孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュのベルギーでのテロ事件を、今一度考える

【孫崎享のつぶやき】

ベルギーでのテロ事件を、今一度考える

2016-03-24 07:542

ベルギーでのテロ事件を次の4点で考えてみたい。

①何故テロ事件は起こるのか、
②テロとの戦いをどう位置付けるか
③日本への影響
④ベルギーの特殊性

１「何故テロ事件は起こるのか」
本件は昨年11月パリ同時多発テロ事件の容疑者が捕まり、それへの報復という事で、一連の関係がある。
　ではパリへのテロ事件は何故起こったか。
　シリアでの「イスラム国」に対してフランスが空爆したことに対する報復が、パリへのテロ行為になっている。
　イスラム社会でのテロ行為は、ある日、イスラム教の狂信者が狂って西側社会を攻撃し始めたのではない。
　その前に、米国、フランスなどの軍事行動があり、ここで一般市民に多数の死傷者をだすという事態が生じている。この事態がなければ、こうしたテロ行為は生まれていない。

２　　「テロとの戦いをどう位置付けるか」
2000年頃からテロとの戦いが起こっている。

ではこのテロとの戦いで、テロを減少できたか。

全く逆である。

米国国務省は「２０１４年国別テロリズム報告（Country Reports on Terrorism: 2014 ）を発表した。

　　２０００年　　　　　　　405
　　　　　１年　　　　　　3,547
　　　　　２年　　　　　　　725
　　　　　３年　　　　　　　625
　　　　　４年　　　　　　. 1,907
　　　　　５年　　　　　　14,602
　　　　　６年　　　　　　20,498
　　　　　７年　　　　　　22,685.
　　　　　８年　　　　　　15,765
　　　　　９年　　　　　　14,971
　　　　１０年　　　　　　13,186
　　　　１１年　　　　　　12,533
　　　　１２年　　　　　　11,098
　　　　１３年　　　　　　17,891
　　　　１４年　　　　　　32,727

テロとの戦いにもかかわらず、テロの犠牲者が増えている。テロとの戦いはテロを鎮圧するどころか、拡大している。

３　　日本への影響
安倍首相は中東訪問中、「イスラム国」と戦う周辺国支援に資金提供を発表した。
これに対して、「イスラム国」は我々は後藤氏殺害の時に、「イスラム国」が次の警告をした。
“アベよ、戦いに参加するというおまえの無謀な決断で、このナイフはケンジを殺すだけでなく、おまえの国民を場所を問わずに殺戮する”
こうした警告を無視できない。
「イスラム国」の特徴は外国人兵士が2―3万人と多いことである。
シリアで殲滅されれば彼らは各地に拡散する。
東南アジア、中国の新疆・ウイグルにも協力者がいる.
テロリストが日本に来るのをみずぎわで止めることは出来ない。
日本の社会はテロに備える体制は全くできていない。新幹線、地下鉄、JR,私鉄、デパート、繁華街等。
集団的自衛権で自衛隊が、テロリスト集団と戦う時、彼らが日本に攻撃を仕掛ける可能性が十分にある。

４　「ベルギーの特殊性」
ベルギーでのイスラム系住民の失業は高く、政府に対する不満が高い。彼らの住む地域は治安当局も中に入るのを躊躇するような地域になっている。イスラム過激主義に走る土壌がある。