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「mit」小出 紫桜里コミュの「5人の-愛-の物語」

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もうすぐクリスマス。
皆さんはどんなクリスマスを過ごしますか?
これは、5人のクリスマスの話。

***

小塚 彩、17歳。同じクラスの彼、藤岡勇太とは1年半の付き合い。
最近、彼はバイトが忙しいからとかで構ってくれない。
学校でも、全然、話てくれないし、
イブの日もバイトだからって会えない。
だから、一週間早い二人のクリスマスを過ごそうって約束したのに…。
♪〜♪〜♪〜 勇太から電話
「もしもし?」『あ、悪いんだけど、17会えないわ。』
「えー、なんで?」『急にバイトが入った。』
「他の人は?」『仕方ないじゃん、だからさ、イブに…』
「知らない!」『おい、待てよ…』
ツーツーツー

小倉 聡、25歳、彼女いない暦、4年。
毎日が、薄汚れた灰色の天井と、外の毎日変わり行く風景を見て過ごす。
4年前、この病院にやってきた。
誕生日も、クリスマスも、正月も、いろんな機械に縛られて過ごした。
最初は、入れ替わり、皆がお見舞いに来てた、最近ではすっかり、誰も来なくなった。
あいつも…。

日比野 麻衣、21歳、私には何もない、親も、友達も、私の居場所も。
誰も信じられない。

私には、住所がない。つまり、浮浪者ってやつだ。
こんな私にも、名前ぐらいはある。向井 慎吾、もう、53歳になるのか…。
この生活を始めて、もう10年ぐらいになる。もう、慣れたもんだ。

飯村 直樹、この鉄格子の狭くて汚い部屋の生活が、もう5年ぐらいになるだろうか。
歳はおそらく31。自分の歳まで忘れてしまいそうだ。
毎日が同じ日々の繰り返し。

「「「「「あぁ、クリスマスなんて来なけりゃいいのに…」」」」」

***

今日は、本当なら、勇太に会うはずだった。
何もやることがなくて、とりあえず、外をぶらぶら。
そしたら、デパートから勇太が出てくるのを見た。
バイトって言ってたのに。
隣には女の人がいた。すごくキレイな大人ぽい人。
なによ!嘘つき!

---

僕の病気がわかる前、当時付き合っている彼女がいた。
僕の病気がわかって入院したとたん離れていった。
2年間の付き合いだった。そんなもんなのかなぁ…。

---

父は私が11の時に蒸発した。母は毎晩、仕事。高校を卒業してすぐ就職したけど、職場には馴染めない。
家にいてもただ、だだっ広いだけの薄暗い部屋に1人。何処にも安らぐ場所なんてない。
それでも、会社の屋上でくつろぐ時間はわりと落ち着いた。
入社1年目の昼休み、いつものようにここに来て、一人でお弁当を食べていたら急に涙が溢れてきた。
誰かが来て、「どうしたの?」慌てて涙を拭ったけど、次々と溢れてくる。

---

10年前、当時勤めていた会社が倒産した。1ヶ月近く毎朝同じ時間に家を出て、
ぶらぶらと時間を潰し、8時ぐらいに帰宅する。
そんな生活をしていたが隠しきれる訳もなく、妻に本当の事を話した。
その日はなかなか寝付けなく、翌日、夕方近く目を覚ますと、机の上には離婚届が置かれてあった。
娘は21になっているのだろうか、大学にでも通っているだろうか?妻は再婚でもしたかな?
ぶらぶらした生活を送っている時にこの公園にはよく来ていた。
その時、なぜか仲良くなってしまったおじさんとは今でも仲がいい。
「来たかぁ…」ってたった一言、そう言って、私の寝床を作ってくれた。

---

今年のクリスマスの日に釈放される。長かったような、短かったような。
ここから出たって、誰も向かえてくれるやつなんていない。
よりによってこんな日に出るぐらいなら、ここにいたほうがましだ。
5年前、当時、籍を入れたばかりの彼女がいた。
「待ってる」なんて言って一度も面会になんて来なかった。
彼女のお腹には俺の子供がいて、生まれていたら4歳かな?

***

--- クリスマス・イブ ---

♪〜♪〜♪〜 PM11:03、勇太から電話
「もしもし?」怒った口調で出る。
『今から会いに行く!』「もう遅いよ?」『今、バイト終わったんだ。だから、イブが終わる前に』
「なによ!今更!」『この前、電話でイブの夜に会おうって言おうとしたら彩が先に電話きったんじゃん』
「知ってるんだから、私。先週、女の人と歩いてたの見たんだから」
『あ、あれは…』「なによ、そのうろたえた声」『とにかく、行くから。行ってから話す』
「私、もう寝るよ」『それでも行く!』

---

彼にはじめた会ったのはこの屋上だった。
私がここで泣いているとただ黙って傍にいてくれた。
もう恋なんてしないって決めていたはずなのに。
PM11:30
会社の屋上から夜景を眺めてる。
ここから飛び降りたら楽になれるのかな?

***

--- クリスマス ---

♪〜♪〜♪〜 12/24、PM11:48、勇太から電話
『今、家の前にいるから出てきて?』しぶしぶ出ていく。
『これ、クリスマスプレゼント』ポケットから小さな箱を取り出し、私に渡した。中にはシルバーリング。
『あれ、俺の姉貴。これ選ぶの手伝ってもらってたんだ。これ買う為にバイトしてた。』
時刻は0時になっていた。

---

コンコン
ドアをノックする音がして目が覚めた。AM10:00
ドアを開けたのは4年前に別れたと思っていた彼女だった。
「ごめん、私、怖くて逃げてたの。もう逃げたりしないから。」

---

12/24、PM11:45
「やっぱり、ここにいた。探したんだよ。電話も出ないから、心配したんだ。」
「はじめて会った時もここだったね。もう変なこと考えるな?」
「君は独りなんかじゃないよ。ちゃんと傍にいる。」
この気持ちに気づかないフリをしてた。泣き崩れて彼の腕の中に飛び込んでいた。
時刻は0時になっていた。

---

AM7:00
公園の水道の蛇口をひねり、顔を洗っていると、後ろで声がした。
「お父さん」振り返ると若い女の子が立っていた。娘と同じぐらいだろうか?
どことなく面影のある少女は、紛れもなく私の娘だった。
「お母さん、時々ここに来て、お父さんの事見てたんだよ。」
「いつもお父さんの事話してたよ。戻って来るの待ってるよ。」
「ちゃんと仕事探そう?家に帰ろう?」

---

AM6:00
重い扉が開いた。5年ぶりの外の世界は眩しすぎるぐらい明るかった。
久しぶりに見る景色の中に、懐かしい影が見えた。幻か?
そこには5年前より少し落ち着いた彼女と手を繋いで小さい子供が立っていた。
彼女はにっこりと微笑み、「おかえり」とひとこと言った。
「貴方の子供よ」俺はその子の前にしゃがみ、「幾つ?名前は?」と聞いた。
指を4本立てて、「4さぁい、いいむらなおとです」と答えた。
おもわず、小さい身体を抱きしめていた。

*** end ***

コメント(2)

*** 番外編 ***

「やっぱり、ここにいた」「君は独りなんかじゃないよ。ちゃんと傍にいる。」
この気持ちに気づかないフリをしてた。
「君のお母さんも君の為に夜遅くまで働いているんだよ」うん、わかってる。
そういえば、なんでもない話も家にいる時は声かけてくれて、お父さんの話とかもしてた。
私は、お母さんと違ってあの場所から目を背けていた。
「ちょっと行きたい場所があるの」
翌朝、
公園の水道で顔を洗っているお父さんの姿が見えた。
姿は変わり果てていたけど、それがお父さんだと直ぐにわかった。
その背中に声をかけた「お父さん」振り返った顔はとても驚いていた。
「麻衣だよ」

*** end ***
Happy Merry Christmas!

web[mit] Christmas Story 「5人の-愛-の物語」
http://www5f.biglobe.ne.jp/~lieber/mit/christmas.html

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