孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュのラムズフェルド元国防長官、アーミテージ元国務副長官が「旭日大綬章」。このタイミングでブッシュ（父）ラムズフェルド等を批判

孫崎享のつぶやき
ラムズフェルド元国防長官、アーミテージ元国務副長官が「旭日大綬章」。このタイミングでブッシュ（父）ラムズフェルド等を批判
2015-11-06 06:524

秋の叙勲でアメリカのラムズフェルド元国防長官やアーミテージ元国務副長官が「旭日大綬章」を受章した。
外国の叙勲者は「日本にどのように貢献したか」という観点とともに、これらの人々が自国でどの様に評価されているか」の視点もまた重要である。自国で厳しく悲観されている人物に過大な叙勲をすることは、日本の見識が国際的に問われることとなる。その意味で、この時期にラムズフェルド元国防長官やアーミテージ元国務副長官に叙勲することは極めて不適切である。

両者ともイラク戦争に深く関与している。

米国ですら、イラク戦争は厳しく批判されている。

その中での叙勲である。日本が「イラク戦争」を検証してこなかったつけがここにも出ている。

今、米国では大統領選に備えて、すでに民主党、共和党の立候補が行われ、選挙に向けての動きが活発である。この中、共和党のジェブ・ブッシュが当初の予想に反して失速している、さまざまな理由があるが、イラク戦争に踏み切ったブッシュ大統領（兄）を充分に非難できなかったことが理由となっている。

A:事実関係

こうした中、4,日付NYTはブッシュ大統領（父）がラムズフェルド元国防長官を批判している記事を掲載している（Elder Bush Says His Son Was Served Badly by Aides）。主要論点次の通り。

・ブッシュ元大統領は長年の沈黙を破り、チェーニ―元副大統領、ラムズフェルド元国防長官らを厳しく批判した。

・ブッシュ（父）は「チェーニ―副大統領は“彼自身の帝国”（注、国防省や国務省内）を築き、世界中で武器使用を行うことを強く推進し、ブッシュ大統領（兄）の政権内に過剰な強硬路線の影響を与えた」と述べた。

・ブッシュ（父）はラムズフェルド元国防長官を、「傲慢な野郎で、他人の考えを理解せず、大統領（兄）に不当に仕えた」と述べた。

・ブッシュ（父）は「いくつかの言及ブリに心配をした。これら言及ブリは強硬路線に簡単にいき、外交的に解決するに資しない。具体的にはイラン、イラク、北朝鮮を“悪の枢軸”とした２００２年の大統領教書である」と述べた。

・ただブッシュ（父）はイラク戦争には反対せず、「サダム・フセインを排除したのは米国の歴史の中で誇れる時である、ブッシュ大統領（兄）は最善を尽くした」と評価した。

B:評価

　ブッシュ（兄）政権時、主要政策はチェニー副大統領に握られていたこと、国防省、国務省には彼の強い影響の下で行動する人々が大半を占めていたこと（この中にはアーミテージ元国務副長官も含まれる）は当時から言われていた。

　それを今回、ラムズフェルド元国防長官やアーミテージ元国務副長官の叙勲と言うタイミングで出てきたのは皮肉である。