遊行説コミュの俳壇抄

平成25年１１月1日　　　第４１号

１抱きしめて蛍をやっと産み落とす　　岡山　　　　小西瞬夏
２夢坂にもどる途上のとんどの火　　　兵庫　　　　野口　裕
３顔洗ふ猫の仕草で足袋を脱ぐ　　　神奈川　　小島ノブヨシ
４われ死なば争議をせんと父母はいませり　山口　　木戸葉三
５山藤の万上本みりん的容姿かな　　　埼玉　　　　佐藤榮市
６黒単衣花森こまの微笑かな　　　　　静岡　　　　澤田　澪
７熱燗の熱さ米偏ノ米偏　　　　　　　神奈川　　杉山あけみ
８天蓋から父が射掛ける春の雨　　　　鹿児島　　武邑くしひ
９任侠やハンカチーフをよく濡らす　　岡山　　　石原ユキオ
１０たまねぎに泣けば泣くほど大喪かな　愛知　　山口可久實
１１伽藍に立つ砂糖菓子だな死の匂い　　岡山　　仲　　青
１２代償として廃液を入れる空き缶　　　大阪　　　楢崎進弘

俳誌名　「逸」
　かねて念願の、俳句・短歌・川柳作家たちによるアンソロジー「君住む街角」は好評をもって迎えられ、残部わずかとなった。参加作家は日ごろ以上の力量を発揮してくれたし、わたしも、全員の紹介文を心をこめて書くことが出来たので、満足である。
　つぎなる目標といっても、同人雑誌でも結社誌でもないので、淡々と、作品が集まってくるのを待って発行する、それだけだ。命がある間は出せたらいいね、というスタンスに変わりはない。　三十二号では中原徳子さんの招待作品と、わたしの作家紹介文、武邑くしひの花森を肴にした俳句論、澤田澪の評論、それに前号鑑賞を復活させた。石原文朗さんの小説「数理歌学」もますます目が離せない。そして楢崎進弘が二百句、石原明三百句、健在。
　自由参加をうたっているので、参加をお休みするひともあるし、ふとまた送ってきてくれるひともある。編集発行人としてはこれはかなり疲れるけれども、この方法でやって行きたい。
　月刊『俳句界』では四月号に石原明、五月号に野口裕、八月号、十月号に花森が作品発表。
　青弓社「与謝蕪村この一句」「女性俳人この一句」に山口可久實、木戸葉三、楢崎進弘、花森が観賞文。
　何も変わらない、ということが、じつは、目に見えない速さで変わっていっているということのようにも思う。ゼノンの矢が、一瞬空間に止まっているかに見える、それは、百合の芳香を切り裂いて、生命と死を合体させ、融合させるかのように、一万年の夢を終わらせるかのように。
　ホリー・ガーデンで逢おうよ薔薇を噛みながら　　　　花森

コメント(2)

最初
全て
最新の40件

[1] mixiユーザー 01月05日 14:55

平成２６年５月号

『俳壇抄』上段
俳誌名　　逸(いつ)　　　　
　発行人　　　　花森(はなもり)こま

変更なし

① 妻のごとき白鳥がゐて独りなる　静岡　　澤田和弥
② 白桃の溶ける夢にぞ墜ちにけり　山口　　木戸葉三
③ 長い昼愛ではないのならなあに　岡山　　小西瞬夏
④ 此岸ゆくこのとびきりの黒日傘　神奈川　杉山あけみ
⑤ 威銃消失点のなお先へ　　　　　兵庫　　野口　裕
⑥ はるかまでゆくに重たき雪の羽　愛知　　永井江美子
⑦ いうなれば悲しいだけの金五楼　埼玉　　佐藤榮市
⑧ 門口に置くや折り紙の一角獣　　鹿児島　武邑くしひ
⑨ 体温計くわえれば来る大天使　　岡山　　石原ユキオ
⑩ 捨てられし詩集の裏に転生す　　岡山　　仲　　青
⑪ 思春期の手袋をした吸血鬼　　　愛知　　山口可久實
⑫ 爺むさき顔して腸を抜く遊び　　神奈川　小島ノブヨシ

　平成七年の大震災を機に立ち上げた本誌も、途中東北の大震災後一年の休刊を経て復刊、三十三号を発行することが出来た。
　創刊号から読み返してみると、俳句そのものをやめてしまったひともあり、思いはさまざまに巡るけれども、地道に活動してきて、悔いはないと言えるのは嬉しいことである。
　ひたすらに歩いて来た。そしてまた、歩くのである。
　五十嵐秀彦の句集『無量』鑑賞を榮猿丸、楢崎進弘、石原ユキオ、澤田和弥『革命前夜』は藤原龍一郎、渡辺隆夫、藤田踏青の各氏に執筆して戴いた。感謝あるばかりである。
　妹尾健の連載評論第二回は井上北人について。石原文朗の小説『数理歌学』は十回目になった。まだまだつづくのである。
　澤田和弥が渾身の評論『一茶の強さ、わたしの弱さ』を。
　詩人・秋川久紫が武邑くしひの句集評を、花森が秋川久紫詩集評を。参加作品は楢崎進弘が三百句、澤田和弥、木戸葉三、小西瞬夏、杉山あけみ、野口裕、永井江美子、佐藤榮市、武邑くしひ、石原ユキオ、仲青、山口可久實、小島ノブヨシが、それぞれ二十句。まったく上下関係なく、作品参加している。
　静かな炎を燃やしつつ、さらなる一歩に踏み出そうとする。
『俳壇抄』誌には長らく、大変お世話になった。
　今はひたすら、編集部のみなさんのご苦労に感謝したい。
　ありがとうございました。
　また逢う日まで、お元気で。

　　食いしばる奥歯やさしき弥勒かな　　　　　　楢崎進弘
　　断行や背中を流れゆく故郷　　　　　　　　　花森こま

　　＊津沢マサ子さんの招待作品のことを書き忘れた！！ま、いっか。
「俳壇抄」はこの号で終刊になります。残念ですね。

[2] mixiユーザー 01月05日 21:08

＜修正版＞

『俳壇抄』上段

俳誌名　　逸(いつ)　　　　

　発行人　　　　花森(はなもり)こま

変更なし

① 妻のごとき白鳥がゐて独りなる　静岡　　澤田和弥

② 白桃の溶ける夢にぞ墜ちにけり　山口　　木戸葉三

③ 長い昼愛ではないのならなあに　岡山　　小西瞬夏

④ 此岸ゆくこのとびきりの黒日傘　神奈川　杉山あけみ

⑤ 威銃消失点のなお先へ　　　　　兵庫　　野口　裕

⑥ はるかまでゆくに重たき雪の羽　愛知　　永井江美子

⑦ いうなれば悲しいだけの金五楼　埼玉　　佐藤榮市

⑧ 門口に置くや折り紙の一角獣　　鹿児島　武邑くしひ

⑨ 体温計くわえれば来る大天使　　岡山　　石原ユキオ

⑩ 捨てられし詩集の裏に転生す　　岡山　　仲　　青

⑪ 思春期の手袋をした吸血鬼　　　愛知　　山口可久實

⑫ 爺むさき顔して腸を抜く遊び　　神奈川　小島ノブヨシ

　平成七年の大震災を機に立ち上げた本誌も、途中東北の大震災後一年の休刊を経て復刊、三十三号を発行することが出来た。

　創刊号から読み返してみると、俳句そのものをやめてしまったひともあり、思いはさまざまに巡るけれども、地道に活動してきて、悔いはないと言えるのは嬉しいことである。ひたすらに歩いて来た。そしてまた、歩くのである。

　三十三号では、招待作品は津沢マサ子、特集として五十嵐秀彦の句集『無量』鑑賞を榮猿丸、楢崎進弘、石原ユキオ、澤田和弥『革命前夜』は藤原龍一郎、渡辺隆夫、藤田踏青の各氏に執筆して戴いた。感謝あるばかりである。

　妹尾健の連載評論第二回は井上北人について。石原文朗の小説『数理歌学』は十回目になった。まだまだつづくのである。

　澤田和弥が渾身の評論『一茶の強さ、わたしの弱さ』を。

　詩人・秋川久紫が武邑くしひの句集評を、花森が秋川久紫詩集評を。参加作品は楢崎進弘が三百句、澤田和弥、木戸葉三、小西瞬夏、杉山あけみ、野口裕、永井江美子、佐藤榮市、武邑くしひ、石原ユキオ、仲青、山口可久實、小島ノブヨシが、それぞれ二十句。まったく上下関係なく、作品参加している。

　静かな炎を燃やしつつ、さらなる一歩に踏み出そうとする。

『俳壇抄』誌には長らく、大変お世話になった。

　今はひたすら、編集部のみなさんのご苦労に感謝したい。　ありがとうございました。

　また逢う日まで、お元気で。

　　食いしばる奥歯やさしき弥勒かな　　　　　　楢崎進弘

　　断行や背中を流れゆく故郷　　　　　　　　　花森こま

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