。

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私見

　私には今回の記事に、孫崎さんの深い失望が秘められているように感ぜられる。ただ、日本国民とひとくくりでできない安藤昌益やシャクシャイン、沖縄県民、１９６０年安保闘争、反原発市民運動など、国民の抵抗のリアリティ信頼している。

コメント(2)

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[1] mixiユーザー 05月03日 17:37

ベネデクトのように、難しく言わなくとも、日本人は、こらいより、お上に従順な民族ですね。
おそらく、島国、農耕民族、神仏混淆した宗教信仰、それから、儒教精神などが、いまだに、とくに
農村部に、根強く残っているからではないだろうか？

それで今までは、とくに明治までは、平穏な生活ができたのです。
水飲み百姓とはいえ、奴隷のようではなく、最低の生活はできたのでしょう。

それに、村の自治権、入合地など、そこそこの権利もあった。

戦後70年では、なかなかアメリカ式の民主主義は根付かない。

[2] mixiユーザー 05月03日 19:00

「分をわきまえて生きる」のが、「身分社会の鉄則」でしたからね。
「権威」に弱い国民です。

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