ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

感動するお話(つд;*)コミュの啓太と恵理 (自作)

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

『何とか言ったらどうなのよっ!!黙ってちゃ分からないじゃないっ!!』



部屋中に、私の声が響いていた。





――2012年12月24日――





クリスマス・イヴ


私と啓太は、付き合ってから4回目のクリスマス・イヴを迎えていた。

キラキラと輝く夜景を啓太と見ながら、私はロマンチックな時間を満喫していた。



啓太との出会いは、運命だった。

図書館で、大学の卒業論文の為の参考文献を探していた時、最後の一冊がなかなか見付からず、所狭しと敷き詰められた書棚の前を、行っては来て、行っては来て、を繰り返していた。

ようやく見付けた本は、私の身長よりも高い位置に並べられていた。

背伸びをして手を伸ばすが、右手の指に触れるだけで本を取ることが出来ないでいた。


『取るよ。』


私の背後から優しく声を掛けてくれたのが、啓太だった。


『あ、ありがと…。』


それまで卒業論文に追われていた私にとって、啓太の優しさに対して一瞬で心が奪われた。

啓太も私と同い年で、同じく卒業論文に取り掛かっていた、ということを話してくれた。


『また、会える…?』


参考文献を胸に抱えた私は、図書館の机でノートにペンを走らせていた啓太に思い切って声を掛けた。


『いいよ。ちょっと待って。』


啓太はペンを置くと、鞄の中から携帯電話を取り出した。


こうして、私と啓太の交際は始まった。


卒業論文が完成した時は、お互いに手を取り合って喜んだ。

お互い、第一志望の企業へと就職することも出来た。


どんなに忙しくても、私の為に時間を取ってくれる啓太が大好き。


二人で遊びに行ったディズニーランド。
どのアトラクションよりも、待ち時間の方が楽しかった。

初めてのスノーボードで、何度もお尻をついて転ぶ私を見て、声を上げて笑う啓太。
笑いすぎ。


二人で初日の出を見に、富士山の山頂に行こう、って、真剣な眼差しで私を誘った啓太。
登山初体験の私には、かなりキツかったんだからね。
でも、初日の出、綺麗だったな。


