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実務家からみた司法試験コミュの司法試験における行政法の地位強化の意義

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公法エッセイ 司法試験における行政法の地位強化の意義

                   
                   弁護士 岡 本  哲

司法試験における行政法
司法試験についてはだれでも受験できた旧司法試験と2008年からはじまった法科大学院卒業生を対象とした新司法試験があります。
わたしが合格した昭和63年だと62倍程度の倍率で最終合格は500人程度でした。5月に択一試験で8分の1、7月に論文式試験でさらに7分の1くらいにしぼられ、10月の口述試験で1割程度がおとされるといった按配です。
この時代は択一科目は憲法・民法・刑法の3科目、論文式試験は憲法・民法・商法・刑法が必須で民事訴訟法・刑事訴訟法のいずれかが選択(両方とってもよい)、訴訟法を両方とっていないひとは法律選択科目1科目(行政法・破産法・労働法・国際公法・国際私法・刑事政策)、教養選択1科目(政治学・経済原論・会計学・社会政策等から1科目)、1科目2時間の筆記試験を3日間で7科目おこない、口述試験も同じ科目だけありました。
行政法は選択科目でだいたい論文受験者の7パーセント程度が受験していました。実際の受験生のなかからは1パーセント程度ということになります。選択科目でも法学部の単位だと破産法は2単位、国際公法は12単位、行政法は8単位、国際私法・労働法・刑事政策は4単位ですから科目の量に差異がありすぎます。また、へんてこな問題がでますので、安定性にかけるため、公務員試験併願の人以外は行政法選択はあまりいませんでした。
これでは原告側、公務員ではない弁護士側で行政法をやる人材は育ちそうにありません。
2008年開始の新司法試験では必須が憲法・行政法・民法・商法・刑法・民事訴訟法・刑事訴訟法の7科目に選択科目(労働法・倒産法・税法などから1つ)となり、択一・論文とも必須科目についてはありますので受験生の100パーセントが行政法を受けることになりました。
行政法の地位は占有率だと100倍に上昇したことになります。
なぜ、ここまで上昇したのでしょうか。
行政手続法の制定により行政訴訟の増加が予想され、国民の権利侵害を救済する人材を育成しようという配慮があったことは確かです。

さて、受験生は行政法についてどの程度勉強しているのでしょう。
平成25年度以降は予備試験ルートが本格化すると予想されますので、場合わけして考えてみます。

全体の勉強時間としては7科目だろうが8科目だろうが6000時間必要です。
司法試験については基本書と百選あるいはケースブックシリーズが出題範囲であり、それをマスターすべし、というのがだいたい40年前から変わらず言われています。これにかかる時間が授業・ゼミ・答案練習会検討会・純粋個人学習等すべての形態をふくめて6000時間必要とされています。
 本気受験が平均6回の受験でようやく合格していた旧試験の時代だと、たいていの合格者はこの時間をこえていたようです。
 東京大学の4年ストレートで5人程度、京都大学の場合は定員が半分のせいか2人程度の合格でした。秀才中の秀才を選ぶ試験であったといえます。大学4年間で6000時間を捻出しようとすると(実際は4年目の7月にヤマがありますので)3年つかえたとして、1年に2000時間、365日でわると全くやすまず1日7時間の勉強が必要となります。授業についていけるのは東大で1割といわれていますから、大学の授業についていける1割がさらに勉強をかさねていくことになります。実際は昭和60年代から大学の授業よりも書物をつかった学習や予備校の利用がさかんになっています。
授業の予習復習をしたうえで数時間を勉強にコンスタントにさくことになります。この時間を確保できるのはかなり健康にも金銭的にも動機にもめぐまれた(!)ひとでしょう。8年間ならこの半分のペースです。実際は受験6回程度で合格していたのは時間確保の困難性もあったことでしょう。
 法律選択科目については7分の1程度が必要だったことになります。900時間くらい勉強したことになりましょうか。
 旧司法試験と新司法試験では受験者の数量・質・科目ともに相当ことなっています。ただし、勤務弁護士や判事補・検察官を採用する側では旧の時代より質的に差のない人材を求めています。
 旧の場合の人材は前にいったとおりの知識を備えたひととなります。
 法科大学院卒業段階で7回生相当ですから900時間程度は行政法を勉強していることでしょう。


 新司法試験の場合、2−3年の法科大学院卒業が義務づけられたうえで卒業後5年のうちに3回しか受験できないこと、そもそも制度設計としては法科大学院を卒業した年に受かるべきことになっていること(奨学金の償還の問題がある)から、最初の受験段階で本来なら6000時間をクリアーしている必要があります。法科大学院(法曹養成制度)の評価に関する研究会の「法科大学院(法曹養成制度)の評価に関する研究会報告書」平成22年12月というものがあります。インターネットで入手可能です。


伊藤塾塾長が現状認識について報告されています。

合格に必要な力
?  徹底した基礎力
?  考える力(論理的思考力・未知の問題に対処する力)
? 日本語力(特に書く力)

これらを泥臭い学習を続けて習得するしかない。法科大学院では受験対策ができないため、基本的には自学自習または受験指導校を利用。
法科大学院の勉強だけで十分であるのか。
?に関しては。法科大学院の授業が効果的。入学前に??を習得しているかが新司法試験の合否に大きく影響する。
 結局、合格しやすい学生を入学させることができたかどうかが合格率の差。

 となると法科大学院入学段階で東大京大の上位1割レベルの学力(未習)あるいは東大京大の法学部の上位1割レベルの法律知識+学力がほしいことになります。

 この優秀な層が100名しか合格しない予備試験の合格者と平成25年以降は重なってくるのではないでしょうか。予備試験に合格すると法科大学院卒業とおなじ資格がえられます。試験は教養科目と司法試験科目です。大学法学部3年で予備試験合格・4年で司法試験合格が秀才の証明になっていくのではないでしょうか。
 ただ、若年合格者がその後活躍するかどうかは疑問の声もありますが。
 現在大学4年以上、法科大学院生は法科大学院と予備試験を勉強、大学3年以下のひとは予備試験向けの勉強をする、というのが合理的かとおもわれます。
 司法試験合格しても就職難ですから予備試験合格がコネのあるひとでないと給与をくれない司法修習をするのはリスクをかかえることになります。採用する側としては予備試験合格実績は重視しますから、予備試験合格なら司法試験下位合格でも面接にはいけるとおもわれます。

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