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詩と死とセックスコミュのs1e3

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*



雲で顔を隠した月はこっそり涙を流し、赤を滲ませる。



もんやりとしたのろまな空気が漂う。



隣の部屋の奈緒がベランダに出てきて背伸びをする。



「紘、持ってる?」



隣のベランダの手摺りには私の手は届かない。



だから私達は手を伸ばしあい何もない空中で交流をする。



私はティッシュに包んだ毒を奈緒に手渡す。



奈緒は大切そうに両掌で受け取り微笑む。



「精液、いつもありがとう」



私の心の中は哀れみの生温い血で溢れる。



冷たくもなければ暖かくもないその血は私の行動を醜いものとする。



「紘は前にこれを醜い毒と言ったけれど、私にとっては神秘的な薬なの。」



純白のパジャマを着た奈緒の心は黒く病んでいる。



私は煙草を取り出し口にくわえてライターで火をつける。



隣のマンションの白熱灯は、よからぬものを照らしつづける。



*



855:akane :2008/12/19(火)05:08

セックスが好き。男の人が好き。必要とされるのが好き。気持ち良いのが好き。優しくしてくれるのが好き。いつもお腹が減ってたまらない。涎を垂らし続ける。触って欲しい。気持ち良くなりたい。触ってあげたい。気持ち良くさせたい。男の人の欲情した表情が好き。満足させてあげたくなる。男の人の気持ち良さそうな顔が好き。とても可愛いと思う。私の身体は汚れているから、男の人に綺麗にして欲しい。触って舐めて挿入して出して綺麗にして欲しい。擦り切れるくらいセックスがしたい。何回も何回も求められたい。セックスが無ければ生きていけない。



274:Shiki :2010/8/20(金)17:58

別にセックスなんて特別なものじゃないだろう。ただの粘膜の接触、ただのコミュニケーション、ただの運動。ここにいる否定の方々はセックスを神聖化しすぎだし、頭の中が漂白されすぎている。人間はもっと汚くて世俗にまみれている。だから生きやすい。俺はやれる女がいたらやるし、インスタントな快楽を求めるセックスが好きだ。セックスに意味なんてない。セックスをしても何も変わらない。現代のぶっ壊れてきた貞操観念がさらに壊れて無くなってしまえばいい。戦争をするならセックスをしよう。挨拶代わりにセックスをしよう。ラブアンドピース。



*



灯莉と映画を見終える。



私達が映画館から出ると、もう外は茜色をしていた。



「先輩、太陽さんが出血しておられます。」



「太陽の血液も赤かったのですね。」



「太陽なのにお月のものとは、これ如何に。」



私は聞かなかったことにする。



小腹が空いた。



「灯莉さんは、お腹空きましたか?」



「……いえ、それほど。」



「では近くの公園でも行きましょうか。」



緩い坂を上る。



大きな建物と長く続く階段の前で、右折して、古くて緩い石の階段を登る。



ノスタルジーな雰囲気がゆっくりと私の前から伝わってくる。



石段を登り終えると広い公園風景が視界に広がる。



人工的な大きい池があり、鴨が水面に浮かんでいた。



カラスが燃える空に揚げられて、悲鳴をあげている。



また歩き始める。



ベンチには若い男女がいくらか座っていて、その中で空いているベンチに私達は腰を下ろす。



私はポケットを切り抜いたようなものと煙草とライターを取りだす。



そして煙草を咥えてライターで火を点ける。



吸って煙を吐き出す。



灯莉は眉間に皺を寄せて口を開く。



「昔、先輩が煙草なんて有害を吸い始めた理由は何ですか?」



「……早く病気で死にたかったから、ですかね。」



「私よりも先に死んだら私が悲しむので、煙草はやめてください。」



「灯莉さんが悲しむ姿を私は天国で笑っていますよ。」



私は微笑む。



「先輩は少し意地悪ですから、地獄に落ちるでしょう。」



「私が地獄に行ったら、灯莉さんが死んだ時は天国に行くでしょうから離れ離れでしょうね。」



「その時は神様、閻魔様に言って私も地獄に行きましょう。」



「地獄は大変そうですよ?」



「先輩がいるところが私にとって天国ですから。」



灯莉は微笑む。



私達は口を閉じて景色を眺める。



池に映る燃える太陽、鴨が水面を渡る波紋、耳を澄ませばサックスの音がどこからか聞こえてきた。



「さっきの映画、私達に似ていましたね。」



灯莉は言う。



「そうですかね。私はあんな根暗で嫌な青年ではありませんよ。」



「どの口が言うのでしょうか。」



灯莉は微笑む。



「あの二人の恋愛は、素敵でしたね。フィクションの恋愛は性欲を感じないから好きです。リアルの恋愛は性欲しかなくて醜い。」



「恋愛は性欲が絡んでも絡まなくても美しいものですよ。性欲、愛し合う性行為の描写があるフィクションもリアルの恋愛も私は好きです。」



「その愛し合う性行為というものがよく分かりません。人間が愛し合うコミュニケーションとして性行為をするなんて間違っています。人間には言葉があります。私は言葉で人は愛し合うべきだと思います。性行為でしか愛し合えないなんてただの猿です。」



少し私の声が大きかったのか、隣のベンチでべたべたといちゃつく猿二匹が私を見る。



「プラトニックな意見ですね。言葉も大事ですけれど性行為で愛し合うことが悪いとは私は思いませんね。」



「やはり灯莉さんとは価値観が違うようですね。」



「それは素敵なことですね。」



*



夜が近づいた頃、私達は腰をあげ、そして歩き始める。



長い影と短い影が肩を並べて進んでいく。



「今日も変なことやむかつくことばかり言って、先輩は本当に憎たらしいですね。」



「それは結構なことですね。」



「憎さあまって可愛さ百倍ですよ、まったく。」



「意味が分かりませんね。」



「この、ひねくれものめが。」



「それに比べて灯莉さんは打ちやすそうなピッチャーですね。」



「意味が分かりませんね。」



「ストレートな発言ばかりだってことです。会話のキャッチボールならぬ会話の投手と打者ってことですよ。」



「投手と打者ですか、先輩は腰に硬そうなバットも持っていますし上手い言い回しですね。」



私は聞かなかったことにする。



燃える空に焦げた綿毛が飛んでいた。



灯莉の白いワンピースも影では黒くなっていた。



私達は公衆便所の脇の細い道を通り、三色のタイルの道に出た。



隣から、ぐぅぅという音がした。



横を向くと頬に小さな夕焼けができていた。



「ご飯、食べに行きましょうか。」



*



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