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孫崎亨・広原盛明・色平哲郎達見コミュの「東電本店統合本部視察ルポタージュ」

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「東電本店統合本部視察ルポタージュ」
生まれて初めて、東電の本店に行った。
8時50分の集合に着いた時間は8時37分。
従業員入口から入ってくれとの警備員さんの指示で受付へ。

投げやりで荒んだ雰囲気があたりに漂う廊下から2Fで通された部屋は、同じように、 大切に手入れ
されているとは言いがたい事務室風の部屋だった。

政府と東電の合同対策本部の廊下を挟む向かい側のこの部屋が、細野大臣が待機や打ち合わせに使う
部屋だそうだ。

「一番近い部屋がいい、とおっしゃいますものですから、、、、」
と、バツの悪そうな顔で広報担当者らしい人が言う。
重役フロアにあるはずの、彼らが用意した部屋は、どのようなものだったのだろう。

廊下に出て、向かい側の統合本部の看板を撮っていたら、誰かが飛んで来て、部屋の中は撮影禁止だから
と注意される。「理由は?」と聞いたら、「??」のお返事。

こういう質問はされたことがなくて、理由なんて考えてみたことはないというのが明らか。

数分経って、「マスコミの人たちも撮りたがっているから」という、これまたよくわからない理由が
伝えられたが、これ以上追求する問題でもないので頷いた。
細野大臣はじめ、同僚議員たちも集まり、統合本部に入った。
9時から行われる定例の本部会議を視察できるという。

かなり広い、でも普通の部屋に百人以上の人が座っている。立っている人々も30人はいる。
私たちは3列目の椅子に案内されたが、そのために立たされた人々もいるのだろうか?
でも、総勢で10人足らずの視察だから、普段でも立っている人がいるのかと考えていたら、
これでも事故当初からずいぶん人が減ったのだと大臣が説明してくれた。

部屋中央の前面の壁に1.2×3.5m位のモニターがあり、その回りをコの字型に机付きの椅子がひしめいて
いる。そして、その後ろを何重にも椅子が取り囲む。両横に机群と椅子があり、机のあるところは、
ズラッとパソコン。パソコンがないのは、画面真向かいのメイン・テーブルのみ。
ここに、大臣や東電会長、社長らが席に就く。
私たちの前に座っているのが保安院をはじめとする政府関係者。
それ以外は、東電の各部門の人々らしい。

色とりどりのネット状のベストを着ている人がたくさんいる。
えんじ色の地に黄色の文字で「火力復旧班」、黄色に青の文字で「広報班」などと背中に書かれている。
緑色の地は、資材班だ。

この部屋の主らしいモニターに目をやる。
ひとつの画面がいくつにも区切られていて、右上の隅に、今は見慣れた福島第一の建屋が見える。
その左横には、本店の文字。繋がっている様々な拠点を映し出すことができるらしい。

9時ジャストに会議が始まった。
この本部からの挨拶に続いて、福島第一からの前回以降の出来事、問題点、本日の予定などがきびきびと
報告される。
時々理解できない専門用語が出てくるが、滞留水の処理がどうやら軌道に乗り始めたこと、
炉の温度は水量を絞っているためにやや高めで安定していること等、おおおよその事は理解できる。

いかにも自分のやっていることを把握している現場の人々の声だ。
ここへ来て、初めて、人間の男の声を聞いたと思った。
ただし、この辺が3/11以来私たちがニュースを通じて知る東電らしいと感じたのは、
昨日の滞留水システムの停止がプログラム改良班と現場作業班の連絡不十分に基づくものだと分かった
ときだ。ヨコの連絡が問題らしい。

次は、本店からの報告。
今後の計画や、モニタリング情報の分析などが説明される。
画面はグラフやシステムのチャートなどに前面切り替わっている。
その後、司会役の重役から、安全評価チームに対し、現在の放射能漏洩率、推定量を早く出すよう指示
があった。
代わっては、福島県庁に設置されたオフサイトセンターから、田島政務官の声で現在のモニタリング数値
の捉え方に対する質問。
地元の不安として、これまでに滞留しているものと、新たに出ているものをどういう割合で考えるのか
と迫る。 細野大臣も同感の意で、東電はこの作業を急ぐように指示した。

東電側の答は、推定値の誤差範囲を縮めようとしていることは理解できたが、
何が難しくてこれほど時間がかかるのかは、理解できなかった。

国民が隠蔽を疑うのは、私たちから見て、科学のブラックボックスの中にある作業の困難さを
うまく伝える人が不在であるからのように思う。

会議の最後に細野大臣から荒井PT 座長の紹介があり、座長はPTを手短に説明した後、
「皆さんのやっていることは、歴史に残る作業です。疲労はピークに達していると思うが、
日本、世界の文明のために頑張って欲しい」と激励。
「ご安全に」の方々からのかけ声で会議は終わった。9時30分。

会議後、12階のこれまた殺風景な部屋へ移動。
会長以下のお偉方と名刺交換の後30分ほどの意見交換だった。
賠償スキームの法案の進み具合や政府の第二次補正予算、炉の安定冷却後の燃料棒の取り出し、
運搬、保管などの問題や、東電広報の情報発信の問題などを話し合う。

最後に、取材記者たちが溜まっている1Fの部屋に立寄った。
狭くて、取材機器が雑然と積み上げられ、暑くて淀んだ空気の部屋だった。
上の方の階は、ギンギンにクーラーが効いていたのに、ここだけは違う。
東電は、自分たちがメディア報道の被害者だと思い、居心地を悪くしているのかと考える。
事実は、東電が事故を起こし、多くの被害者を出した加害者なのだけど、、、。

帰りに最初にもらったIDカードを返しながら考えた。
細野大臣たちも、こういうのをもらっているのだろうか?
政府と東電の統合本部なら本来、場所は政府側にあるのが普通なのに、なぜ事故直後の混乱期は
仕方ないにしても、3ヶ月後も大臣が東電詣でをすることになっているのか?
県庁にも置けるネット拠点をなぜ政府の対策本部や大臣室に今も作れないでいるのか?
これを許している政府も政府だと思うが、それをいいことに平然としている東電の文化というものも
どうかしている。

私が見る限り、それほど特殊な装置に見えなかったし、オフサイトセンターと繋げて、
なぜ政府の対策本部と繋げられないのか不思議。

現場で頑張っている人々には頭が下がるけど、東電本店の世界では、常識が外の世界の常識とは、まる
でかけ離れている。
この落差が、私たちがこの3ヶ月間感じ続けて来たもどかしさ、イライラ感を生み出しているのだろう。

ズラッと並ぶ重役たちが発する独特な無機質感と共に、要するに東電は、やっぱり東電だった。

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