月に三回は、二人で肌を重ねて愛を確かめ合った。



なのに……




『恵理…ゴメン…。……今日で、お互い会うのはよそう。』



二人で肩を並べて夜景を見ていた時、啓太が唐突に私にそう言った。


『え………ちょ、な、なんで?…嘘、だよね?』

『嘘、じゃない……。』

『なん…で…?啓太、……何…言ってる…の?』

『………』

『好き…なヒト、出来た、の……?』

『………』


啓太は夜景を見ながら口を閉ざしたままだった。



『そっか……わかった……。もう……会わないよ…。』

『………』

『……さよなら……』



啓太に背を向けて、私はその場から立ち去った。

涙だけが、止まらなかった。


帰宅して部屋に入ると、着の身着のままベッドに俯せになり、声を上げて泣き出した。

私の泣き声に心配になったママが、扉を叩きながら


『恵理、どうしたの!?恵理っ!』


そんなママの言葉よりも、啓太の言葉が頭の中をグルグルと回っていた。







――2013年01月11日――





仕事が終わり、いつものように帰宅しようと会社を出た時、私の携帯電話が鳴った。その着信音は、特定の人からしか鳴らない着信音だった。


鞄から携帯電話を取り出し、着信表示を確認した。

その表示を見た瞬間、私の心臓は跳ね上がった。


携帯の画面には、啓太と一緒に撮ったプリクラ写真と啓太の名前が表示されていた。


『……もしもし…。』







私はベッドで寝ている啓太の傍に近寄った。


啓太は、私が来るのを待ちくたびれて寝てしまったのだろう。


『……啓太、ねぇ、啓太。』


肩をゆすっても、啓太は一向に起きる気配を見せない。



『…恵理ちゃん……』



啓太のお母さんが、啓太の隣に座りながらハンカチで赤く腫れ上がった目元を押さえていた。


『…啓太がね、恵理ちゃんには言わないで、って…。恵理ちゃん、……啓太のね、上着のね…ポケットにね………、……啓太ぁーーーーっ!!!』



啓太のお母さんは、大きな声を上げて泣き出した。


私は、啓太の上着がかけてあるハンガーに近付くと、上着のポケットに手を入れた。

ポケットに入っていたのは、小さな箱だった。

それと、小さな箱の中には、折り畳まれた紙が入っていた。


私は震える手を押さえ、ゆっくりとその紙を開いた。




[恵理、1月11日、誕生日おめでとう。今年も二人で過ごしたかった。いや、この先何年、何十年、ずっと、ずっと。でも、無理みたいだ。俺、死ぬんだって。はは、笑っちゃうよな。……死にたくない、死にたくないよ、恵理、恵理。クリスマス・イヴの夜のこと覚えてる?あの時、俺、ここ抜け出したんだ。だって、恵理に会いたかったから。それと、恵理にお別れを言う為に。恵理、今までこんな俺に付き合ってくれてありがとう。最後になるけど、照れ臭くて言えなかった言葉を贈るよ。リングに彫ってある字を見て。〜啓太より〜]





私の瞳から零れた涙が、啓太の字を滲ませる。


小さな箱を開けると、銀色に輝くリングが目に飛び込んできた。

小さな箱からリングを取り出し、リングの内側に彫られた字を濡れた瞳を服の袖で拭い、確認する。


私の涙は、止まることを忘れたように流れ続けた。



私は啓太に近付いた。



『啓太っ、ねぇ、啓太っ!!何とか言ったらどうなのよっ!!黙ってちゃ分からないじゃないっ!!…………啓太ぁぁっっ!!!』




部屋中に、私の声が響いていた。




[ I LOVE YOU FOREVER KEITA ]


[ I LOVE YOU FOREVER ERI ]





二つのリングが、私と啓太の手の中で、カチカチと音を鳴らしていた






エンディング曲
愛内里菜 [NABY BLUE ]
(YouTubeより引用)

http://m.youtube.com/watch?client=mv-google&gl=JP&hl=ja&v=dbXXZJ5Vwo4

コメント(12)

けいたぁ〜( TДT)
彼女に死にゆく姿を見せない、かっこいいですね…
憧れちゃいますね。


最後にリア充爆発しろ(^^)

凄く表現とか綺麗で
とても引き込まれました(>_<。)


いやぁ〜……
めっちゃ良い話や…
リングにメッセージ残すとことか………
惚れてまうやろぉぉ!
((((゜д゜;))))(笑)

(・_・、)
ちょっと涙でちゃった
じゃないですかっ(。・・)

けいた、格好良すぎます。
そんなことされたら、
一生忘れられないですよ〜(・_・、)

ひとりにしないで〜。゚(゚´Д`゚)゚。
>>[001]

(^O^)/
ボッカ〜ン!!

リア充、大爆発!(笑)
>>[002]

(^∀^)
『感動するお話』
第一作目だ。

こんな感じでええか?w
>>[003]

(^∀^)
いかにして涙を誘うか。


感動という感情を忘れた俺の、感動作第一弾w

暇潰しにまた作る予定ではいる。
目指すは、『20回目の誕生日』を超える話だなw
まぁ、無理だな(笑)
>>[6]

負けました!

わらww

いやぁ、
この作品も十分泣けましたよ(。・・)
暇つぶしで書けてしまうところが
羨ましいです(*・ω・)ノ

ジロさんの作品に
泣かされてるのが
究極に悔しいw

けどやっぱり文才に尊敬します


愛内里菜のNABY BLUEですかほっとした顔
愛内里菜好きなので、
さらに涙を誘う作品でした(´`)
>>[009]

(;^∀^)
涙は止まりましたか?
ありがとうございますw
>>[010]

(^∀^)
あき@Tさんにそこまで言われるとは思わなかったなw

ありがとうw

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

感動するお話(つд;*) 更新情報

感動するお話(つд;*)のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング