アーティストインレジデンス/AIRコミュのQSS (Queens Street Studios)、ベルファスト、北アイルランド(イギリス)

以下、キーボーさんのご投稿です。
キーボーさんご協力ありがとうございました。

北アイルランドの首府ベルファスト。
10年前まで紛争していたとは思えないほど、静かで穏やかな街。
人口約27万人と小さな街にしては、ギャラリーやスタジオ、画材屋、DIYショップなどアートのインフラは整っている。

2008年8月から10月まで私がレジデンスで滞在していた、QSS（QueenStreetStudio）は25年の歴史を誇り、地元のアーティスト（主にペインター）が多数在籍するスタジオ。
24時間、365日制作可能で小さなキッチンや冷蔵庫もついているため、泊り込んで制作し続ける事も可能なのが嬉しい（寒いのが難点）

QSSの特色としては、DAS（デジタルスタジオ）も併設していて、デジタル系の作家もレジデンスとして海外からやってくること。
スタジオは２フロアあり、下の階にギャラリースペースと事務所、DASがあり、上の階がアーティストのスタジオという作り。
ベテラン作家から若手まで幅広く15人から20人ほどがスタジオで日々制作している。
QSS側のネット環境は、みんなで共有するマックが一台あり、それを仲良く順番待ちしながら使用する。

なお、ペインターが多く在籍するスタジオのため、木材などを加工する基本的な工具すら揃っていないが、ディレクターに頼めば、一通りの工具（ドリル、インパクト、電ノコ）は用意してくれる。

自分が滞在した時は、ギャラリースペースで制作、発表する予定だったが作品が大きくなったため、ディレクターが、スタジオのすぐ裏にある広いギャラリーに交渉してくれて、そこで個展を開催する運びになった。
そういう心配りというか、配慮がめずらしく行き届いているアットホームなスタジオだと思う。
スタジオの作家達も皆フレンドリーで、一緒にイベントやパブに行ったりして親睦を深めることができる。
ベルファスト市内の作家達は横の繋がりも強く、アートや音楽やデザインなどの垣根がなく仲良くやっている印象をもった。

QSSが所有するアパートはスタジオから徒歩15分。スーパーのtescoがすぐ近くにあったり、アジア系のスーパーも近かったり、和食屋さんもあったりとアクセス的には申し分ないが、ネットが開通していないのが難点だった。
自分が滞在していた時は、DASが招聘したカナダ人の映像作家との二人で共同生活。
古いアパートのため、何度もガスが止まり、寒さに凍え風呂に入れない日々が続いたが、その状況を楽しめる人には、特に問題はないと思う。

Queens Street Studios (QSS)
http://www.queenstreetstudios.net

Digital Art Studios (DAS)
http://www.digitalartsstudios.com