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詩と死とセックスコミュのs1e4

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457:Shiki :2010/5/29(火)00:08

私の初体験は強引なる和姦でした。彼は惨たらしい生殖器を勃たせて、私に『好き』というのです。この生殖器の割れ目が口を縦にして言っているような気がしました。『君が好きだからしたい』と言いました。私には『したいから君を好きだと言っている』と感じました。私はただ幼くて、性欲などありませんでした。性欲のない女にとっての性交は、満腹なのに無理矢理食物を口に、胃に入れられるようなものでした。ひっくり返ったカエルのような、間抜けな姿を晒す私に、彼は生の男性器をゆっくりと刺しました。吐息を漏らしながら快楽に浸る彼とは対照的に私は、いだい゛、いだい゛と涙ぐんでいました。彼は肉を強引にひきちぎって、侵食し私の内部の幼い恋心を刺殺しました。何の恨みがあるのか、ずぶり、ずぶりと刺しては抜いて、また刺しました。刺される度に私は言葉にならない喘ぎをあげました。自分も彼も何もかもが気持ち悪かったです。あられもなく股を広げて、私は一体何をしているのだろうと思いました。お母さんと話したくなりました。他愛ないことを話したくなりました。私はいつまでも子供でいたかった。穏やかな夕方のような日常に帰りたくなりました。なんで恋人になったら決まりごとのようにセックスをしなくちゃいけないのでしょうか。子供を作る訳じゃないのに。愛を深めるためなのですか? 私にはよく分からないのです。子供を作らない、愚劣な低俗なセックスなんてしたくないのです。必死に腰を振る彼は、なんだか人間じゃなくて、ヒト科の動物でした。私の交尾初体験の夜はゆっくりと残酷に進んでいきました。



酸性の痛みと哀しさが



雪のようにしんみり心に降り積もり



溶けてはゆっくりと心を



穿っていきました。



*



携帯に映る性欲に関する掲示板の文章は、脆くて泣いていた。



私は、傍観者であり何も知らないのに何もしないのに勝手に他人を哀れんでいる。



私が一番嫌いな人柄だ。



それでも私は傲慢で、自分の考えを他者に伝えたい。



「性欲なんてものは、この世から無くなればいいのです。」



私は奈央に話しかける。



「もしも性欲、性的快楽が無くなれば性産業は無くなり、望まない妊娠が無くなる。皆、お伽話のようなピュアな恋愛をして、本当に愛し合うものだけが神秘的な性行為をして、子供を作る。綺麗な世界になる。」



「紘は根本的な所で矛盾があることに気がついた。」



奈緒はこちらを見ずに言う。



「何ですか?」



「性欲が無くなったら、誰も恋愛をしなくなると思う。人類は減少、滅亡する。」



「そんなことはないと思います。性欲のない恋愛はあります。」



「紘は異性愛者だよね。バイセクシャルの可能性はある?」



「多分、異性愛者だと思います。」



「じゃあ……男とピュアに付き合いたい? 発展して、その神秘的なセックスとやらをしたい?」



「……いいえ。」



「それなの。異性愛者の男と男がどんなに仲が良くても恋愛に発展しないのは、そこに性欲がないから。もしも人間に性欲が無くなってしまったら、異性愛者なのに異性がいなくなって、みんな同性に見えてしまうということ。紘が性欲を感じない男と恋しないように、友達という垣根を越えれず誰も恋愛をしなくなる。」



私は気分が悪くなりながら相槌を打ち、奈央はまた続けて口を開く。



「『恋愛とは性欲の詩的表現を受けたものである。』芥川龍之介の言葉。性欲にお洒落な服を着せたものが恋愛なの。性欲があるから恋愛がある。性欲のない恋愛なんてないの。」



奈央は、ふぅと息を吐いて口を閉じる。



「……私はそれでも性欲を拒絶し、純粋な恋愛を探したい。」



「それは、何も殺生はしたくないけれど、美味しいステーキを食べたいくらい矛盾に溢れているよ。」



奈央の言葉に私は口を結んで目を閉じる。



「世の中には、愛のない性欲がある。これだけを紘は嫌えばいいんだよ。愛のある性欲は認めてしまえばいいんだよ。」



*



「性欲のない恋愛はない」その言葉が頭の中を殴り壊し廃墟と化していく。



性欲は醜いのに、恋愛は美しい。



『愛のない性欲だけを嫌えばいいんだよ。愛のある性欲を認めてしまえばいいんだよ。』



性欲は愛の有無に関わらず全て醜いはずなのに。



考えることに疲れてしまった。



すやすやと私の肩にもたれかかり眠る灯莉の頭の重さが暖かい。



こんな硬い肩を枕に寝ていたらきっとよい夢を見ないだろうに。



早送りに進む窓景色を眺める。



遠くでは莫大な夕陽が街を照らす。



私は目を瞑りゆっくりと灯莉の頭の上に耳を着地させる。



胎動を感じた。



寝たふりをしたのは私だけではなかった。



口元がほんの少しだけ緩む。



安心感と胸の高鳴りが不協和音を奏でて私を掻き乱す。



柔らかく湿っているこの感情は何なのだろうか。



満ちているのに足りないこの感情は何なのだろうか。



ただ、ぎゅっと灯莉を抱きしめたくなるこの感情は何なのだろうか。



友情とは違うし家族愛でもなければ隣人愛でもない。



――性欲が心の扉をノックする。



「認めてしまえ。素直になれ。」とノックする。



私にもう迷いはなかった。



私は重い心の扉をこじ開ける。



どす黒くいやらしい性欲がにんまり笑って顔を覗かせる。



『恋』という甘いケーキを手土産に持って――



私の既存の価値感は死に、新しく生まれ変わっていく。



灯莉とセックスがしたい。



詩的な性欲が白熱する。





















白熱灯 fin .



*



※この物語は全てフィクションです



感想
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